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第11回大阪夏の大会報告

日 時: 2014年 7月 12日(土)
場 所: 総合生涯学習センター
参加費: 一般 4,000円、失敗学会員 3,500円

【スケジュール】
09:50-10:00 開会宣言、大澤勲 失敗学会大阪分科会会長
10:00-11:15 低線量放射線の影響とクライシスコミュニケーション、宇野賀津子
11:20-12:35 動き始めた我が国の事故調査システム、安部誠治
12:35-13:30 休憩 (各自昼食)
13:30-14:45 笑いと健康、大森史郎
14:50-16:05 『逝き方』 は『生き方』、中村仁一
16:10-16:50 総括、大澤勲飯野謙次失敗学会副会長・事務局長

【参加者】飯野謙次, 岩崎雅昭, 一前憲悟, 佐々木英三, 木田一郎, 福井則夫,
平松雅伸, 岡田敏明, 石山秀雄, 大澤勲, 宇於崎裕美, 小林宏之, 小川正,
三田薫, 三国外喜男, 北村兼一, 浅井香葉, 松尾宏一, 薄知香志, 角口開道,
白岩豊, 久野裕介, 原道彦, 八木基紀 (以上、会員24名)
【会員ゲスト】中俣滋 (以上、会員 1名)
【一般参加】中井秀行, 里田好, 竹下敦, 疋田孝純, 鳥山直造, 西屋和夫,
佐伯徹, 水野玲子 (以上、会員 8名)
【講師】宇野賀津子, 安部誠治, 大森史郎, 中村仁一 (以上、計4名)
[合計 37名]

 今年の大阪夏の大会では生きるということ、そして社会の中で生きている以上、責任があること、 そして、癌、死に方について考えさせられた。

 まずトップバッター宇野賀津子先生は、理科系女史である。 自身が持つ確実なデータをもとに、低線量放射線の影響を解説され、 無責任な学者や、 ムードに煽られて確信が持てるはずもないのに時の論調を叫ぶマスコミをバッサリと切られた。 とても格好良かった。
 私たちは自分を振り返り、いい加減な発言をしていないか、 情報発信が間違った方向に人を惑わしていないか、きちんと考えなければならないと思った。 放射線を浴びることより、そのことに対する不安、恐れ、ストレスが人の健康を蝕むと教わった。

 安部先生とは昨年よりたびたびお会いする機会を得ている。シュッとしているとは安部先生のような御仁を言うのだろう。 演壇で話されてもとにかく絵になる方だ。講演の内容は、ようやく先進欧米諸国に追いついたところの日本の事故調査制度についてである。 こちらも数字を示しての説得力の高いお話だった。
 追いついたところで安心してはいけなく、 これから調査機関としての目的を念頭に真の調査ができる体制を整えて行かなければならない。 原因究明とそれを踏まえての再発防止が大きな目的であり、それはおそらく第三者機関のみができることと思われる。 人材、そしてその人材の工数の確保が今後の課題となりそうだ。

 大森史郎さんは日本笑い学会からご出講いただいた。笑い学会は“お笑い学会”とは違うのだそうだ。 第2回大阪夏の大会( 会員リンク )の矢野宗宏(やの・むねひろ)さんは、 はてどうだったかと記事を読み直してみるとこちらはお笑い研究会の会長さんであった。日本笑い学会からは、2008年の第5回大阪夏の大会にご出講いただいた昇先生が懐かしい。大阪は笑いを旨とする団体が多い。 ただし近頃は、テレビにお笑いタレントがやたら出てくるのには少しく閉口する。
 大森さんには、心の健康を保ち、癌をも克服することがある笑いの効用について教えられた。

 トリの中村仁一先生は、同和園付属診療所の所長さんだ。医療や薬は私たちの病を治癒するのではなく、 私たち自身が自分で治癒するのを手助けしているに過ぎないという解説には思わずうなった。 また、医療や介護が“穏やかな死”の邪魔をするのもこれまで聞いたことのなかった考え方だった。 講演を拝聴しながら“半落ち”という映画を思い出した。
 日本はいまや世界一の長寿国となった。和食、歩く機会が多いこと、駅の階段など、要因はいくつもあるだろう。 しかし無用な延命も多いのかも知れない。人が水分も取らず、食事も摂らなくなるのは体が欲していないからということだ。

 講演が終了したところで、大澤大阪分科会長の司会で質疑応答セッションが設けられた。 会場からの質問に各先生方が答えられていた。



 今回も東京からわざわざ、この大阪夏の大会に来られた人が何人かいた。 九州から毎回の大阪フォーラムに参加する会員もおられる。 冬の年次大会は失敗学会員の活動発表の場であるが、 この夏の大会は私たちが他の考え方に触れ、勉強をするチャンスである。 毎年、大阪分科会を中心にアレンジが大変な会であるが、 今後も続けていこうと思った。
【飯野謙次】


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