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  町で見掛ける看板等の、「煌びやかさ」に関する問題点


街を歩いていると、よく、商業広告の看板等を見掛けることがあります。商業活動の一環として、これらの宣伝広告は街中によく有るものです。

ただ、これらの看板等は、よく観てみると、「カラフルで煌びやか」な印象が強い。それに、これらは、「公共サインを見落とす原因」にもなっています。

カラフルなデザインのものは、目立つのは必然となっています。目立つものは、人の注意を惹くものであり、公共交通機関(列車… 大阪市のJR環状線の赤みを帯びた黄赤の車両が典型 や、バス等)や交通標識は、彩度(色の属性で、鮮やかさの度合い)が高いデザインにしなければならないとされています。

景観条例等では、「街中で見かける商業広告等は、彩度は控えるべきだが、登録商標に関してはこの限りでない」としています。ただ、カラフルな商業広告はどうしても注目しがちになりますし、交通標識を見落とす可能性は否定できません。

現在、景観法が施行されており、景観条例では「屋外広告物等は、登録商標等といえど、彩度を抑えたデザインにするよう」と、法律を根拠に、色彩の規制が行われています。

例として、京都市や小田原市、千葉県袖ヶ浦市では、景観法を根拠に、「美しい町並みを保全し、公共サインを目立たせるために」広告物等は控え目な色合いのデザインとなっていることが少なくありません。

景観法に基づく景観条例では、色彩の基準として、マンセルシステムが活用されています。これは、色彩について、色相(色みの違い。赤、黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫といったもの)、明度(色の明るさの度合い)、彩度(鮮やかさの度合いで、同明度の無彩色からの隔たりで表すもの)で設定するものであり、

例えば、 5YR7/12というように、 5YRは色相で、7は明度の値、/は明度と彩度を区切るものであり、一番最後の12という数字は彩度の値として表されています。

景観色彩では、各自治体で「景観のてびき」で、このマンセルシステムが採用されており、建築物を建てる際に、ペインティングをする際のルールが分かり易く表記がされています。

※一部の自治体には、マンセルシステムが採用されていない所があります。

例… 神奈川県足柄下郡箱根町

「外壁の色彩は、褐色系、ベージュ色系、クリーム色系または灰色系とする」

※景観法に基づく景観計画を実施していない自治体も在ります。

例… 東京都中央区


何を出張したいかといいますと、

街中で見かける広告看板等が、「カラフルで目立つ場合」であれば、車を運転していて、交通標識を見落としかねない、

ということです。それだけ、色彩は人目を惹き付けるものであり、彩度が高ければ自ずとそれが気になってしまうということであり、

また、橋梁や賃貸マンションの外壁が派手なピンク色であれば、かなり目立ちますし、交通標識に目が行かなくなるので、景観行政としては、「大失敗を未然に防ぐ」ためにも、景観法に基づく景観計画は実行しなければならない、といいます。

後、余談となりますが、

冷蔵庫の色彩設定は、「一般的には、低彩度色とします」としていますが、その理由は、冷蔵庫は、家電製品でも、重たくて固定されているもの、とされており、そのため、四六時中、その家の住人が目にする機会が多く、落ち着いた色彩で設定されている方が、安心感があるから、です。

ピンク色やけばけばしい紫系のカラフルな冷蔵庫が置かれていると、印象としては「派手で、きつい感じ」がするため、固定もしくはほぼ固定されている物については、落ち着いた印象の見た目とした方が、人は心理的に落ち着くし親しみ易いとされています。


推薦図書… 

東京商工会議所・編 中央経済社・刊 『カラーコーディションの実際 環境色彩 第三版』