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第131回失敗学フォーラム in 弁天町報告

三田 薫「中国の消防事情」
平松雅伸「天津危険物倉庫爆発事故を考える」


2016年1月23日(土)、弁天町ORC200、生涯学習センター
一般 1,000円、失敗学会員 500円、大阪分科会員 無料

13:00 開場
13:15 春合宿、夏の大会予定について雑談
14:15 休憩
14:30 中国の消防事情 三田 薫
     天津危険物倉庫爆発事故を考える 平松雅伸
16:00 休憩
16:15 兵庫大学社会人講座報告と予定
16:30 3月、9月フォーラム、春合宿、夏の大会
17:00 終了
17:30 新年会(王道居酒屋 のりを 弁天町磯路店(06-6583-0220)、4,200円)
参加者:三田薫, 角口開道, 飯野謙次, 佐伯徹, 平松雅伸, 大澤勲,
         岩崎雅昭, 福井則夫, 佐々正光, 原道彦, 岡田敏明, 木田一郎,
         佐々木英三, 田中健一郎, 久野裕介, 石井健児, 勝楽芳郎(一般)
         以上、17名

 まずは、三田さんから中国と日本の消防事情の比較があった。一概に比較することはできないが、中国は国民およそ1万人に公安消防職員が一人(2001年データ)、 日本の場合は、おおよそ1,000人に消防職員が一人である。北京や西安といった都会でようやく2000人台に一人となる。これを補完するのが企業消防隊の10万人、義勇消防隊の 1,300万人、消防団員86万人である。ようやく国民100人に隊員一人、1,500人程度に団員一人となる。ただし、日本でも消防団員を数えると国民およそ100人当たりに一人となる。
 この後の平松さん発表によると、2015年8月12日から始まった天津危険物倉庫爆発事故では、9月11日の時点で死者165名中、公安消防隊員が24人、天津港所属消防隊員が80人、警官が11人であった。
 実は日本でも、1964年7月14日、東京都品川区勝島の寶組倉庫で規模は天津ほどではなかったものの同じような事故があった。10月10日開会の東京オリンピックの3ヶ月前である。ドラム缶に野積みされていたニトロセルロースが発火、爆発。隣接する倉庫等が次々に爆発するなか、大規模な消火活動が行われていたが、最初の出火から約1時間後、隣接する倉庫のが大爆発し、消防士19名が殉職した。その倉庫中身は従業員も知らず、缶詰だと思っていたところ、災害後の調査で危険物のメチルエチルケトンパーオキサイドの無許可貯蔵だったことが判明した。詳細は、失敗知識データベースの失敗百選に詳しい。

 後半、平松さんから天津危険物倉庫爆発事故の詳細説明があった。事故のあった倉庫近辺に野積みされたコンテナから出火。周りの倉庫には、シアン化ナトリウム、ニトロ化合物、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、炭化カルシウム等、危険物が総量2,500トンあったと推定されている。
 シアン化ナトリウムは、水と反応して猛毒のシアンガスを発生する。炭化カルシウムは、水をかけると爆発性の強いアセチレンガスを発生するなど、周りに何が保管されているか、わかっていれば、決して水を使ってはいけない環境だったようだ。しかし、そもそもそれら危険物は、危険化学品安全管理にかんする条例を無視して保管されていたことが問題であった。
 最後に、消防士はその近辺の保管物を知り、かつその危険性がわかっていたとしたら、遠巻きにして延焼を防ぐことに専念するのがよかったのだろうかと質問が出た。 爆発は、いずれにせよ防げなかったろうから、そうかもしれないとのことだった。

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