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日本学術会議シンポジウム
「第34 回安全工学シンポジウム」

Tokyo, Japan -- 2004年7月1日、港区六本木七丁目の日本学術 会議で「第34 回安全工学シンポジウム」の初日が開催された。主催は、人間と工学 研究連絡委員会安全工学専門委員会。その大会議室での最初のオーガナイズド セッションが中尾政之失敗学会副会長を座長とした『失敗知識の活用』であった。 このセッションは、科学技術振興機構が管理している『失敗知識データベース』 の作成に活躍する専門家を一同に会し、それぞれの立場から発表を行ったものだ。

   中尾副会長がまず、失敗知識データベースを有効利用するのは 思ったほど簡単ではないことを、実例を交えてまず紹介した。ひとつには、過去と 全く同じ要因で起こった事故に遭遇しても、人はその相似性をなかなか認識できないこと。 2つ目は、事例データベースで思う事例を検索するのが意外に難しいことである。
   続いて失敗知識データベース構築の統括を担っている畑村会長が、 失敗知識データベースの基礎を説明した。このデータベースの特徴は、簡単な線画で 失敗事例を表現した『代表図』と、事例の要旨を短い言葉の連鎖で表現した『対角 シナリオ』だ。
   材料分野の小林英男教授は失敗学会会員でもある。 この発表は、軽量な圧縮空気ボンベとして多用されるようになったアルミ合金製のものが、 そのネジ継ぎ手部分の製造工程で、結晶粒の粗大化によって長期の使用中に応力腐食割れ を引き起こし、ついには破裂したという恐ろしい事例について、その技術的解析を 説明した。
   化学プラント分野は田村昌三教授である。化学プラント分野の 事故はいくつかの種類に集約され、シナリオも1つのプロック線図に統合できる という解説を行った。
   建設分野の國島正彦教授は、建設分野で失敗事例を集めること の難しさについて説明した。

國島教授(右)と解説をする座長の中尾副会長


   最後、SYDROSE LPの飯野謙次失敗学会副会長が他講演とは違った 事例の検索について、高次線形代数を応用した手法を解説した。この手法は、事例情報 を収集するだけを目的とした失敗知識データベースには取り入れられていないものの、 SYDROSE LPで希望者に公開しているという。同発表には質問も出され、シンポジウム後も 討論が続いた。

飯野副会長(右)と質問を受ける座長の中尾副会長



畑村会長

小林教授

田村教授

飯野副会長
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