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失敗体験NW、「足尾銅山」訪問記録


日 時: 2010年11月14日(日)
参加者:中田邦臣、三谷洋
経緯:
 足尾銅山見学の経緯や足尾銅山の歴史等は、「失敗体験NW、「足尾銅山」見学会(Part1)」に詳しいので、ご参照頂きたい。
 この見学会の日程調整の最中、NHKで足尾の様子や足尾の歴史を残そうとしている小野崎敏氏(日鉄鉱業株式会社名誉顧問、 NPO法人足尾歴史館副理事長)の姿が放映された。小野崎氏は三谷の出身大学の先輩であり、 この情報が最近加入した同窓会理事会で流れたことがきっかけとなり、 東京産業考古学会設立15周年記念講演「足尾銅山400年」を聞く機会を得た。
 小野崎氏の講演は「明治30年鉱害防止工事写真(46枚)公開と解説」と題するものであった。 古河鉱業の写真師であった小野崎氏の祖父・小野崎一徳氏が撮影し、 2年ほど前に見いだされた当時の工事写真46枚の解説とともに、鉱害発生の原因、 当時の鉱害防止対策の概要、鉱害防止技術が現在どのように使われているのか、 鉱害により禿げ山となった足尾の山々の自然回復技術等が紹介された。詳細は、 小野崎氏の著書「小野崎一徳写真帖 足尾銅山」(新樹社)をご覧頂きたい。なお、 もう1人の演者は後述の元NHK解説委員・小出五郎氏で「足尾から見た世界、世界から見た足尾」である。
 これらは、11月28日(日)の「失敗学Forum 83 in杉並 足尾銅山の光と影」開催へと繋がっている。
 今回は、10月10日の見学会に参加できなかった上記2名が参加した。電車での移動である。

行程・見学:
8:50   東武線特急「りょうもう号」で浅草駅出発。
相老駅まで、乗車券1,160円、特急券1,000円
乗車車両の乗客は、浅草では数人であったが、北千住、春日部を通過するとほぼ満席となった。 三谷は、中田さんから借りた、小出五郎著「沈黙のジャーナリズムに告ぐ」(水曜社)を枕に熟睡。 この本は、足尾に関わった「ジャーナリストの源流に位置する」荒畑寒村、田中正造、 小野崎一徳を取り上げている。小野崎一徳については、次の4点で、 「フォトジャーナリストのパイオニア」として評価が高い。
  1. 足尾銅山に人間の営みを追うという姿勢を常に忘れていない
  2. 何でも記録する精神
  3. 写真の記録にさまざまな工夫を凝らしている。職人芸を極めている
  4. きれいごとだけを写真に残しているわけではない。古河鉱業の写真師ではあったが、雇い主におもねることなく事実を丁寧に残している
10:44   わたらせ渓谷鐵道で相老駅出発。通洞駅まで、960円
11:14   わたらせ渓谷鐵道トロッコ列車で、大間々駅出発。乗車整理券500円
  • 昼食は、トロッコ弁当(900円)、やまと豚弁当(和手ぬぐい付。1,000円)       
  • わ鐵のお守りは列車が雨の日や坂道でスリップした時、車輪とレールの間に撒いて滑り止めにする砂が入っている。 息子の合格祈念に購入した
「足尾歴史館」友の会一日会員券350円
  • 長井館長に挨拶し、小野崎氏から手配頂いていた11月28日配付用の資料を受領
  • 足尾歴史館は、足尾地域に残る歴史的資料等の調査記録・保存活用や人的交流を目指して設立された。 その歩みは、2002年の「ふるさと足尾歴史セミナー」受講にはじまり、2004年の足尾町営旧スケートセンター貸借契約締結を経て、2005年4月に開館された。2006年9月にはNPO法人となっている
  • 発足後から昨年まで6年間の延べ入場者は、約4万人である。なお、12月から3月は降雪のため休館
  • 足尾銅山は1973年に閉山し、1980年には「足尾銅山観光」が開設された。1996年には「足尾に緑を育てる会」が発足し、植林がはじまっている。なお、明治44年に開通した足尾鉄道は国鉄、JRを経て、現在の「わたらせ渓谷鐵道」(営業開始1989年)となっている
  • 野外スケート場跡地では、往時、足尾の街を走っていた機関車「ガソリンカー」が復元されていた。将来的には、ガソリンカー、トロッコ列車の動態展示、足尾駅博物館の計画もあるとのこと
  • 普段は非公開の「小野崎文庫」を見学。足尾に関する膨大な資料や当時の何十万もする資料(ガラス越しに見学)などを見せて頂いた。また、別室に、膨大な基礎資料も保管されている
  • 浅野さんのお父様が寄贈されたものがあったはずなので、館長に聞いたところ、 ご本人がいらっしゃるとのことで、寄贈されたカメラ・ビデオ(秋葉原にて160,000円で購入)の前で記念撮影した
  • 古河の教育係・小田川全之氏は、米国訪問時でUSスチールが提唱した安全最優先の考え方「Safety First」に触発され、 これを「安全専一」と訳し、足尾銅山で安全運動を展開した。これは、後に「安全第一」の全国標語となる
  • 足尾は世界遺産登録を目指している。世界遺産には、文化遺産と自然遺産があるが、 初めての公害とそれを克服した産業遺産という新しいジャンルでの登録を目指しているそうだ
  • 足尾には日本で初めての生活協同組合がある。古河で働く人々のためで、「購売組合本山三養会」として足尾町本山に発足した。 従業員には「通帳」が渡され、それを持って買い物をし、精算は後日給料から天引きされた。 現在のクレジットカードである。なお、「三養会」の名前の由来は蘇東坡の『群談餘採』の3つの「養」からきている。
    1. 「安分以養福(安分は養福を以てす)」
    2. 「寛胃以養気(胃を寛くして以て気を養なう)」
    3. 「省費以養財(費をはぶきて以て財を養なう)」
「足尾銅山観光」800円
  • トロッコで入坑。「宜しかったら買って下さい」と言うことで、記念撮影
  • 展示されている人形は、一つ一つ表情が違っており、坑道見学の確認ポイントの一つである
  • 出口では入坑時撮影された写真が掲示されていた。「Onozaki Photo Studio」である。 小野崎敏氏のお兄様がいらっしゃってご挨拶した
「足尾精錬所跡」「古河橋」「植林地」
  • 古河橋は、ドイツから運ばれ1980年架設されたもので日本初の鉄の橋と言われている
  • ここ数年、尾瀬の植林に参加しており、足尾の植林には興味を持っていた。比較的平坦な地での植林である尾瀬と違い、 足尾は急峻な山肌での植林であり、相当な労力が必要と思われた。機会があれば参加したい
  • タクシーで移動したが運転手のNさんは、足尾生まれの4代目。初代は、足尾銅山で働いていた。 初代は塵肺で亡くなったそうだが、焼き場では「チャリン」という金属音がしたとのこと。 現在なら防塵マスクの使用が当たり前だろうが、当時が偲ばれる
「若竹」夕食。肉丼(600円)
三井住友VISA太平洋マスターズでの石川遼逆転優勝をテレビでみる
17:20   通洞駅発
運転手のIさんから、神戸駅付近から鹿が見られることがある、 との声がかかった。私たちは見逃してしまったが、線路脇に鹿がいたそうだ。 Iさんによれば「もう少し遅い時間でしたら、鹿が多くみられ、奈良公園状態です。 ライオン、キリン以外ならイノシシ、タヌキでも何でもいます。4日前は、足尾駅付近で、月輪熊を見ました」とのこと
18:32    相老駅着。駅前の「しんかど」で休憩
19:10    特急「りょうもう号」で相老駅出発
21:05    無事、浅草駅着。解散  

私が大学同窓会理事にならなければ、小野崎さんの活躍を知ることはなかったし、 それがなければ今回、足尾に行くこともなかった。また、浅野さんのお父様、 小野崎さんのお兄様にお会いするなど、何か「縁」を感じる旅であった。

                              
(三谷 洋)

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