失敗事例

事例名称 リンクの伸縮機構の摺動部にかじりが発生した
代表図
事例概要 図1に示すように、リンク1と2を連結して、軸方向に伸縮する機構を設計・製作した。この装置を稼動させたところ、摺動部にかじりが発生した。メス型ロッドとオス型ロッドの材質は共に同材質のSS400で設計した。ロッド摺動部の界面に過大な摩擦力が生じたとき、材質が同じなので、表面は互いにかみあうように塑性変形し、かじりとなった。対策として、メス型ロッドの材質をS45C(高炭素鋼)、オス型ロッドの材質をSCM415(クロムモリブデン鋼)に変更し、さらに焼入れで表面硬度を高くし、塑性変形を防止するとともに、S45Cの硬度をSCMより硬くして、かじりの発生を防止した。
事象 リンク同士を連結するために、軸方向に伸縮する機構を設計・製作し、装置を稼動させたところ、摺動部にかじりが発生した。
経過 リンク同士を連結するために、軸方向に伸縮する機構を設計・製作した。装置を稼動させたところ、メス型ロッドとオス型ロッドの摺動部にかじりが発生した。
原因 ロッド摺動部の界面に過大が摩擦力が生じたとき、摺動している材質が同材質のSS400であったので、摺動表面が互いにかみあうように塑性変形し、かじりとなった。
対策 メス型ロッドの材質をS45C(高炭素鋼)、オス型ロッドの材質をSCM415(クロムモリブデン鋼)に変更し、さらに焼入れで表面硬度を高くし、塑性変形を防止するとともに、S45Cの硬度をSCMより硬くして、かじりの発生を防止した。
知識化 摺動面に同種の金属を用いると、表面の酸化膜がはがされて金属が露出し、拡散接合して溶着しやすい。溶着するとどちらかがはがされて凹と凸が摺動面に生ずる。また、摺動面が同じ硬度だと、互いに凹凸がかみ合ってしまうので、片方を柔らかくして、たとえ硬い方が柔らかい方を削って変形させても、再び削ってそのうちに滑らかになるように設計する。
背景 摺動面の周囲温度が高かったり、接触面圧が大きかったりする場合、接触点の温度が上昇して、焼付けやかじりとなる。一方の材料が鋼の場合、片方を高融点のセラミックスにしたり、低融点の銅系の合金にすることは大変有効である。
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、不良現象、機械現象、相互運動部、摩擦、材料的要因、塑性変形、摩耗
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図1.リンクの伸縮機構
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)