| 事例名称 |
小形ブルドーザのベベルギアを軸に固定するフランジが破損した |
| 代表図 |
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| 事例発生場所 |
土木現場 |
| 事例概要 |
小形ブルドーザで、トリミング作業のように前後進を頻繁に切替える作業をしていたところ、横軸べべルギアの取付けフランジが破損する不具合が発生した。原因としては、（1）熱処理後の硬度が図面指示の下限値を下回った。（2）破損部位の隅のRが小さいため、応力集中が生じた。（3）フランジの厚みが足りず、フランジに作用する曲げモーメントで高応力が発生した。などが考えられる。これらの推定原因に対し、（1）熱処理を油焼入れから水焼入れに変更し、図面指示硬度を確保する。（2）隅のRを0.4mmから2.0mmに変更して、応力集中を緩和する。（3）フランジ厚さを11mmから12mmに変更し、曲げによる応力を下げた。さらに、材質をS53C(高炭素鋼）からSCM3H（クロモリでカーボンが0.35％、焼入れ性保証）に変更し、焼入れ下限値を向上した。 |
| 事象 |
小形ブルドーザで、トリミング作業のように前後進を頻繁に切替える作業をしていたところ、横軸べべルギアの取付けフランジが破損する不具合が発生した。 |
| 経過 |
小形ブルドーザで、トリミング作業のように前後進を頻繁に切替える作業をしていた。突然異音とともに、操行不能となった。分解したところ、べべルギアを軸に固定するフランジが破損していた。 |
| 原因 |
原因としては、（1）熱処理後の硬度が図面指示の下限値を下回った。（2）破損部位の隅のRが小さいため、応力集中が生じた。（3）フランジの厚みが足りず、フランジに作用する曲げモーメントで高応力が発生した。などが考えられる。 |
| 対策 |
（1）熱処理を油焼入れから水焼入れに変更し、図面指示硬度を確保する。（2）隅のRを0.4mmから2.0mmに変更して、応力集中を緩和する。（3）フランジ厚さを11mmから12mmに変更し、曲げによる応力を下げた。さらに、材質をS53C(高炭素鋼）からSCM3H（クロモリでカーボンが0.35％、焼入れ性保証）に変更し、焼入れ下限値を向上した。 |
| 知識化 |
本事例は高応力で鋼が破断した時の”定石”を示している。フランジ付き軸の強度計算では、軸部の曲げ・ねじり応力だけでなく、フランジの曲げ応力も忘れずに計算すべきである。 |
| 背景 |
S53Cフランジ付き軸は焼入れするとき、水の中に全部が一瞬に入らず冷却速度にムラが生じ、縦割れが出やすい。冷却速度の小さい油焼入れが一般的である（図2）。なお、φ70の1/4Rの硬度とは、φ70の丸棒の中心から半径の1/4のところの硬度をいう。冷却速度が大きい表面は硬くなり、小さい中心は焼きが入りにくい。このため軸径が大きくなると軸の中心まで硬度が入りにくくなるので注意を要する。焼きが入る深さは高々5mm程度である。 |
| シナリオ |
| 主シナリオ
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不注意、理解不足、生産組織の理解不足、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、不良現象、機械現象、継手、フランジ継手、熱、熱処理、条件不適、形状、角形状、応力集中、材料的要因、材料強度不足、破断
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| 情報源 |
創造設計エンジンDB
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| マルチメディアファイル |
図1.ベベルギアを軸に固定するフランジが破損した
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図2.材質と焼入れ方法による硬度の違い
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| 分野 |
機械
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| データ作成者 |
張田吉昭 (有限会社フローネット)
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