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Zunguriの魂、日本を制するか

 2011年5月、Zunguriがニ度目の死を迎えた。静かに横たわり、うんともすんとも言わなくなった。 性能は変わらないのだが、いかんせん新しいソフトを走らせたり、 最近の動画やら妙な宣伝が満載のネットページを閲覧するには、動作がのろのろしていらいらしていた。 蓋をはぐって不細工だった外付け電源装置をはずし、覗き込むと CPU には太いヒートパイプが4本とりつき、 ヒートシンクと空冷ファンに繋がっていた。
 その美しいフォルムについ何かの役に立てようと、CPU取り付けパッドとヒートシンクごとヒートパイプを外してデスクの下に転がしていた。
 画像掲示板を見ると、失敗学会立ち上げの翌年に買った Zunguri は、2007年12月に一度死んでいた。 4年に一回ペースでだんまっていた Zunguri は、8年間も失敗学会のお役に立ってくれたのだから立派と言えよう。

 ゲームと失敗学分科会の昨年次大会の出し物はスターリングエンジンの実物だった。 実物とはいえキットを購入して組立て、動かして見せただけだったので、苦し紛れの出展だったと思う。 それでも、懇親会でウェイトレスのお姉さまの気を惹くには大いに役立ってくれた。
 そのとき、ほとんど一人で組立から展示まで立案、製作、展示をやってくれた斉藤さんが、 今年は自作しようとゲームと失敗学分科会に提案した。日本機械学会の「第3回低温度差スターリングエンジン競技会・発表会」に参加しようというわけだ。 場所が大分なので二の足を踏んでいたら、斉藤さんはあれよあれよという間にミカド電子の後ろ盾を得、一人坂戸試作所で製作に取り掛かった。そしてある日、
「高熱源の熱を効率よくプレートに伝えるのにヒートパイプを使ってみたいのですけど」
「どれくらいの大きさのヒートパイプですか」
「さあ、どれくらいでしょうね」
「秋葉に行けば、手に入るけど、ちょうど事務所に良いのがありますよ」
「ほんとですか」
「この前、壊れたコンピュータから外しておいたんです」

 こうして、死んだ Zunguri の脳血管とも言うべきヒートパイプが失敗学会のイベント参加に一役買うことになった。
 9月28日、坂戸試作所でその効果を測る実験を行った。高熱源となる銅板とお湯に熱電対を当て、 ヒートパイプ・ヒートシンクアセンブリを湯に突っ込み、反対側の CPUプレートを銅板に取り付けた場合と、 このアセンブリがない場合の、湯温と銅板温度の変化を測定した。坂戸試作所には熱電対にデジタルレコーダーまであるから驚きだ。
 右図でわかるようにヒートパイプ・ヒートシンクアセンブリ自体の熱容量で湯温がすっと落ちるが、 このアセンブリがあると銅板は湯より3、4℃低いだけ。ないと、10℃以上温度差が出ることがわかった。 Zunguri の魂、ここにありだった。

 さて、肝心の競技会は10月12日(土)、 大分駅から北に10分ほど歩いた大分市中央町 2-8-1、少年少女科学体験スペース O-Labo にて、午後1時より開催される。 参加、見学は無料なので、興味ある方、スターリングエンジンが仕事をするところを見たい方、 冷やかし・さくらも大歓迎なので、是非お立ち寄りください。 東京からでも新幹線と特急ソニックを乗り継いで、6時間あまりで着いてしまいます。




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