(会員用フルバージョンはこちら ) 失敗学フォーラム 104 in 大阪、2本立
カーナビの話~開発よもやま話~
中国日系企業の失敗事例
日 時:2013年 1月19日土曜日
場 所:NPO WIT 新事務所(大阪市中央区内本町1-4-12 2階会議室)
参加費:大阪分科会員無料、失敗学会員 500円、一般 1,000円
参加者:三田 薫、飯野謙次、岩崎雅昭、平松雅伸、本多 茂、大澤 勲、
佐々木 英三、中根和誠、小田烈弘、北村兼一、木田一郎、岡田敏明、
原 道彦
14:00 『カーナビの話~開発よもやま話~』岩崎雅昭
15:10 『中国日系企業の失敗事例』岡田敏明
16:30 2013年計画
17:30 新年会:がぶ飲み酒場 鶏魚(一人 2,700円)
昨今のカーナビは真にありがたい。初めて行く町でもカーナビさえあれば、道に迷うことはない。
道路の混み具合もわかるので、いつ渋滞から脱出できるかわからずにいらいらしなくて済むし、
最寄のガソリンスタンドも教えてくれる。このごろではタクシーでもカーナビを備えている車両が多い。
岩崎さんの講演は、そんなカーナビの開発にまつわる話だった。GPSでは、衛星からの距離がわかる。
ただし、ナビが持っているクロックが正確とは限らないので、
衛星一つではその点からの正確な距離の球面ではなく、
クロック誤差を含んだ半径を持つ、厚みを持った球殻(下図左上)がわかる。
2つ目の衛星でもう一つ球殻がわかる。ただし、クロック誤差は両球殻で同じなので、
2球殻の交わりは、同一クロック誤差で円(下図中央右)となる。
クロック誤差によってこの円の大きさと中心位置が変わるので、
自分がいる位置が、クロック誤差範囲によってずれる円の集合、つまり厚みのないドーナツのような図形、
2次元表面がわかる。
自分が2つの衛星からの距離が同じ位置にいると、この2次元表面は、
自分を含む平面上にある平らな二次元ドーナツとなる。一般的に2衛星は違った距離にあるので、
この2次元表面は、3次元曲面となる(下図左下)。これが円錐面、ドーナツ面、
それともWikiにあるように回転双曲面となるか非常に興味があるが、これは後日の解析に委ねよう。
さらに3つ目の衛星からの時間情報からもう一つ3次元曲面がわかり、
自分の位置は2つの三次元曲面の交わり、すなわち3次元空間中の曲線となる。
これに4つ目のの衛星からの時間情報が加わって、曲線上の点、自分の位置が特定できると言うわけだ。
これで、空間中の自分の位置がわかるので、高架の下に一般道がある場合でも、高架の上を走っているのか、
下を走っているのかがわかる。
もっとも最近は、地上固定局(D-GPS: Differential GPS)のおかげで、測位精度は格段にあがったということだ。
岡田さん講演の正しいタイトルは、
(生産管理システム導入支援から見た)
『中国での日経製造業の成功と失敗』
(副題「今後、日本の製造業は中国とどう付き合うべきか」)
講演は、今撤退しようにも撤退できない日系企業の実態から始まった。
15年前と異なり、多額の退職金を要求され、税金も過去に遡って追徴されかねないらしい。
いくつもの疑問を提示される形であったが、要は相手をまず理解するところから始めなければならない。
似ているからといって、考え方まで似ているとは限らない。振り返ってみると、4,000年の歴史とは言え、
中華人民共和国の建国は1949年。以来、周辺諸国と衝突を繰り返している一党独裁国である。
とかく、平和ボケの感がぬぐえない日本である。
筆者は2002年の瀋陽で起きたハンミちゃん事件で強くそれを感じた。
これは、日本本総領事館に亡命を求めて逃げ込んだ脱北者が、領事館への駆け込みに成功しながらも、
中国の武装警察官に取り押さえられたこと。
この時、御丁寧にも中国側警官が落とした帽子を日本側警備員が手渡して返していた。
通常の国際感覚では、領事館の境界は国境と同じである。
つまりこの事件は、中国の武装警官が国境を越えて日本に侵入、
身分がはっきりしないものの外国人を拉致、国外に連れ去ったのと同じであった。
他の国であったら、中国人武装警官が侵入しようとしたところで警備員は退去を勧告、
それでも侵入を続ければ銃を向け、従わぬ場合は威嚇射撃、となるのが普通だろう。
飯野謙次