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春合宿 2017報告 熊本・大分訪問

日  時:2017年5月26日(金) - 5月28日(日)

5/26(金)
   11:00ごろ(一部)熊本空港集合。レンタカー1台(99950283600)
   11:45 熊本駅ピックアップ
   12:00 昼食後
   14:30頃 サントリー熊本工場着。見学、橋本工場長講話、試飲
   17:00頃 サントリー熊本工場退出
   18:00 ホテルチェックイン(各自手配)
   19:00 酒湊(さかそう)本店熊本市中央区 新市街 4-18

5/27(土)
   09:00 熊本城水前寺公園(ガイド付き)
   11:30 移動(昼食)
   13:00 大観峯から阿蘇を眺める
   15:00 九州電力八丁原地熱発電所訪問(ガイド付き)
   16:30 九重”夢”大つり橋 
   19:00 津久見市到着(Hotel AZ 等チェックイン。各自手配)

5/28(日)
   09:00 船で本マグロとブリの養殖生簀見学及びリアス式海岸の遊覧
   13:00 津久見解散。
   15:00頃 大分空港(レンタカー乗り捨て)。
            到着時刻は前後します。

参加費用
1万1千円
懇親会費、レンタカー

参加費に含まれないもの
往復の交通費、懇親会以外の食事、ホテル代

参加者: 飯野謙次, 岡田敏明, 岩崎雅昭, 佐々正光, 佐々木英三,
佐藤公一, 薄知香志, 大澤勲, 平松雅伸, 石井健児,
木田一郎
 2014年に長崎・佐賀・福岡を訪ねて以来の九州春合宿である。今回は3月27日、有楽町朝日ホールで行われた 九州・熊本震災復興支援フォーラムで、「次々と旅館・ホテルがキャンセルされる中、観光で訪ねてお金を落とすだけでも復興支援になる」という講演を聴き、昨年から「僅かながら、お金を落とせるのではないか」と大分・熊本行きを計画していたのが後押しされる形で実現した。
 熊本空港到着組はレンタカーに乗り、岡田先生は四国からカーフェリーに乗って臼杵から上陸、大分から九州を横断、熊本駅で電車到着組と合流した。とりあえず目的地を目指して途中、昼食を取ることになった。たまたま入ったラーメン屋さんが行列店。九州到着一食目は、なかなかの上出来だった。
 ここでは、恒例岡田先生のミニ講座で坂村真民の詩、「鳥は飛ばねばならぬ、人は生きねばならぬ」の紹介があった(全文はこの坂村真民HPに[現在は]紹介されています)。東日本大震災の後、原発反対派にも賛成派にも引用されているという不思議な詩である。

 サントリー熊本工場で予約した見学開始まで時間があったので、益城町に行ってみようということになった。



 実は計画を立てていたとき、本郷事務局から益城町に電話をかけて訪ねて勉強になるところはないだろうかと尋ねてみていたのだが、
「もう今は、復興が進んで見るところなんかありませんよ」と、けんもほろろの『来なくていい』応対を受けていた。町を走ってみると目ざとい人が、益城復興市場・屋台村を発見。とりあえず寄ってみた。昼食は済ませていたので、みやげ物など皆何かしらを手にして屋台村を後にした。東無田集落の写真集を購入した人が多かったようである。行政と民間の隔絶をこんなところでも感じるとは思わなかった。



 サントリー熊本工場に到着、やはり四国からカーフェリー経由で参加の佐藤さんも合流した。ビール工場を見学しながら、震災のときの苦労などを垣間見ることができた。写真は見学を終了し、プレミアムモルツの試飲会で、今回のサントリー熊本工場訪問のアレンジをしてくださった佐々木さんの話に聞き入る私たちである。
 この後熊本市内に戻り、各自思い思いのホテルにチェックイン。酒湊(さかそう)本店に終結して第1回懇親会が執り行われた。締めのあと、最後に蠍(さそり)の唐揚げが出てきたのにはいささか驚いた。

 2日めは、震災で大きく傷ついた熊本城から出発。駐車場に終結して2日目から参加の木田さんも合流して全員が揃った。手配を頼んであった地元案内ボランティア、くまもとよかとこ案内人の方ともうまく会えた。



 1877年、西南戦争中に焼け落ちた天守閣は、1960年に鉄筋コンクリート製として復元されていた。2005年、2015年と2回熊本城を訪れていた私は、その美しいフォルムを写真に収めていた。下の写真がそれである。鉄筋コンクリート製とは言え、忠実に再現された内部にはしかし、大阪城のようなエレベータやエスカレータはなかった。ただし、足腰が不自由であっても大阪城の天守の眺めを楽しむことができることを考えると、一概に忠実な再現がよいと主張するつもりはない。



 天守閣は2016年の地震で大きな被害を受け、下写真右のように覆いで囲われ、隣には大型のクレーンを従えていた。ただしこの覆いは、訪れた観光客ががっかりせぬよう、わざわざ透けて天守がなんとなく見えるよう、その素材を選んだということだ。その左に写っている宇土櫓は、報道でおなじみの石垣角の隅石でかろうじて崩壊を免れたものである(下写真左)。



 途中、思いがけず台湾のテレビ局の取材を受けた。美人キャスターの質問は「なぜ、熊本に来たのか」ということ。
「自分たちは大人の勉強会を大阪でやっていて、現地で自分の目で見ることを大切にしていることと、観光に来てお金を落とすことが復興支援になると講演で聴いて、来ることにした」と答えた。番組の趣旨と合っていたのか、スタッフにずいぶん丁寧にお礼を言われた。



 春合宿の行程は、結構忙しい。以前はもっと忙しかったのを、もう少しのんびりしたいという意見に応えて余裕を持つようになった。それでも熊本城でのんびり2時間ではなく、水前寺成趣園(すいぜんじじょうじゅえん、通称水前寺公園)も訪れるコースを選んでいた。ボランティアのガイドさんも大変である。
 水前寺成趣園は、17世紀に熊本藩初代藩主、細川忠利(ほそかわ・ただとし)が御茶屋を造ったのが始まりだそうである。美しい造詣と運よく晴れ渡った青空には、日ごろの喧騒を忘れさせてくれるものがある。



 ガイドさんと別れた後、どこでだったか忘れたが、昼食にうどんを食べることになった。四国に行くと強腰で太くなるうどんの麺も、九州は大阪に似ている。中国(China)では、誕生日には麺を食べる習慣があるらしい。なんでも長寿の秘訣だと言う。
 次の目的地は、 大分県玖珠郡(くすぐん)九重町(ここのえまち)にある九州電力八丁原(はっちょうばる)地熱発電所だ。途中、阿蘇に寄るのはあきらめ、大観峯(だいかんぼう)から眺めることにした。車を降りて、展望スポットに行ってみると、パラグライダーがふわりふわりと私たちの目の前を上がったり、降りたりしていた。下の写真では右下の黄色い点がそれである。



 さすがは「おんせん県」とも呼ばれる大分県。地熱発電所は、地下から蒸気を取り出し、それでタービンを回して発電している。資源エネルギー庁のホームページによると、ここは日本最大の地熱発電所で、1、2号機を合わせると、11万キロワットの出力だ。化石燃料を燃やすこともなく、放射能漏れの心配もないが、100万キロワット越えの最近の原発に比べると一機あたり 1/20 程度の出力だ。それでもその複雑さと、過酷事故もないこれを20機と原発1機では、地熱のほうが良さ気に思えてしまう。地熱発電の問題を知らないからか、地熱発電所を建てる場所が足りないからなのか、意見を出すにはもっときちんと勉強せねばと思う。



 二日目最後は、間に合わないと諦めていた九重(ここのえ)大吊橋を渡ることに成功した。歩道専用としては、日本一の高さらしい。地元の佐藤さんによると、今は真ん中だけグレーチングだが、できた当事は歩くところが全面グレーチングになっていて、怖くて渡れない人が続出したと言うことだ。この橋の建設にまつわる話が、羽生会計事務所ホームページに九重町町長、坂本和昭さんの講演として紹介されている。今はどこの自治体も地方再生に躍起になっているが、こんなやり方もあるんだと大いに参考になるだろう。



 右の写真には、下にこちらに歩いてくる佐々木さん、上に渡り終えた佐藤さんが写っている。iPhone のパノラマビューで頭の上をぐるりと回すとこんな写真が取れることを、アメリカ、グランドサークル、アンテロープキャニオンの地元ガイドさんが教えてくれた。面白い。


 春合宿最終日は、大分海運、佐藤さんにすっかりお世話になった。まずは、クルーズ船「でるふぃーの」を貸切状態にして、津久見湾を遊覧した。ここ、津久見は明治から石灰石の露天掘りで栄えてきた町だ。石灰石が海の近くまで迫っており、また深い港が作りやすい地形がその背景らしい。
 湾を取り囲むコンクリート工場を湾の内側から観察する珍しい経験の後は、マグロとブリの養殖場を観察した。養殖マグロというと、出てきた当時は羊羹のような均質な舌触りが気になったが、最近は養殖だとえさをコントロールできるから、いろんな新しい味のマグロ開発も行われているらしい。ネットの話題はどうかとプチ調査をしてみると、野生牛より、飼育された牛のほうがおいしいのに、なぜ魚になると人は天然ものをありがたがるのか、という意見に笑った。



 「でるふぃーの」を下船したわれら一行は、つくみイルカ島を訪れた。ここでは、今年5月に生まれたばかりの赤ちゃんイルカがお目見えしているというので楽しみにしていた。つくみイルカ島は、人気の大分市高崎山にある大分マリーンパレス水族館(通称、うみたまご)と、津久見市が協力して2011年にオープンした。テーマは人とイルカのふれあいで、ボートのすぐ横をイルカが泳ぐのも珍しい。よくあるイルカのジャンプショーやえさやりのほか、イルカといっしょに泳げるプログラムもあるのでびっくりだ。
 タイ、アジ、ブリの混合生簀ではえさをやることができるが、これら海の魚が人影を見て集まり、えさを投げ込むと、アメリカンフットボールのパイルのように折り重なってえさを奪い合う様子には驚いた。どこの世界でも生きていくのは大変なようだ。
 期待に応えて、赤ちゃんイルカはお母さんイルカにぴったり寄り添って泳いでいた。私たちから見ると、全く同じ体形、体色模様の大小がくっついているようにしか見えない。



 最後に、港で停泊中の大分海運の須洋丸に乗船させていただいた。操業中の運搬船が、たまたま停泊していただけなので迫力満点である。不用意にあちこち触ると汚れるからと注意を受け、写真左はしにわずかに見えている連絡橋を渡った。片側にだけ鎖の手すりがあるだけで、人が乗るとしなうこの橋は、九重の大吊橋よりも怖かった。
 大怪我をする人もなく、今年も無事春合宿を終えた。終始好天に恵まれた春合宿の集合写真を撮った。実は交代でスマホを使ったので、全員映りこんでいるこの写真は合成されたものだ。われながら、よくできたと思っている。どこが合成なのか、7月22日、夏の大会までの宿題としよう。



【飯野謙次】


追記: 私たちの知見を広め、またわずかながらでも復興支援になるかと思い、熊本、大分を訪問させていただきました。この7月、九州北部では再び豪雨に襲われ、心からお見舞い申し上げます。これから暑さが厳しいおり、被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。
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