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2026 夏の大会に参加して

新潟 山本 直弘

  • 夏の大会での私の質問の趣旨について

     今年の夏の大会での各講師の先生のご講演はいずれも勉強になるものばかりでした。
     各先生のご講演についてそれぞれ感想を述べさせていただきたいところですが、今回は最後の梅村先生のお話しについてのみとさせていただきます。当日は私の質問に対する先生のお答えが音声の状態により聞き取れませんでした。改めて質問(意見)の趣旨を述べさせていただきたいと思います。

     先生のお話の骨子はモノづくりにおけるPDCA、それも失敗学的(危機管理の視点)での品質管理についてのご講演であると受け止めました。
     一般にPDCAは業務やプロジェクトの進め方ということでは企業の中の閉じたサイクルの話になるかと思います(梅村先生のお話も企業内の閉じたサイクルのお話という理解でよろしいでしょうか)。しかし私は「モノづくり」や「サービスの提供」について、それも危機管理の視点で考えるとき、企業の中だけに閉じず、製品やサービスを受けるユーザーを入れたPDCAが欠かせないのではないかと考えます。
     モノやサービスの提供者は兎角「ひとりよがり」の設計を行いがちです。自分が提供するモノに精通する者は操作性について違和感を持ちません。“このように使う”ということが自分の中に「自然に定着しており」目をつぶっていてもまず誤操作をすることがないからです。万が一「使いにくい」という意見を聞くと設計者は「慣れれば済むこと」と片付けてしまいがちです。テレビのリモコン一つとっても、メーカーが違えば同じ機能のボタンの表示や配置が逆であったり、まったく違ったり、独自の機能ボタンが大きく配置されていることもあります。
     デジタル化が進み多くの家電や日曜品、それこそ自動車まで高機能化し一般には使われない機能のボタンが所狭しと配置されています。そのまま実装するとボタンが多すぎて困ると考えた設計者は、一つのボタンに全く機能の異なるものを載せ何回か押すことで機能をオン・オフするようになっていることもあります。そこには「間違いない操作をしてもらう」ためにメーカー間でデザインの統一を図る(ユニバーサルデザイン)といった共通思想が見受けられません。
     自動車に関してはさらに問題は深刻であると考えます。
     社会の高齢化が急速に進む中で、モビリティは化石燃料からの大きな転換期を迎えています。高度の操作をせずとも安全な移動を提供する機能が求められているわけですが、EVも新しい内燃機関もその基本的な操作性は従来と変わりません。それどころか(クリーピングで)「勝手に動くオートマ車」が市場を度巻し、アクセル・ブレーキの踏み間違いという誤操作の誘いかねない仕組みが従来のまま踏襲されています。自分の操作する機器装置が勝手に動くということは本質安全の観点からは見逃せない瑕疵であるとも考えられます。移動に関する次世代へのパラダイムシフトの時期に改善すべき点は多々ありながら(死角の排除、軽量化、さらには物流そのものの変革など)、まったく新しい概念の抜本的な安全設計といった改革が進まず現状が全く「停滞」していることは公共交通不在の地域社会にとっては「死ね」と言われているのも同然です。(例えばブレーキや電子制御はあくまでも制御安全であり「ブレーキを強化すればいい」「高度なAIでブレーキをかける」ではなく、死角の排除や軽量化といった改善で本質安全を追求すべきではないかということです)
     今リチウムイオン電池の発火・爆発による火災が問題になっています。開発メーカーは当初この扱い難さに手を焼き、実用化までに多くの時間を費やしました。リチウムイオン電池に「爆発性」というリスクがありその品質管理が極めて重要であることは大手メーカーではよく知られていたことです。そんな大事な電池の特性や留意すべき使い方(捨て方)を知らない多くのユーザーに、質(たち)の悪いメーカーの製品が出回り多くの事故を起こしているわけです。
     スマホの利用に関してもSNSの利用で起こっている様々な事件ばかりか、そもそも携帯電話やインターネットの仕組み、契約内容がユーザーについて十分に理解されないまま契約が行われ、高額な支払いを続けている例は枚挙にいとまがありません。
     規制緩和で高機能・高性能の製品が安く多くのユーザーに行き渡るのはよい反面、本来取扱いには十分な知識を要し有資格者が使用すべき高度な製品(スマホやAI)、危険物(リチウムイオン電池・医薬品など)は、ユーザーをPDCAのサイクルに入れ、その十分な管理を含めて運用されるべきなのではないでしょうか。
     それぞれのアイテムやサービスに関して「理解が十分に進むまで普及させてはならない」ということを言いたいわけではありません。
     改めて述べるとすれば、ここまで高機能化が進み使いこなしがユーザーにとって高いハードルになっている状況を鑑みて、人間工学的(人間主体)にどう折り合いをつけるのか、モノづくりやサービスのPDCAにユーザーを入れて「間違いのない操作」「使いやすい高機能」を実現することが提供側の姿勢として極めて大事なのではないかと考えます。


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