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失敗学会春合宿2011
大国主と島根の産業体感ツアー(Part1)

日時:2011年 5月20日(金) 12:30〜5月22日(日)12:30
参加者:飯野謙次,浅井香葉,三田 薫,北村兼一,岩崎雅昭,岡田敏明,平 和昭
          平 真寿美,佐々正光,斉藤貞幸,佐々木英三,黒澤愼輔,横井祐一,福本喜枝
          [21〜22日参加] 石井健児,木田一郎

スケジュール

   5月20日(金)
   12:30 安来駅集合(東京発は 6:30のぞみ)
   12:45  和鋼博物館(45分見学)[300円]
   13:30 バス乗車、出発
   14:30  奥出雲たたらと刀剣館(30分見学)[510円]
   15:15 バス乗車、出発
   15:30 日刀保(にっとうほ)たたら 着
   15:45 木原明さん(日刀保たたら 村下(むらげ))講演
   16:45 質疑応答
   17:00 終了〜懇親会
   19:00 バス乗車
   20:00 ホテル上代(雲南市三刀屋町三刀屋20)着

   5月21日(土)
   石見銀山コース
   09:30 バス乗車
   11:00  石見銀山公園
             早めの昼食(cafe住留)
   12:00 銀山エリアコース、龍源寺間歩他
            ガイド:小田康子さん
   15:00 ガイドツアー終了
   15:05 群言堂訪問
   16:45 バス乗車、出発
   18:30 松江ニューアーバンホテル
            (島根県松江市西茶町40-1)着
   たたら鍛冶工房小刀製作体験コース
         体験費用は15,000円
   08:40 タクシー乗車
   09:00 たたら鍛冶工房
         (雲南市吉田町吉田892-1)
         にて体験開始
   16:00 終了〜タクシー、電車乗車
   18:00 ホテル着

   18:45 飯野謙次講演「日本の原子力発電概説」
   19:30 終了

   5月22日(日)
   08:40 中国電力マイクロバス乗車
   09:00  島根原子力発電所 訪問
   12:00 中国電力マイクロバス乗車
             (出雲大社に出向く人は松江しんじ湖駅で下車)
   12:30 松江駅着 解散


この写真は会員のみ  今回の集合はJR山陰本線安来(やすぎ)駅だ。安来と聞くと、まずどじょうすくいの安来節を思い出す。 どんなだったかなどと頭を絞ると、“やぁすぅきぃ〜、庭先ゃ多摩湖ぉ〜”と東村山音頭と混じってしまう。 それにどうしても、踊っているのは故いかりや長介さんが目に浮かぶ。 あの長身に、腰とひざを折りまげて踊るひょうきんな姿が忘れられない。
 最近のお笑い芸人はあまり古典的な芸はやらないようだ。 自然、どじょうすくいの安来節を見たことのある人も少ない。ネットでその歌詞を探すと、以下の一節が出てくる。
 “出雲名物、荷物にならぬ。聞いてお帰れ、安来節”
しかし、これも 安来節保存会のページ に表示されている 82行からなる素唄のほんの一行にしかすぎない。 安来市観光サイトの説明によると、 のん兵衛達が酒の肴にどじょうを自ら捕まえた時の様子を、座興として面白おかしく踊って見せたのがどじょうすくいの原点。 これを渡部お糸さん(安来市名誉市民)が一座を組んで安来節を歌いながら大正から昭和初期に全国に広めたらしい。 安来駅には、現代風アレンジの“かわいい”像やフィギュアが並んでいた。
 今回の目的はしかし、玉鋼(たまはがね)造りと和鋼鍛造、それに銀堀りと原子力発電について学ぶこと。 庶民文化から芸への発展については別の機会に譲らねばならない。

 岡山発の特急“やくも”では車内販売はありませんよ、という親切な注意書きをすっかり忘れていた僕は、 まあ安来駅でサンドウィッチでも買おうと思っていたら、駅のコンビニというものがなくて少しびっくり。 気を取り直しておみやげ物屋さんで大きな飛び魚の竹輪を2本買った。ここでは、“あご野焼き”と呼んでいる。
 一風変わった昼食をかじりながら、駅から15分の道のりを歩いた。幸いそのときはお日様が顔を覗かせていた。 到着してみると、屋外にはまるで溶岩のような鉄の塊が野ざらしでおいてある。後でこれがたたら製鉄の製品、 ヒ(けら)であることを知る。

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 残念なことに、館内は写真撮影ができなかった。しかし、たたらの炉と鞴(ふいご)を目にし、 ヒの断面にどう玉鋼が分布するのか、またその玉鋼にも等級があることを知った。 ここで見たたたら製鉄のDVD映像は、その日の後の見聞に大いに役立った。

 和鋼博物館を後にし、チャーターしたマイクロバスに乗って一行は奥出雲に向かった。 時間調整のため、まず、たたらと刀剣館に寄り道。入り口にはこの地方伝説の “八岐大蛇(やまたのおろち)”の現代風モニュメントが私達を迎えた。屋外にあり、 ピカピカ光っているのだからステンレス製であることがわかって少し興ざめだ。木原さんを待つ私達は、 名誉館長のネームプレートをお借りして記念写真を撮った。たたらと刀剣館も中では写真撮影できない。

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 八岐大蛇を退治したのは、須佐之男命(すさのおのかみ、すさのおのみこと)である。 その出生については“雨のしまなみ海道を往く”に紹介した。 高天原(たかまがはら)では、姉の天照大神(あまてらすおおみかみ)が困って天の岩戸に隠れるほど乱暴だった須佐之男命も、 高天原を追われて地上に降りてからは、 八岐大蛇の生贄にされようとしていた櫛名田比売(くしなだひめ)を、機転を利かせて助けている。 機転といっても、用意された八つの酒桶に首を突っ込んで飲酒した挙句に酔っ払い、 寝首を掻かれた大蛇(おろち)も情けない。さしずめ倭の国に生きた物のなかで、酒で失敗した第一号というところだろう。 めでたく結ばれた須佐之男命と櫛名田比売の子孫に、 今回の合宿最終日のオプショナルツアーだった出雲大社に祀られている大国主命(おおくにぬしのみこと)がいる。

 写真撮影はできなかったものの、たたらと刀剣館には、実物大たたらの炉が展示してあった。 なるほどこれはわかりやすい。 予備知識を十分に蓄えてからの木原さん講演と日刀保(にっとうほ)たたら見学は、抜群に効果的であった。

この写真は会員のみ  木原明さんが待つ日刀保たたらに移動。 現代の名工(卓越した技能者)として厚生労働省にも表彰されたたたら吹きの村下(むらげ)と挨拶を交わして少しく緊張する。 村下とは、たたら製鉄の一切の工程を仕切る大親分だ。
 木原さんには、“たたら製鉄の技と精神(こころ)”と題した御講演をいただいた。 その中で驚いたのは、砂鉄採掘のため、重機のない時代は人が崖の下で少しずつ壁を削り、 上の壁が崩れるのを待ったという。いよいよ崩れそうだと思ったら砂鉄入りの土砂に埋もれてしまわぬよう逃げたとのこと。 まさに命がけである。上から徐々に掘っていたのでは時間がかかりすぎたためということだった。 今も昔も効率のため、現場の作業員が犠牲になる。
 たたら製鉄は砂鉄の採掘、木炭製造のための森林計画から始まる。 そしてたたらと刀剣館で見た、たたら炉を丹念に作り上げていく。火を入れるのは三日三晩かも知れないが、 そのための前準備は、一年中ということだろう。さて、火が入るとまず木炭と鞴からの空気で炉が焼かれ、 準備が整うといよいよ木炭とともに砂鉄が投入される。 数時間もすると、不純物と、侵食された炉内壁の滓(かす)が、 まるで火山から流れ出す溶岩のように炉が地面と接しているところから流れ出す。これを鉄滓(のろ)と呼ぶ。
 八岐大蛇を退治した須佐之男命は大蛇の尻尾から、鋼製の天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)、 別名草薙剣(くさなぎのつるぎ)を切り出す。 これが三種の神器の一つで今では愛知県、熱田神宮の御神体となっているらしい。 ひょっとして目が真っ赤に燃えていた八岐大蛇伝説はこの鉄滓をイメージして生まれたのではないかと思った。
 さて三日三晩、たたら炉の火加減を調整しながら砂鉄と木炭をくべ続けると、高純度の玉鋼を含んだヒが完成する。 その終業のタイミングは村下の判断であり、その時には薄くなった炉の壁は限界に来ているらしい。 そしてできあがったヒは炉を壊して取り出す。高炉を使った現代製鉄では、日本刀に使用するこの玉鋼はできないということだ。

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 講演の後、日刀保たたらの中を案内していただいた。実物を前にした匠の説明に、みんな思わず引き込まれていた。 来年の操業を静かに待つたたら炉のエリア。もちろんその地下構造は先の展示館を見ていなければ想像もつかない。 さらに木炭製造のための炉、鞴の代わりに送風を担っている機械類を見せていただいた。 たたら吹きでは、空気供給のために天秤鞴(てんびんふいご)を踏むのが一番の重労働だったそうだ。 “もののけ姫”では、女性軍が数人で一つの鞴を踏んでいた。 これは展示館で見た天秤鞴ではなく、それが江戸時代に普及する前まで使われていた踏み鞴であろう。

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 最後は野積みになった鉄滓を前に、会話が途切れることはなかった。 歓談はそのまま懇親会に持ち越された。 木原さんにも快く参加していただき、土地勘のない私達に近くの旅館の宴会場を紹介していただいた。 どこの世界でも、トップにいる人は意外に気さくなものだと思う。その域に達していない者や取り巻きがえてして気難しい。 ひとしきり談笑した後、匠は「歩いて帰るから」と、マイクロバスに乗り込んで雲南市のホテルに向かう私達に手を振ってくださった。
【飯野謙次】
Part 2a はこちら
Part 2b はこちら

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