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第23回失敗学会年次大会の報告


デザインチャレンジの結果はこちら

日時:2024年12月14日(土)、10:00-17:30
場所:東京大学工学部2号館 3階 31-A, B室
またはon the NET with Zoom

年次大会資料代:会員・会員ゲスト 4,000円、一般 8,000円
参加者(会場):浅井香葉,網倉麻古,飯野謙次,石川迪夫,宇於崎裕美
                   大久保篤史,加藤由起子,鎌田寛人,川路明人,神田毎実
                   小松仁,佐伯徹,三田薫,高橋武文,高橋昭利
                   滝島大介,田中健一郎,田辺和光,田畑岳雪,中内洋
                   中尾政之,中澤実和,永野海,中村佳世,二平雄二
                   畑村洋太郎,古川元晴,牧英夫,松野昭弘(29名)
       (zoom):岡田敏明,佐々正光,茶木康友,福田晃(4名)(五十音順)
       (一般参加,ゲスト):2名,合計35名

                    記録

10:00 飯野謙次 失敗学会年間報告
10:20 飯野謙次 Design Challenge 要領
10:30 三田薫  危険物の安全管理~失敗学から考える~
11:30 組織行動分科会
12:30 昼休み
13:30 中尾政之、石川迪夫、牧英夫
15:30 休憩、Design Challenge 結果
15:45 永野海
16:45 畑村洋太郎
17:30 終了
17:45 31Bで懇親会

年次大会の様子











危険物の安全管理~失敗学から考える~
-大阪分科会-三田薫(さんだ・かおる)

 消防法における危険物規制は大変厳しいものがあります。それには1964(昭和39)年消防職・団員19名が殉職した勝島寳組(東京都品川区勝島)の爆発火災事故が関係しています。危険物規制の歴史を振り振り返りながら、また2013年京都府福知山市の花火大会では、ガソリンの爆発的燃焼によって多数の死傷者が発生した事故などを掘り下げ、危険物の事故はなぜ繰り返すのか、失敗の法則を理解し、失敗学の観点から許されざる失敗を招かないための知恵を皆様とともに考えます。
令和6年の分科会活動報告-組織行動分科会-
川路明人(かわじ・あけと)

 「組織行動分科会は、2004年発足以来、「組織行動の視点」からの安全推進活動への取り組みを、毎年継続してきました。特に社会的話題になった事故について、発生経緯と原因及び背後要因等についてVTA分析法などを用いて研究しています。
 今年の中心的話題は、1月2日に発生した羽田事故について、全員参加型の分科会活動を目指して、可能な限りの事実調査を展開して参りました。この一年間の調査・研究成果を要約して、川路明人分科会員が発表致します。
考証 福島原子力事故 炉心溶融・水素爆発はどう起こったか
中尾政之(なかおまさゆき),石川迪夫(いしかわ・みちお),牧英夫(まき・ひでお)

著者の石川迪夫講演です。
 「福島原発事故で、冷却水が無くなったら、燃料棒が過熱されて ドロドロ溶けて反応容器の底を破った、という説明は間違い。 冷却水が無くなっても、燃料棒はしばらくは崩壊せずに立っていた。 その後に慌てて冷たい冷却水を流し込んだのが問題だった」
 元日立製作所技師長の牧英夫氏、東京大学名誉教授、 失敗学会副会長中尾政之氏による参考解説があります。
失敗に学ぶ避災と共災のすすめ-3Sと3Kで守る命-
永野海(ながの・かい)

 東日本大震災の津波被災事例の分析から、多くの事例で津波避難の3つのSを揃えられず犠牲が生じていることが分かりました。また、組織の被災事例の分析からは、組織では3つのSに加え、3つのKの欠落が犠牲につながっている実態も見えてきました。3つのSとは《SWITCH》《SAFE》《SAVE》、3つのKとは《訓練》《価値観(組織風土)》《風通し》です。裁判事例をもとにお話します。
 参考:永野海「避災と共災のすすめ―人間復興の災害学」帝京新書、2024年 永野海「みんなの津波避難22のルール 3つのSで生き残れ!」合同出版、2021年
老いの失敗学
畑村洋太郎(はたむら・ようたろう)

 年々「老い」を自覚する機会が増え、不安に思うと共に、「老い」という未知の領域に好奇心が湧きもした。自分の状態や変化を観察してみると、「失敗」と「老い」には共通点があることに気付いた。そこで、自分が長年研究してきた「失敗学」の知見を老いの問題への対処に生かすことができるのではないかと思うようになった。老いから目を背けるより、上手に付き合い、老いてからの人生をそれなりに楽しむのが得策ではないだろうか。


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