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大阪分科会「ヤマトプロテック(株)」見学記

日時:2007年3月24日(土)
    13:00-15:00 概略説明と工場見学
    15:30-17:20 意見交換会
    17:40-19:40 懇親会(富田林駅白木屋)
見学会参加者: 飯野謙次,大澤 勲,本多 茂,木田 一郎,平松 雅伸,原口 文徳,小川 正, 児玉 仁,三田 薫,藤井 信彰,岡田 敏明,福井則夫,進 博人,中尾 英和, 天野良三(ゲスト)
ホスト:乾 雅俊,南 達也,惠 宏敏,平井 四朗 (19名.敬称略)

富田林駅集合
   第39回懇談会の(株)ダイフク見学以来,久しぶりの工場見学に心躍っていたが, 前日に調べてみると,新大阪からの乗り換えロスも入れると50分はかかろうかという富田林駅に12:30に到着しなければならなかった. 大阪でのローカル線乗換えに余裕を持たせるため,東京駅 7:36のひかりに乗ることにした.土曜早朝の新幹線はさすがに空いている.




   JR天王寺駅から近鉄あべの橋駅へと歩き,河内長野行きの準急に乗った.目的駅の富田林が近づくと車内の乗客もまばらになり, 一人,二人とおなじみの顔を見つけてホッと安心.やはり遠方からの参加は『日を間違ってないだろうか』と,ふと不安が頭をよぎるものだ.
   駅に到着すると,改札を出たところで既に待っておられた方たちと『やあ!』と挨拶したり, 初顔合わせの名刺交換の儀を行ったり,余裕あったはずが昼食はファーストフードをかき込むことになってしまった.

ヤマトプロテック到着
   駅からタクシーに分乗し,ヤマトプロテック(株)に到着すると早速会議室に案内され,概要説明が始まった. 創業1918年の同社は消火器の老舗.今では消火・防災に拘る事業一切を行っている. 中でも,新設が予定されている展示ルームには,今までに同社が経験してきた失敗事例も展示する予定だという. 失敗学会法人会員の中で実際に失敗学を実践し,役に立てようとされているところに脱帽. また,動作保障期間を過ぎた古い消火器の回収率は,業界の中で群を抜いて素晴らしい.
   見学は,社員食堂のキッチンに取り付けられた消火システムから始まった.わかりやすいように, ところどころ透明板で内部構造が見えるようになっている.消火設備を扱うヤマトプロテックの台所なのだから, 火災に対しては,世界一安全なキッチンと言えよう.
   雨が小降りになったところで屋外に出,壁取り付け式の横噴出型散水システムを見せていただいた.最近増えてきた, 中央部が吹き抜けになっているビルの火災時に活躍するのだという.なるほど,本所防災館を訪れた時に教わった 『火を消すときは,炎ではなく,火元に向かって消火剤をかけること』という教訓を思い出す.はるか上からのスプリンクラー散水では, 火元に到達する前に水が蒸発してしまう.

現場・現物・現人
   いよいよ製造現場の見学だ.見慣れた消火器の部品が成形,塗装され, 組み上げられていく様を目にするのは圧巻だ.やはり,現物,現場を見,現人と言葉を交わすのは, 工学を行うものには何事にも代えがたい貴重な経験である.
   工場内のあちこちでは『不具合の棚』のようなものが置いてあり, 過去にあった不具合の実物を展示している.やはりここでも失敗学が活用されていた.不具合の実物を展示するのは, 『同じ失敗を繰り返したくない』という経営者の切実な思いの表れだろう. 工場と言う限られた社会の中では,当事者や管理者は『恥をさらしているのではない』と高い意識を持つことでこれが実現できる. これがもう少し大きな,社会という枠になると,途端に情報開示性が悪くなる.事実をさらけだす者と, その結果恩恵を受ける者が同じであることはまずなく,情報開示をすることに対する利益が見え難いのが原因だろう. それでも勇気ある展示に踏み切る企業が増えてきた(失敗体験施設名鑑参照). 社会の利益という一段高い立場に立っての英断だ.

   見学はその後,霧噴霧消火システム,CO2消火システムと続いた.CO2消火システムは, 実際の噴射を見ることができた.すごい迫力の消火ガス噴射で,この日このデモを見た我々は, 実際CO2消火システムの作動警告を聞く場面に出くわしたら,貴重なデータのバックアップなぞおっぽり出して真っ先に逃げるだろう. やはり実物を目にするのは効果百倍だ.

強さの秘密
   見学も終わり,ヤマトプロテック(株)技術陣を交えての懇談となった.失敗学会には,その道の専門家も多い. 技術的にかなり細かい質問や,工程,市場に関するものまで出る中で,この懇談に同席された同社社長も次々に質問に答えておられた. そういえば,我ら一行の見学にも着かず離れず,現場を歩いておられた姿があった.世に言う『社長』 のイメージとはちょっと違うのがこの会社の強みなのだろう.
   様々な話題が飛び交った中で初めて認識して驚いたのが,消火器の安全栓(以下ピン)である. 間違って消火剤噴射が起こらないよう,消火器上部にピンがついている.消火器を操作する場所まで消火器を運んだら, まず最初にする操作はピンを抜くことである.これが,日本では,写真左にあるように黄色いリングに指を引っ掛けて上に引っ張ってピンを抜く. 消火剤の噴射は,大きな洗濯バサミ状の握り部を上下に握るのだから,人間工学で考えると,横に抜くのが自然だろうとの意見が出た. もっともである.実際この意見を述べた会員によると,消火器の誤った使い方に,設置場所から火災地点まで消火器を運ぶときに消火剤を噴射しきってしまい, いざというときに空っぽだったということが多いそうだ.確かにこの黄色いリングは,持ち運ぶときに指をかける運搬用のアイボルトに見えてしまう. ちなみにアメリカの事務所備え付けの消火器を引っ張り出してみると,ピンは横向きに抜くようになっていた(写真右).
   みんなで悩んでいると,別の会員が消火器ピンの歴史を披露してくれた.あるとき,ピンの操作を統一することになり (ここまではいい方向を向いていた),どのメーカに対しても平等な決定を, との理由で当時誰も使っていない方式を採用することになった.人が誤った操作をするから, 誰も採用しなかったのではないかと考えてしまう.ちなみに当時のヤマト消火器(株)は,横向きに抜くタイプだったという. それをどこでも使用していなかったという理由で上抜き型のピンを採用し,各メーカにもその方式に切り替えることを強制した. 考えられないようなミスといっても過言ではない.この消火器ピンのいきさつを教えてくれた会員は,当時横抜き式をずいぶん押したそうだ. ところが,現場を知らず,現物を触ったこともない人や,そういった人の集まりが決定権を持つことの弊害がここにある.時間がかかってもいいから, 改めるべきだろう.意見交換は予定時間をオーバーして続いた.

   このたびの見学会では,ヤマトプロテック(株)に大変お世話になった.大阪分科会長の大澤さんにも御尽力いただいて実現したイベントだった. この場を借りて改めて御礼を申し上げます.

見学者一同とヤマトプロテック(株)の皆様と記念撮影

(飯野謙次)

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