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首都圏外郭放水路 見学記

日 時:2012年2月23日金曜日
場 所:首都圏外郭放水路(埼玉県春日部市上金崎720)
参加者:[会員5名] 飯野謙次,斉藤貞幸,滝沢真一,福本喜枝,廣田純子

【行程】
15:00 首都圏外郭放水路、龍Q館
16:30 見学終了


 「地底神殿の旅へようこそ」
 この謳い文句に心惹かれ、首都圏外郭放水路見学会に参加すべく、 春日部市へとむかったのは寒さが少し和らいだ2月最後の金曜日のことでした。
 首都圏外郭放水路は、洪水対策の施設で、中川・綾瀬川流域を浸水被害から守っています。
 その仕組みは、流域の中小河川の洪水があふれだす前にその水を地下に取り込み、 地下50mを貫く総延長6.3kmのトンネルを通して江戸川に流しているのです。

 外郭放水路の機能は、大きく分けると3つあります。地上に溢れた洪水を地下に取り込む機能、 水を地下空間に溜めておく機能、そして貯まった水を吐き出す機能です。
 私たちが実際に見学できたのは、水を地下空間に溜めておくための調圧水槽でした。 地下へ続く100段の階段をおりて行きますと、そこには荘厳ともいえる異次元のような空間が広がり、 その空間を支える59本の柱の巨大さに圧倒されてしまいます。

 そのままでは甚大な洪水被害が発生するような大雨が振り出したとき、 雨水と川の増水分はこの放水路に流れ込み、排水機場のポンプで江戸川に放流されます。 定常状態での処理能力は、毎秒、一般的な25mプールに等しい容量というとてつもないスケールです。 普段は空洞の調圧水槽は、周りの地下水からのアップリフト(揚圧力)によって押し上げられます。 調圧水槽の巨大な支柱群は、この時調圧水槽が浮き上がるのを防ぐと、 案内役の方の説明を聞き、水の力のすさまじさに恐怖を感じないではいられませんでした。

 この時私は、思わず東日本大震災での津波を想起してしまいました。 迫りくる水の恐怖は言葉では言い尽くせなかったに違いありません。 被災された方々の胸中は察するに余りあり、言葉をなくしてしまいます。
 しかし、自然の脅威の前に私たちはただ立ちつくしているだけではなく、 共存するために様々な創造・工夫を生み出してきたのも事実です。 そのひとつが、水害を防ぐためのこの放水路であり、また、堤防だと思います。 失敗を生かして未来につなげることが大事なのではないでしょうか。

 ところで、今回の見学会は、危うくお流れになるところでした。 十分な時間余裕をもって出発したはずが、 道路工事による大渋滞に飯野、福本、廣田組が巻き込まれてしまったのです。 いよいよ間に合わないと分かった時、 途中でピックアップ予定だった斉藤・滝沢組に連絡をして先に受付手続きを取っていただき、 少々の遅れで滑り込みセーフとなりました。
 あれこれと代替案をその場で考え、検討し、 最良の選択肢を間髪入れずに実践する失敗学の経験者達に学ばせていただきました。  ここでも私は、失敗をネガティブにとらえずポジティブに、、、 という失敗学の真髄にわずかながらも触れる機会をいただいたと思います。
【廣田純子】



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