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津波予測と対策最終報告書


 2016年2月7日付け、日経新聞朝刊に、再建への道程(6)フクシマは「想定外」かという記事が掲載され、以下のように始まっている。
『東京電力・福島第1原子力発電所は、津波による浸水で電源を失い原子炉を冷却できなくなって核燃料が溶けた。事故は本当に「想定外」だったのか。東電が用心深く判断し発電所に備えがあれば、事故の拡大を防げた可能性がある。』
 失敗学会「津波対策研究会」も、日経担当記者も、同じ結論に達した。さらにIAEAもその最終報告書で巨大津波は予測できたと明言している。
 古川元晴氏による疑問提起の論文を受け、吉岡律夫さん、淵上正朗さん、私の4人を中心に、1.福島での巨大津波の予見可能性と、2.どうすれば、福島事故を過酷事故にせずに抑え込むことができたか、を検討した。失敗学会やその他有識者からの助言を得ながら、結論にたどり着いたのが、昨2015年9月30日の報告書 である。
 昨年の年次大会では、吉岡さんの言葉が重かった。
『IAEAもその最終報告書に書いているが、福島第一での地震・津波の想定は国際基準に違反していた』
 このたび、先の報告書を改定したので、ここに報告する。まずは、以下に概要を紹介する。

 2016年3月11日: 奇しくも、福島原発事故発生からちょうど5年である。先の2月1日版にマイナーな補足を加え、rev2. とした。

 福島原発における津波対策研究会・最終報告書 rev.2



「福島原発事故における津波対策研究会」活動報告
2016年2月1日
失敗学会津波対策研究会
はじめに
 原子力学会誌は福島原発事故に関し,2015 年3 月号で諸学会の取組みを紹介し,さらに9 月号に「他学会との連携や協働に取り組む」との宣言記事を出している.この記事中で,当失敗学会の主張として「事故の解明だけでなく,仮説を立て,実際とは異なる選択肢を採れば何が起こり得たか,失敗に至る経路以外に成功に至る経路を考え尽くし,知識の立体化を行うことが必要」との指摘が引用されている.
 福島原発事故に関しては約10 件の調査報告書があるが,殆どは「事故がどのような経緯で起きたか」を解明しようとしたもので「失敗を防ぐ経路があったのか」を解明したものは見当たらない.
 本件に関し,失敗学会では,2014 年2 月以降に4 回のフォーラムを開催し,それらを踏まえて,2015 年4 月と6月に「福島原発における津波対策研究会」を開催した.その目的は下記の2 点の解明であり,詳しい解説論文は,失敗学会ホームページに公開している[1].
  1. 福島原発において,巨大地震に伴う巨大津波を予測できたか?
  2. もし巨大津波が事前に予測されていたら,事前にどのような対策をすれば事故を回避できたか?
 この内,1.については,既に政府事故調査報告書や国会事故調査報告書に記載があるが,更に広く検証した.また,2.については,原発専門家による研究が見当たらないので、本研究会開催に当り,原子力学会メーリングリストで呼びかけた所,十数名の原子力専門家と数名のジャーナリストなどの参加を得ることができた.

1)命題1(巨大津波を予測できたか?)
本命題に関して,時系列順に記載すると,
  1. 1997〜1998 年の七省庁による「地域防災計画における津波対策強化の手引き」に基づく東電の報告書.
  2. 1999 年に国土庁等が示した福島第一原発の津波浸水予測図.
  3. 2002 年の文科省・地震調査研究推進本部の地震予測見解に基づいて,2008 年に東電が示した福島原発での津波予測結果.
  4. 2009 年初めに東電が貞観津波の波源で計算した結果.
 以上いずれも,敷地高さを越えて建屋が浸水する津波が予測されていた.
  1. 福島事故に関するIAEA の報告書[2]は上記3.,4.の指摘のほかに,下記3 点を指摘している.
    1. 過去に起きた地震・津波のみをベースにする日本の評価方式は国際基準に違反していた.
    2. 過去最大の地震を考えるのが国際慣行だった.太平洋では,M9.5 のチリ地震と,M9.2 のアラスカ地震とがあったのだから,この程度の巨大地震を想定すべきであった.IAEA 報告書では引用していないが,2006年には米国政府機関が日本海溝などでのM9 地震による津波を予測・評価していた.
    3. 過去が不確かな以上,安全側の立場に立って,上記のいずれかがなされれば,2011 年の津波高さは予測できたはずである.

2)命題2(事前にどのような対策をすれば事故を回避できたか?)
 福島原発事故の直接原因は,津波によって,交流電源(AC 電源),直流電源(DC 電源),最終排熱系の3 つが同時に喪失したことである.
 従って,これらに備える対策として,最低限,下記を実施すれば,福島原発事故は回避できたと考えられる.
 この内,[AC+DC 電源喪失]と分かってからバッテリーを繋ぎ,RCIC またはHPCI を手動で起動するまでの時間的余裕が最も厳しいが,それ以降は幾つかの選択肢があり,時間的余裕もある.
  1. 十分な量の 125V/250V バッテリー
  2. 高圧電源車
  3. RHRS 代替用の水中ポンプ
  4. 全 AC 電源喪失,DC 電源喪失,海水ポンプモーター喪失を想定した訓練
 ただし,これらは,今回のような津波に対して必要な最低限の準備であり,さらなる安全対策として、以下の対策も必要と考える.
  1. RCIC とHPCI の水密化
  2. 1 号機については,IC のPCV 内AC 駆動弁用の可搬式AC 発電機
  3. ベント用AO 弁駆動用圧縮空気が無くなった時のための小型コンプレッサー
  4. 消防車

参考文献
  1. 失敗学会サイト「福島原発における津波対策研究会・最終報告書rev.1」2016, http://www.shippai.org/images/html/news881/Report160201.pdf
  2. "The Fukushima Daiichi Accident, Technical Volume2, Safety Assessment," 2015, IAEA



 以下に最終報告書rev.1へのリンクを置く。
 福島原発における津波対策研究会・最終報告書 rev.1 




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