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失敗年鑑2005:</b>航空機トラブル続出 >>会員用フルバージョンはこちら
失敗年鑑2005
航空機トラブル続出
サイドローズエルピー、ゼネラルパートナー
飯野謙次

航空機トラブル続出

航空機トラブル続出原因の分析[ 拡大 ]

【シナリオ】
1.組織運営不良
2.運営の硬直化
3.価値観不良
4.安全意識不良
5.構成員不良
6.手順の不遵守
7.連絡不足
原因
8.使用
9.運転・使用
10.保守・修理
11.定常操作
12.手順不遵守
13.定常動作
14.不注意動作
15.不良行為
16.規則違反
行動
17.不良現象
18.機械現象
19.部品脱落
20.破損
21.破壊・損傷
22.機能不全
23.システム不良
24.組織の損失
25.社会的損失
26.評判の失墜
結果


【概要】
 2005年、前半は日航、そして後半は全日空で数多くのトラブルが発生した。 幸い死者や重傷者の出る事故に発展したものはなかったが、天候等少しでも周りの状況が変わっていれば、 大惨事につながっていたと思われるトラブルもあった。国交省は日航、全日空両グループに対し、複数の厳重注意を行い、 日航に対しては事業改善命令まで出した。航空各社は手順の見直し等の対応をしたが、効果は翌年以降に現れた。

【背景となる情報】
 日本の旅客航空業界は、日本航空グループと全日本空輸グループの二大勢力、新興勢力のスカイマーク、北海道国際航空、 スカイネットアジア航空、スターフライヤーの他、近距離を結ぶオリエンタルエアブリッジ、天草エアラインなどの地域航空会社がある。 日本航空グループと全日本空輸グループについて、詳細を以下に示す。

日本航空グループ
 前身は、特殊会社(会社形態で事業を行うも、民間からの設立ではなく、国策上必要な事業として設立された会社。 旧電電公社、郵便局、専売公社など)として1951年に設立された日本航空株式会社。略称は、JAL(ジャル)、あるいは日航。 現在は、株式会社日本航空として統括するグループ会社のうち旅客関係と、2008年現在の使用機材は以下の通り。
  • 日本航空インターナショナル (JAL)
  • JALウェイズ (JAZ)
  • JALエクスプレス (JEX)
 上記3社の現運航機種は ボーイング737-800、
747-300/300SR/400D/800、767-200/300/300ER、
777-200/200ER/300ER、マクドネル・ダグラス MD-81/87/90、エアバス A300-600R。

 以下各社の現運航機種は社名の後に表記する。
  • 日本トランスオーシャン航空 (JTA) - ボーイング737-400、767-300
  • 日本エアコミューター (JAC) - サーブ340B、ボンバルディアDASH8-400
  • ジェイエア (J-AIR) - ボンバルディアCRJ200ER
  • 北海道エアシステム (HAC) - サーブ340B-WT
  • 琉球エアーコミューター (RAC) - ブリテン・ノーマン アイランダーBN-2、ボンバルディアDash8-103, Dash8-300


全日本空輸グループ
 前身は、同じ1952年12月に設立された、東京を拠点とするヘリコプターによる宣伝の日本ヘリコプター輸送株式会社と、 大阪を拠点とする西日本の極東航空株式会社。1957年12月から1958年3月にかけて2社が統合されて全日本空輸となった。 特殊会社として発足した日本航空に対して純民間企業である。1986年より、国際線定期便に参入した。 一般的には全日空、もしくはANA(アナ)と呼ばれている。グループの一般旅客事業会社と、2008年現在の使用機材は以下の通り。
  • 全日本空輸 (ANA) - エアバスA320-200、ボーイング747-400/400D, 767-300/300ER, 777-200/200ER/300/300ER
  • エアージャパン (AJX) - ボーイング767-300ER
  • エアーニッポン (ANK) - ボーイング737-500/700/700ER/800,
  • エアーニッポンネットワーク (AKX) - ボンバルディアDash8-300/400
  • エアーネクスト (NXA) - ボーイング737-500,
  • エアーセントラル (CRF) - ボンバルディアDash8-400、フォッカー 50


 次に日航、全日空グループの主な使用機種について説明する。

ボーイング

  • 737シリーズ
    図の表示は会員のみ  1968年の就航以来5,000機以上生産され、現在も続いている人気機種。マクドネル・ダグラスのDC-9や、 エアバスA320などと競合する。用途は地方や短距離用で航続距離は5,000km前後(-700ERは10,000km)。
      特徴は左右の主翼の下にそれぞれ1台ずつエンジンが取り付けられた双発式。 胴体幅は3.76mで、中央に通路を設けて左右に3人ずつ座るのが標準的な座席配置。 全長35m前後。-100から-500までは最大離陸重量55トン前後で、2000年に生産終了。 -600以降は、NG(New Generation)シリーズと呼ばれ、新技術を取り入れて最大離陸重量75トン前後となった。 乗客数は機種によるが約180名まで。機体損失事故は2007年8月までに136回(総死者3,674名)だが、 1997年以降就航したNGシリーズでは、3回(総死者268名)。

  • 747シリーズ
    図の表示は会員のみ  1969年の初飛行以来、ジャンボの愛称で知られる人気機種。1991年以降の-400型は改良型とされ、 それ以前のクラシックと呼ばれるタイプは724機で生産が終わった。2007年までの売り上げ数は1,392機。競合機種はエアバス A380。
     左右主翼の下にそれぞれ2台ずつエンジンが取り付けられた4発式で、胴体幅は縦7.85m、横6.49m、客席前方は2階建。 通路が2本あり、エコノミーキャビンは3・5・3と横に11人座るのが標準的座席配置。乗客数は最大524名。 改良型では、最大離陸重量400トン超、航続距離も14,000kmを超えてニューヨーク・香港間の直行が可能。 導入当時は、利用者が少なく、航空運賃下落のきっかけとなり、海外旅行者増加の一因となった。 機体損失事故は2008年7月7日までに46回(総死者2,850名)で、この中には520名の犠牲を出した日航の御巣鷹山事故がある。

  • 767シリーズ
    図の表示は会員のみ  1982年に就航開始。1,000機以上販売され、現在も続いている。用途は中距離用だが新型では航続距離が10,000kmを超える。
      737シリーズと同じく双発式だが、最大客室幅が最大4.7m、全長55m前後。2・3・2の座席配置が標準だが、 スカイマークは2・4・2としている。乗客数は機種により、200-375名。最大離陸重量は150トンを超えるものもある。 機体損失事故は2004年現在、11回(総死者569名)。 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件で世界貿易センタービルに突っ込んだのは2機ともボーイング767型機であった。

  • 777シリーズ
    図の表示は会員のみ  この機種は当初767の派生機として計画されていたが、1986年から開始された市場調査、設計にまで顧客の声を反映する設計思想により、 777として1995年に運航を開始した。当時ボーイング社はスタンフォード大学の生産性設計[6]を受講しており、 その考え方を主力製品に反映したものと言えよう。2007年に受注数は1,000機を超えた。
     737、767と同じ双発式だが、対機体で見ると、よりエンジンが大きくなっている。胴体横幅は外部 6.19m、 内部 5.86m。エコノミーキャビンの標準的座席配置は2・5・2で、乗客数は機種により、300から1クラス仕様では550名にもなる。 ただし、最大離陸重量は250 - 350トン。機体損失事故は2008年1月のブリティッシュ・エアウェイズの1回(総死者0名)。

  • MDシリーズ
    図の表示は会員のみ  MDシリーズは、DC-9 の改良機種として開発され、MD-81は、1980年に就航開始。MD-90はさらにその後継機だったが、 MD-80シリーズは1999年で生産が終了(計1,191機)、1995年に初納入されたMD-90は2000年までに116機納入された。 その間、1997年にボーイング社に吸収合併された。 双発のエンジンは胴体後部、垂直尾翼の直前に取り付けられている。 胴体幅は、外部で横3.35m、縦3.61m。標準的座席配置は2・3で、150名前後を収容する。 最大離陸重量はMD-80シリーズが65トン前後、MD-90は70トン前後。機体損傷事故は、MD-80シリーズが23回(総死者 1,023名)、MD-90が1回で死者1名。

  • DC-10
    図の表示は会員のみ  三発式ワイドボディーのDC-10は、1971年に運航を開始。日本では、2005年10月31日に全機退役した。 全部で386機が世界中に納入された。両主翼の下にそれぞれ1つずつと垂直尾翼の下部に3つ目のエンジンがあった。 胴体径は6.02m。エコノミーキャビンの座席は 2・4・2で、2クラス仕様で255名分の座席があった。
      2008年現在、日航でもDC-10は使用されていない。最大離陸重量は250トン前後。機体損傷事故は、29回(総死者 1,262名)。

    エアバス・インダストリー

  • A300
    図の表示は会員のみ  エアバス社は、アメリカ企業の航空機市場独占に対抗してフランスと(当時)西ドイツの会社が、1970年に共同出資して設立。 後にイギリス、スペインからも参加があって、ヨーロッパ4カ国からの国際協同会社となった。愛称エアバス、あるいはSAS。
     A300は、その最初の機種で、主翼下に2台のエンジンを取り付けた双発式。A300/310は1974年の初納入から計816機を納入し、 1998年に旅客タイプは生産を終了した。A300-600は、全長54.1m、胴体径5.64mとボーイング737と似たようなずんぐり体形。 エコノミーキャビンの座席配置は2・4・2でおよそ270の座席がある。最大離陸重量は170トン前後。 機体損傷事故は300/310合計で24回(総死者1,769名)。

  • A320
    図の表示は会員のみ  エアバス社による2シリーズ目の開発機。150人乗りの中・小型機を目指したもの。1988年の初就航以来、318/319/320/321のA320シリーズで、 3,572納入済みの人気機種。発注は6,297機にも上る。競合機種はボーイング737やMD-80/90。
     主翼下に2台のエンジンを取り付けた双発式で、全長37.6mに胴体径は3.96mとA300やボーイング737と似たずんぐり体形である。 座席は、エコノミー3・3の中央1通路式で、2クラスタイプで150席ある。最大離陸重量は73.5トン。 機体損失事故は2008年5月現在19回、 (総死者628名)。

    ボンバルディア・エアロスペース

  • Dash-8
    図の表示は会員のみ  ボンバルディア・エアロスペース社は重工業のカナダ、ボンバルディア社の航空機部門。 前身は1928年にイギリスのデハビラント社(『失敗学のすすめ』のコメット機でおなじみ)がトロントに設立したデハビランド・カナダ社。 同社は第二次世界大戦中にカナダ政府の非営利企業とされた。デハビランド・カナダ社が1979年に計画を発表したDash-8は、 1984年に運用が開始されたが、1986年にボーイング社がデハビランド・カナダをカナダ政府より買収、 その後1991年にボンバルディア・エアロスペースに売却。Dash-8は、現在ボンバルディア・エアロスペースにより、 生産が続けられており、日本では、YS-11の後継機として活躍している。名称は現在、Dash-8 と統一されているが、 de Havilland Canada の DHC-8 の呼び名がまだあちこちで使われている。
      この近距離用機種はここまで見てきたものと違い、主翼は高翼配置、すなわち胴体の上部に配置され、 それぞれの下にターボプロペラエンジンを搭載する双発機である。 最新式の400シリーズは、2・2の客席配置により定員は約70名で、 現在までに313機の製造済みを含めた発注がある。1984年以降のDash-8生産機数は900以上。 胴体径は、2.69mと小さく、最大離陸重量は29トン。機体損傷事故は、2002年12月までに6件(総死者46名)。 1990年11月21日のバンコク航空の事故では、悪天候の中、着陸しようとココナツ農園に墜落、38名が死亡した。

  • CRJ-200
    図の表示は会員のみ   1986年にボンバルディア社がカナディア社を買収。70年代後半よりカナディア社が開発していたCL-600の後継機で1989年に開発が始まったが、 名称にはカナディア社のCRJ: Canadair Regional Jet が残された。CRJ-200は、最初のCRJ-100のエンジンを大きくして最大離陸重量を大きくしたもの。 近距離ジェット機として人気を博し、1992年の初納入から1047機が納入済み。
     2.69mの最大胴体径は、2・2の配置の座席を収め、乗客数は50。機体後部左右に2台のエンジンが取り付けられている。 最大離陸重量は23トン。CRJ-200の機体損傷事故は2回(総死者57名)。

    【経過】
     以下に時系列に、国内航空会社に関して発生したトラブルを重大なものについて列挙する。

    日時/場所:1月22日、21:16頃 / 新千歳空港
    路線/機種/乗客数:新千歳発羽田行き、日航1036便 / ボーイング777 / 201人
    概要:約30分遅れで離陸を開始した日航機だが、管制官より離陸許可が下りていなかった。 同じ滑走路の2キロ先には着陸したばかりの乗客115人の全日空1717便がいた。約10秒後にレーダーで機体を確認した管制官による停止命令を受け、 急ブレーキをかけた日航機は、全日空機まで約1キロのところで停止。通常、機長と副機長が離陸許可を口頭で確認しあうが、それを怠った。
     また、機長や管制官から説明を受けた担当者による運航本部への報告が不備で、全日空機と衝突の可能性があったことが伝わらず、 責任者は本トラブルを軽微なものとして安全担当部門に報告せず、そのため国交省にも伝わらなかった。

    日時:3月8日
    機種:日航貨物専用ボーイング747
    概要:主脚に旅客機用部品を誤って装着したまま8年以上運航していたことが判明。判明後も1か月以上運航していた。国交省に厳重注意を受けた。

    日時/場所:3月11日、18:00頃 / 韓国、仁川(インチョン)国際空港
    路線/機種/乗客数:仁川発、成田行き、日航954便 / ボーイング767 / 231人
    概要:離陸のため、滑走路手前で待機していたが、管制官からの“待機せよ”の指示を聞きちがえて“滑走路に入り待機する”と復唱したが訂正指示がなく、 滑走路に進入。管制官は着陸態勢に入っていた大韓航空機にやり直しを指示した。その間に日航機は離陸した。

    日時/場所:3月16日 / 羽田・新千歳間
    路線/機種/乗客数:羽田発、新千歳行き、日航1021便 / ボーイング767-300 / 258人
    概要:ドアに装着された緊急用脱出スライドのスイッチを自動に切り替えないまま、目的地まで到着。 通常は全乗客搭乗、ドアを閉めた後、ドアモード切替をチーフが客室乗務員に機内放送で指示してモード切替が行われ、相互確認後チーフに合図をする決まりだが、 チーフがモード切替の放送を忘れ、他の乗務員もうっかりしていたとの説明。

    日時/場所:3月20日、12:45頃 / 帯広空港
    路線/機種/乗員乗客数:名古屋発帯広行き、ジェイエア4303便 /ボンバルディアCRJ-200 / 28人
    概要:帯広空港に着陸後、管制官から誘導路に向かうよう指示を受けたが、間違って民間機が使用できない航空大学校帯広分校の訓練機専用誘導路に進入した。

    日時:4月10−12日
    路線/機種:広島−羽田、大分−羽田、松山−羽田 / エアバス A300-600R
    概要:2004年10月20日にエアバスA300-600Rの操縦担当を発令された副操縦士が、発令6か月未満の間は、 指導教官資格のある機長が横に乗ったときのみ離着陸操作できるという社内規定に反し、教官資格のない機長と計6回の単独離着陸操作をした。

    日時:4月22日
    路線/機種:小松発仙台行き、エアーニッポン / ボーイング737
    概要:管制官の離陸許可を受けないままに離陸滑走を開始、管制官から離陸中止の指示で止まった。 機長が経験のためと、滑走路に入る直前に副操縦士と操縦を交代している間に離陸許可を取るのを忘れた。

    日時/場所:5月8日、11:40頃 / 札幌から南東に約370キロ、太平洋上
    路線/機種/乗員乗客数:サンパウロ発ニューヨーク経由成田行き、日航47便/ボーイング747/374人
    概要:高度約1万1000メートルを飛行中に客室内の気圧が急激に低下する減圧が発生、客室には非常用酸素マスクが下り、 高度3000メートルまで緊急降下し、約1時間後に新千歳空港に緊急着陸。原因は、圧力調整弁の故障とみられている。

    日時/場所:5月15日、18:30頃 / 成田空港
    路線/機種/乗員乗客数:成田発バンコク行き、全日空915便/ボーイング767/ 215人
    概要:出発準備で、機外の作業員がドアを閉めた際、脱出スライドが突然機内で膨らんだ。客室乗務員が一人弾き飛ばされて軽傷。不具合は見つからなかった。

    日時/場所:5月15日 / 成田空港
    路線/機種/乗員乗客数:ジャカルタ発成田行き、日航726便/ボーイング777/ 300人
    概要:着陸前の食事配膳準備で、客室乗務員が後方調理室の加熱スイッチを入れ忘れ、140人分の食事加熱を電子レンジで行った。 このため配膳が遅れ、配膳中に着陸態勢に入ったのでいったん着陸をやり直したものの、2回目の着陸態勢の時、 客室乗務員が責任者に「着陸準備完了」と虚偽の報告をし、それがそのまま機長に伝えられた。客室では乗客に、 回収できないトレーを座席下に収納するように指示し、着陸時には収納が間に合わなかった2台のカートを手で押さえた。

    日時/場所:5月15日、18:30頃 / 大阪・羽田完
    路線:大阪発羽田行き、全日空22便
    概要:コンテナ8個のうち、6個が固定されずに飛行機が運航され、10m移動してコンテナ同士が衝突して大きな音を発生していた。 関連会社社員のストッパーかけ忘れと責任者の確認不備。

    日時:5月18日
    機種:ジェイエア、ボンバルディア CRJ-200
    概要:経済産業省の検査で、日航が経済産業省の認可を受けないまま、グループ会社のジェイエアの CJR-200など3機種の整備を延べ111回行っていたことが発覚。

    日時/場所:6月5日、11:05-12:32 / 長崎羽田間
    路線/機種/乗員乗客数:長崎発羽田行き、全日空664便 / ボーイング767 / 96人
    概要:離陸直後に機長と副操縦士の高度計表示が食い違っていた。機長が自分の高度計をコンピュータに切り替えたつもりが予備のコンピュータはなく、 故障していた副操縦士の高度計に接続。着陸には低高度用の高度計を使用した。国交省は重大事故の可能性を指摘、厳重注意した。

    日時/場所:6月15日、10:00頃 / 羽田空港
    路線/機種/乗員乗客数:新千歳発羽田行き、日航1002便 / ボーイング767 / 222人
    概要:着陸直後跳ね上がったような衝撃があり、その後滑走中に前輪タイヤが2本ともパンクして外れた。新品の左前輪は4月11日に交換された後329回着陸し、 再生品の右前輪は5月27日以降109回。再生タイヤとは表面を削った後、ゴムを張り直して加熱したもの。日航では6回まで再生を認めるが、今回は5回目だった。 X状に大きな切れ目が入ってバーストしたと思われるのは左のタイヤだった。乗客3人が首に痛みや吐き気。

    日時/場所:6月17日、10:55頃 / 大阪空港
    路線/機種/乗員乗客数:大阪発高知行き、全日空1609便 / ボンバルディアDash-8 / 64人
    概要:離陸後、コックピットや客室に煙が充満。大阪空港に戻って緊急着陸した。原因は右エンジン内部で漏れたオイルがエアコンの吹き出し口から客室内に霧状になって流入したこと。

    日時/場所:7月23日、20:00頃 / 和歌山県上空
    路線/機種/乗員乗客数:羽田発徳島行き、日航1439便 / エアバスA300 / 195人
    概要:出発前、飛行中の機内圧力を高く保つために2系統設置された与圧装置の1系統に不具合があったものの、 正常だったもう一方の系統も飛行中に不具合を起こした。機内気圧を保てなくなった同機は、客室内の酸素マスクを降ろして約3,000メートルまで緊急降下し、 約30分後に徳島空港に緊急着陸した。

    日時/場所:7月24日、7:57頃 / 新千歳空港
    路線/機種/乗員乗客数:羽田発新千歳行き、日航1001便 / ボーイング777 / 284人
    概要:同月19-23日、子会社に機体の塗装作業が委託された。その際、逆噴射装置の誤動作を防ぐ安全ロックピン抜き忘れ防止の5x40センチの目印リボンを、 塗装のためエンジンカバー内部に入れたまま忘れた。作業終了後、日航への引き渡し、出発前の各点検でだれもカバーを外してチェックすることをしなかった。 このため、同機は安全ロックピンをつけたまま羽田を飛び立ち、新千歳空港への着陸の際、逆噴射レバーが引けないことに機長が気づき、 補助翼操作や車輪ブレーキを普段より強く使用することで無事停止に成功。

    日時/場所:8月12日、19:46頃 / 福岡市上空
    路線/機種/乗員乗客数:福岡発ホノルル行き、JALウェイズ58便/マクドネル・ダグラスDC-10/229人
    概要:福岡空港離陸直後、爆発音とともに左翼エンジンから出火、福岡空港に緊急着陸。原因は、エンジン後部のタービンブレードの破損で、 市街地に降った金属片による怪我や器物損傷の被害があり、最終的には数百個の破片が回収された。2001年6月にも日航DC-10の同型エンジンで同様の事故が起きていた。  米国連邦航空局は同年5月13日に、事故を起こしたエンジンについて、エンジン内の耐熱合金製カバーに亀裂が生じ、タービンブレードの脱落からエンジン内部の破損の可能性を警告しており、 国交省も6月9日付けで同じ内容の耐空性改善通報を出していた。ただし、通告より5年後改善期限までは時間もあり、600時間ごとの内視鏡検査は397時間前に行われており、 異常は見つかっていなかった。

    日時:9月28日、10:30頃
    路線/機種/乗員乗客数:羽田発福岡行き、全日空243便 / ボーイング777 / 379人
    概要:高度約5200メートルを飛行中に左エンジンで爆発音がし、振動が発生、エンジンオイル圧が急低下したため、同エンジンを停止し、羽田空港に緊急着陸。 検査の結果エンジン内部のブレードが折れていた。米国メーカーに問い合わせた結果、製造ミスで腐食により、ブレードが折れやすくなっていたことが判明した。 全日空に加え、同型エンジン搭載機をもつ日航でも回収を開始したが、これを明らかにしたのは12月15日。その日発売の週刊誌記事に後押しされた形になったため、 利用者の不信感を一層つのらせた。

    日時/場所:10月29日、16:50頃 / 高知県沖
    路線/機種/乗員乗客数:鹿児島発羽田行き、全日空628便 / ボーイング777 / 190人
    概要:右翼エンジンが激しく振動したため、機長が同エンジンを停止し、大阪空港に緊急着陸。このエンジン後部のテールコーンが脱落していた。

    日時:11月14日発覚
    機種:ボーイング747 / 123人
    概要:日航が整備を委託したシンガポールの整備会社が、両翼に2台ずつあるエンジンのうち、左右外側の2台を取り違えて設置。 日航ではこれに気づかず、4月14日から国際線で440回の離着陸を行った。11月14日の定期点検でこの事実に初めて気がついた。日航によると、エンジンは左右では変わらず、 安全に問題はなかったというものの、1方のエンジンケースの点検が約200離着陸回数分遅れた。

    日時/場所:12月1日、16:50頃 / 鹿児島空港
    路線/機種/乗員乗客数:鹿児島発羽田行き、スカイマーク306便 / ボーイング767 / 90人
    概要:離陸直後に右エンジンの火災警告灯が点灯、右エンジンを停止して鹿児島空港に緊急着陸。 右エンジンの後部側面に高さ約70センチ、幅約1メートルにわたって外板がなくなって穴があいていた。滑走路には同エンジンの部品が散乱していた。

    【原因】
     前節に列記したトラブルの原因は様々だが、大まかに以下のものに分けられる。

    1. 不注意、手順の不遵守:離陸許可を受けないままの離陸体勢、ドアモードの切替忘れ、配膳カートの加熱スイッチ入れ忘れなどの他、部品の付け違えなどがある。
    2. 整備不良:部品の飛行中脱落、計器の表示異常、エンジン異常や停止がある。
    3. 設計・製造不良:8月12日の DC-10、9月28日のボーイング777のエンジン異常は、航空会社よりも製造者側に設計・製造のミスがあったものである。
    【対処】
     経過の節に書いたように、2005年には様々なトラブルが発生した。本失敗年鑑シリーズでは、科学技術振興機構の失敗知識データベースと同じく、 「対処」は失敗が発生した時にその結果が大きな事故に発展、負傷者が増加、あるいは二次災害が発生することのないように取る対応、 一方の「対策」は長期的に見て、同じ失敗を繰り返さないように行う対応としている。
     各トラブルの対処は、緊急着陸、気圧低下では酸素マスクを降ろしての緊急降下、配膳ワゴンを乗務員が手で押さえて着陸したものから、 故障を抱えたまま、あるいは航路途中のどこかで部品が脱落しながらも無事目的地に到着、着陸後まで気がつかなかった、部品の取り違えに長期に亘り気づかなかったなどある。 計器故障に気がついて離陸を中止したものは、正しい対処ができたものと言えよう。

    【対策】
      日航が1月22日に離陸許可を受けないまま滑走を始めた新千歳空港のトラブルに対し、国交省が3月1日、厳重注意をした。 その10日後に起きた仁川国際空港での似たようなトラブル、さらに16日のドアモード切替忘れに対し、 3月17日、国交省は日本航空インターナショナルに事業改善命令、日航ジャパンに厳重注意の警告書を出した。
     その後、3月15日に発生していた東武伊勢崎線竹ノ塚駅踏切死傷事故もあり、国交省は全国の航空と鉄道会社に対し、 安全体制の総点検を4月末までに終えるよう指示した。そして同月、27日には日航グループ、29日には全日空の安全点検状況を視察した。 そして5月15日には日航が配膳カートを収納せぬまま着陸、また国交省に厳重注意を受けた。 5月23日には国交省は成田空港の日航に立ち入り検査を行い、翌6月17日は航空各社への抜き打ちを含む立ち入り監査を増やすことを決めた。 事実、2005年前半は日航のトラブルが目立ち、マスコミにもずいぶん叩かれたが、後半は全日空のトラブルが目立った。 しかし、日航問題の後だったこと、また特殊会社だった日航に対して全日空は民間設立だったからか、マスコミも全日空を大きく叩くことはなかった。
     一方、日航の対策は、事あるごとに減給、責任者の退任など処罰が目立ち、再発防止への具体的、かつ効果的な対策は目立たなかったか、マスコミに取り上げられなかった。 「今後、手順を徹底する」というのは一時的効果があっても、対策としてはほとんど何もしていないのに等しい。 大きく目立った人事は、2005年3月31日でそれまで7年間、代表権を保持してきた日航会長がそれを返上。 日航インターナショナル社長も日航ジャパン社長を兼任する予定だったのが降格、代わりに日本航空社長が4月1日をもって両社長を兼務、 日航グループ最高経営責任者となった。

    【考察】
     本記事に列挙した一連の日航トラブルはマスコミが大きく報道し、原因について様々な意見が紙面、雑誌をにぎわせた。 すなわち、組合の問題、日航―旧日本エアシステムとの統合による弊害、そして日航自らが認めたのが「安全より定刻を優先させた体質」とのことだった。 日経ビジネスでは、3月16日のドアモード切替トラブルの背景として、それまでドア閉、モード切替、乗客状態チェックの3つの作業を終了してからコックピットに連絡していたのを、 ドア閉直後に機体を動かせるよう、それぞれの終了をコックピットに報告するよう2月に手順を変えたとしている。そして現場からの反対を聞かないうちにトラブルが起こり、 3月28日に手順を一括連絡に戻した。定刻を優先させるため、無理な手順を現場に押し付けたことを伝えるいきさつと言えよう。
     手順に無理がないことは、現場の人間とともに十分に検討しなければならないことであり、無理があれば、その作業や思わぬ他の作業にその弊害が現れる、 あるいは現場作業員に無視されることになる。さらに、気が抜ける、体調が悪い、他の作業に気を取られる、 他の心配事で集中していないという状態のある人間にとっては、注意力に頼りすぎる作業も問題がある。
     産業革命以来、日本の場合は明治維新以降であるが、人と機械とが協調して生産、あるいはサービスを行ってきており、 それぞれが受け持つ比率がどんどん機械側にシフトするとともに生産・サービスが高度化している。 一時、作業が機械側にシフトし過ぎた製造業では、自動化ライン、自動倉庫の作業を、その内容によっては人手に戻すことが行われている。
     一方のサービス業では十分な自動化がなされないままに、人手に頼る作業が多く残されている。実際のアナログな作業が得意な人間と、 作業手順や開始時間をつぶさに追い、作業完了を確認するなど、デジタルな作業が得意な機械との協調作業を、人間が考えて工程分担しなければならない。 たとえば、時間になったら食事の配膳に間に合うよう、配膳カートのスイッチを入れる作業では、時間になったらランプを点灯させ、 チャイムを鳴らすのは機械に任せ、スイッチを入れて正しく加熱状態に入ったことを確認するのは人間がやればよい。 整備作業についても作業そのものはそれが得意な人間が行い、手順抜けがないか、取り付けた部品は正しいかなど、もっと機械の力をうまく利用した工夫をするべきだろう。 ハードはそのままで、それを扱う人間の手順を工夫して失敗を減らすのは効果もあるが、限度がある。

    参考文献
    1.株式会社日本航空ホームページ
    2.全日本空輸株式会社ホームページ
    3.ボーイング社ホームページ
    4.エアバス社ホームページ
    5.ボンバルディア・エアロスペース社ホームページ
    6.価値づくり設計、石井浩介・飯野謙次、2008年、養賢堂
    7.フリー百科事典ウィキペディア(2008年8月)
    7.1特殊会社
    7.2日本航空
    7.3全日本空輸
    7.4ボーイング737
    7.5ボーイング747
    7.6ボーイング767
    7.7ボーイング777
    7.8マクドネル・ダグラス
    7.9MD-80/90
    7.10エアバスA300
    7.11エアバスA320
    7.12ボンバルディアCRJ
    8.1The Free Encyclopedia Wikipedia (August, 2008)
    8.2Bombardier Aerospace
    8.3de Havilland
    8.4Bombardier Dash 8
    9.Aviation Safety Network 、Flight Safety Foundation
    10.日本経済新聞、2005年3月1日夕刊,10日朝刊,18日朝刊,22日夕刊,28日夕刊,29日朝刊、4月8日朝刊,14日夕刊、6月18日朝刊、8月13日夕刊、12月2日
    11.毎日新聞、2005年3月13日朝刊, 18日朝刊,23日朝刊,28日夕刊、4月13日朝刊、6月15日夕刊,16日朝刊、7月27日朝刊、8月13日、
    12.御巣鷹山事故から20年、JAL現場不在の咎(どが)、金田新一郎、宮東治彦、日経ビジネス2005年6月20日号
    13.AIR COLLECTION、空の出来事
    14.成田空港サーバー

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