飯野謙次
3月1日発行の原子力学会誌 ATOMOΣ 3月号は、『原発事故から4年-いま問われる「知の統合」、福島原発事故に対する各学会の取組み』と題した特集号だ。畑村会長の特別寄稿『知の統合˜事故後4年が経過して考えること˜』と私の『福島原発事故後の失敗学会活動』が掲載されている。
前者は、事故の本質を解説した後、知識化の必要性を訴え、当然やるべきこととして(1)事故の責任を問い、(2)政府事故調査委員会の提言が実行されているかを検証し、(3)国として情報発信をしなければならないこと、さらには(4)正しい理解のために再現実験が必要であると括っている。常に“前”をみつめている畑村会長らしい記事である。是非この記事は、行動を起こさなければならない人の目に留まって欲しいと思う。それでも何もしないのは、事前の事故対策を怠った東電となんら変わらないと言える。
後者記事は福島原発事故後、失敗学会が何をしてきたかの報告だ。3月15日からホームページで連載を始めた『吉岡メモ』、それに古川失敗学会監事の論文、『3・11原発過酷事故と東電等の刑事責任』をきっかけに3回に亘って行った2014年のフォーラムでの討議を紹介した。この活動は今年も続いており、
2月7日に第4回の緊急討論会を行ったばかりである。
責めるのが決して目的ではない。日本の中の他の産業で同じ体質を抱えたために、同じような事故が発生して人々が傷つくことのないことを願っているのだ。ましてや再稼動も視野に入ってきた今の電力業界。その規制局も含めて体質が変わっていなければ、再稼動はやってはいけないと思う。