(子供に体験させたい)50の危険

吉岡さんに、“これ、面白いから失敗学会に差し上げます”と献本をいただいた。
"50 Dangerous Things (you should let your children do)" と題されたこの本、
イラストつきで確かにとても面白い。
1番、“9ボルトのバッテリーを舐めてみる” に始まり、49番、“屋外で一泊してみる”、
そして50番は、“自分で1つ決めてみよう”。どうやら、アメリカでも話題になったようで、
Fifty Danerous Thingsというホームページまでできているから驚きだ。
先日事務所内で、バッテリーが死んでいるみたい、
というのでやにわにそれを舐めた筆者に事務員さんが目を丸くしていた。
「なにをしているんですか」と怪訝そうに、いかにも変なおじさんにあきれている目つきだった。
「バッテリーを確認しているだけや。でも、このまっすぐなタイプは結構難しいねん」

"50 Dangerous . . . " の9ボルト電池は、図中右のようにボックス型で、プラス(小ぶりの円筒形)とマイナスの端子(スリットの入った六角形)が、
どちらもボックスの上面に取り付いているので、舌で両方の端子を同時に舐めるのは簡単だ。一方、単三など 1.5ボルトの電池は、
プラス端子がマイナス端子の反対側にあって、どれだけ長い舌の持ち主であっても、両端子を同時に舐めるのは至難のわざだ。
そこでどうするかと言えば、舐めてぬらした指をマイナス側に押し付けながら、プラス端子を舐める。初めてやってみる人には、
1.5ボルトの微小な電圧はわかりにくい。その場合は、2本直列に並べてぬらした指を2本目のおしりに当てて1本目のプラス端子を舐める。
少し酸っぱいような味の正体が3ボルトの電圧が生む微弱電流。マイナス側に押し付ける指をぬらすのは、
電流が流れやすくするための工夫だ。
本の中には、本物の車を運転してみるとか、線路に1セントコインを置いて潰してみようとか、
まあ日本の親が聞いたら目くじらを立てて“絶対にダメ”と言いそうな体験もたくさんある。
味噌は英語題の括弧の中の文 "you should let your children do"、
つまり子供がやろうとしていたら知らん振りをしてやらせようということだ。
邦題「子どもが体験するべき50の危険なこと」として翻訳本も出ている。
大人が読んでも、ああ、やったことがある、と思わず心で思って公の場では言えないこともあるだろう。
興味ある方は以下リンクからどうぞ。
【飯野謙次】
日本語訳本はこちら
英語原書はこちら