特定非営利活動法人失敗学会 |
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第125回失敗学フォーラム in 江之子島
日 時: 2015年 3月 14日(土)
大阪環状線大正駅から北に向かうと木津川を東西に架ける大正橋がある。その大正橋を東に渡ると、北から南に流れる木津川と西からやってくる道頓堀川の合流点の南東角になる。目指す『大地震両川口津浪記石碑』はここにあった。参加費: 一般 1,000円、失敗学会員 500円、大阪分科会員 無料。 13:00 集合 JR環状線、大正駅集合 13:30 「大地震両川口津浪記」の石碑見学 (案内 三田) 移動 桜川駅 - (地下鉄千日前線) ⇒ 阿波座駅(7番出口) 14:20 津波・高潮ステーション (大阪府西大阪治水事務所管轄) 見学 ダイナキューブ「津浪災害体験シアター」 16:00 見学終了 16:15 オステリア ジータ ウツボ、大阪分科会2015年計画 17:00 懇親会(4,000円) 参加者: 三田薫,平松雅伸,飯野謙次,佐伯徹,佐々木英三,岡田敏明, 岩崎雅昭,木田一郎,大澤勲,他1名 この石碑は1854年に発生した伊賀上野地震、安政東海地震、安政南海地震を受け、翌1855年に建立された。すぐ近くに置かれた無料の説明書によると、1915年大正橋工事に伴い、今の場所に移ったそうだ。また、1974年の新大正橋架け替えの時には石碑周辺の玉垣が整備された。 駅からこの石碑に到着するまでの短い道のりも、今回の案内役を買って出られた三田さんのさわやかな弁舌に聞き入りながら飽きることがない。「べらんめぇ」調の感があるが、ご本人は関西人なので大阪弁のべらんめぇとでも言えばよいだろう。 大正橋からこの石碑を見てまず驚くのが、「南无阿弥陀佛」「南無妙法蓮華経」と宗派の違う言葉が仲良く並んでいることだ。向かってその左側には、「願以此功徳 普及於一切 我等與衆生 皆共成仏道」とある。詳しい方によると、念仏の締めくくりはこの言葉を唱えるそうだ。細かいしきたりや解釈が違っても、目指すことは同じはず。最近読んだ新聞コラムで、地球外生物という共通の敵がいない地球人はいがみ合ってしまうのが不幸だという引用があった。まったくだと思う。「宗教なんかなければ、平和に暮らせる」と歌ったジョンレノンを思い出す。 三田さんの説明は、同じ石碑を見に来られた他のツアーグループの人も惹きつけた。説明をかいつまむと以下のようになる。
1854年の地震では、大勢が犠牲となった。148年前の宝永地震でも同じことがあったのにその教訓を生かせなかった。揺れをやり過ごしやすいからと言って安易に船に乗ってはいけない。後から来る津波にやられるからだ。その他、火災、盗難には十分注意し、心を引き締めよ。 この教訓が風化せぬよう、毎年この石碑の文字に墨を入れ給え。 この地ではこの教えを守り、地蔵盆にあわせて石碑を洗い、墨を入れ直すことを150年以上続けている。残念なのは、1974年に整備したという石碑周辺の玉垣が石碑に近すぎて下のほうは墨が入らず、文字も直接は読めない。これもすぐ近くにある木製告知板にそのまま書き写してあるのや、現代語訳を読むしかない。 石碑の周りでひとしきり感心した後、道頓堀川沿いを西に歩きながら桜川駅に向かった。途中の町並みは明らかに川の水位より低い。東京荒川沿いに似ているが、こちらは徹底して住居は2階以上にあり、1階は車庫や倉庫になっていた。市営地下鉄で阿波座(あわざ)まで移動、大阪府西大阪治水事務所管轄の津波・高潮ステーションを訪ねた。 10人と結構な人数で行ったため、館内では案内をしていただいた。大阪を襲った三大台風は、室戸台風(1934年)、ジェーン台風(1950年)、第2室戸台風(1961年)だったそうだ。第2室戸台風は、1934年のものと規模も進路もほぼ同じだったが、ラジオの普及により、人的被害は小さく済んだ。しかし、浸水深さは後のものほどひどかったのは、地下水くみ上げによる地盤沈下の影響と教わった。 右の写真は上から、いざとなったら90度陸側へ回転しアーチ型防潮壁となる構造物。コンクリートではなく、鉄製なので波の力をカマボコ型の内側で受けるらしい。 中央は実際に使われていた防潮壁。これはハンドルを軽く回して簡単に動かすことができた。 下写真は本物の土嚢。台風の報道などで良くみるのの実物だ。実際に持ち上げてみるのは初めてだった。意外と重く、隣のスケールで測ってみると 11キログラムを超えていた。1個なら何とか積めそうだが、たくさん積むのはかなりの重労働であることがわかった。いざ、本当に積まねばならないようなことがないよう願うしかない。
【飯野謙次】
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