特定非営利活動法人失敗学会 |
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福島2号機圧力容器高温のなぞ12月20日発行、“第68報: 我々はどこで間違えたのか?”を持って、吉岡メモは一応の終結を見た。 3月14日の第一報から、日本国民、マスコミ、 さらに外国メディアにまで情報発信を行なってきた一連のメモは、 失敗学会の認知度向上にも大いに貢献した。 その吉岡さんから 2月12日、一通のメールが届いた。福島2号機の圧力容器内温度が一部、 80度を越えたことが東電により報告され、一部報道では、臨界?、 冷温停止ができていないと騒がれたのである。もちろん、吉岡メモが終わったからといって、 福島第一原発事故が収束したわけではもちろんない。 「大丈夫でしょうか?」とある雑誌記者に質問された吉岡さんが、 久しぶりにメモを書いて下さった。翌13日夕方に、 判明したセンサー故障を予言し、もし故障でなかったら、 なぜこのような高温が検出されたかの解説である。 そのメモについての通信から、
(前略) 温度計は故障すると温度が高いほうに出てきて最後に振り切れるという故障モードで設計されています。
その方が安全側だからです。 この話を、ある雑誌記者にしたら「下がってくれれば安心 なんですが・・」と言われました。 (後略) 壊れたセンサーが安全側を示すのであれば、それこそ大変だ。 危険な現象が起こっているのに、間違ってそれが安全に見えているからである。 ここで、思い出されるのが畑村会長提唱の 『本質安全』 と 『制御安全』 である。 制御安全は、もちろん状況把握の手段としてセンサーに頼っている。 センサーと言う工業製品は壊れることがある、ということを肝に銘じよう。 それが理解できなければ、原子力発電を安全に御していくことなど到底できっこない。
【飯野謙次】
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