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特定非営利活動法人失敗学会 |
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失敗学講演の旅 19 Part1高松はなまるに日系産業を思う
7月連休前の13日金曜日、香川の高松で講演を行った。
その日の宿泊で全国47都道府県、
未だ一泊もないのは徳島一県になった。全国制覇も近い。
岡山まで新幹線、瀬戸大橋線は快速マリンライナーで渡った。
幸い先頭車両の一番前に乗れたので、この日は珍しい光景に出会った。
運転士のタマゴ2名が運転士の横で見習い乗車。
指を差して声を出す場面が来ると、運転士の後に続けて指差喚呼の練習をしていた。
女性運転士見習のしなやかな指が指差をすると、思わず目尻がさがるのはオヤジだからか。
両脇を固めた運転士と男性運転士見習の表情が見えずに残念だった。
高松駅に早めに到着してチェックインを済ませ、
講演用パソコンを担いでいつものように傘をポケットに突っ込んで会場まで歩いた。
会場の控え室で待っていると、途中で降ってきた雨はあれよあれよという間に雷を伴う大雨になった。「あらあ、ひどい雨になってきたわね」 人を見たら悪人と思えと教えられる都会は世知辛いが、 地方に来ると立派なホテルの衣装をまとった人も気さくだ。 「あそこのやぐらは登れるのですか」 「さあ、私はあまり行かないけどどうかしらね」 雨に煙る写真右側が今は玉藻(たまも)公園と呼ばれる高松城跡だ。 柿本人麻呂が讃岐の国の枕詞に“玉藻よし”を使ったことに起因して、 この一帯の海が“玉藻の浦”と呼ばれていたらしい。 1,200年以上も経つのにその地名が今に受け継がれている。 写真左側、近代的な白い大きなビルの手前、 ひっそりと戦国時代のたたずまいを見せているのが月見櫓(つきみやぐら)と後でわかった。 翌日の観光計画は玉藻公園ではなく、どこか違うところに行こうとそこで変わった。
無事講演を終えホテルに戻る途中、はなまるうどんの店舗が目に付いた。
残念ながら2000年創業時の一号店木太町(きたちょう)店ではなく、
兵庫店だった。はなまるうどんにまつわる妙な思い出がある。6年ほど前、とある女性と中野で豚しゃぶを食べようということになった。 待ち合わせ時間の確認に携帯メールを送ったところ、 “りょうかい、では後で店の前でね(花丸)” と返事が来た。《中野のはなまるでは豚しゃぶも出してるんだ》と驚いたけど、 あまり疑わずに時間通り到着。しかし、待てど暮らせど姫がやって来ない。 と、やがて電話がかかって来て、 「なんじごろになりそう?」 「もう店の前で待ってるよ」 「え、いないよ。どこ?」 「はなまるの前」 「どうしてはなまるの前にいるの?」 「だって、はなまるの前ってメールに書いてあったよ」 「・・・」 豚しゃぶ店の位置を確認してようやく合流してみたら2人で大爆笑。 僕の携帯に届いたメールは、発信した彼女の方では、 “りょうかい、では後で店の前でね ”となっていた。そのころガラパゴスよりもっと古い、 写真も受け取れない機種を後生大事に使っていた僕の携帯では が表示されず、
おそらく Alt で定義されていた“(花丸)”となってしまったのだった。
日本の産業界は伝統的に標準化を弱点としている。1980年代、日本ではNECの98シリーズが圧倒的に強かった。 日立はベーシックマスター、富士通はFMシリーズだった。 私が初めてお小遣いをはたいて買ったパソコン(当時はマイコンと呼んでいた)は、 中古の日立ベーシックマスターレベル 卒業とともに外国企業に勤め、スイス Leibstadt で BWR-6 の立ち上げ試験クルーに配属された。 チームの共有していたパソコンは IBM の PC/XT。黒色背景に緑の等幅フォント。 日本の高級機種に慣れていた私は、そのトロトロしたスクロールのスピードを見て愕然とした。 ある日、原子炉の出力上昇に伴う配管の伸長が暴れていると問題になった時、 グラフも描けなかった PC/XT で BASIC を使って時系列情報を描き込み、 単に伸びた配管が温度の下降とともに一旦縮み、もう一度伸びただけだと示して仲間を驚かせたことがある。 ![]()
ところが年月とともに、パソコン市場の OS はいつの間にか MS-DOS に圧倒され、
ワープロは Word Perfect、作表ソフトは Lotus 1-2-3 と決まってしまった。
その後、スティーブ・ジョブズによるとマッキントッシュを真似しただけのウィンドーズが今やパソコンの王道となり、
当初マック用に開発された Word と Excel が、ウィンドーズでも誰もが使う事務用ソフトとなった。
日系企業各社がしのぎを削って開発したソフトは、残念なことにいずれも自社製ハードでしか機能しない。
よりすぐれたものを開発しながら、顧客囲い込みの戦略が外国のオープン作戦にあっさり敗れ、一網打尽にされてしまう。
スマホ・携帯市場、電気自動車の充電様式まで同じ経過を辿りつつある。
このままいつまでも強大な力に屈し続けるのか。我慢はもうたくさん。 そろそろ歩調を合わせて疲弊しつつある世界をリードする時が来ている。 (Part 2 はここをクリック)
【飯野謙次】 |
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