失敗事例

事例名称 鋼板の曲げ部に割れが発生した
代表図
事例発生場所 工場プレス曲げライン
事例概要 鋼板をプレスで曲げて構造物を作ったところ、曲げ部に割れが発生した。板厚に対する内側曲げ半径が小さすぎたので、曲げによって部材の外側に発生する引張応力が、材料の引張強度を超えたためである。内側曲げ半径(R)/板厚(t)を1.5に設計変更した。
事象 鋼板をプレスで曲げて構造物を作ったところ、曲げ部の外側に割れが発生した。
経過 鋼板をプレスで曲げて構造物を作ったところ、曲げ部の外側に割れが発見された。曲げ半径の小さな曲げ部のみに発生していた。
原因 板厚に対する内側曲げ半径が小さすぎたので、曲げによって部材の外側に発生する引張応力が、材料の引張強度を超えたためである。
対策 内側曲げ半径(R)/板厚(t)を1.5に設計変更した。
知識化 割れが発生するか否かの限界の最小R/t比は、鋼材の圧延方向や材料の硬さなどにも左右される。様々な要因を考慮した上で、経験的には1.5以上とすれば、まず割れは発生しない。
背景 表1のように、圧延方向に平行に曲げる場合は、直角に曲げるより最小R/tを大きくとる必要がある。また、加工硬化材は焼き鈍し材に比べ、最小R/tを大きくとる必要がある。もちろん材質によっても最小R/tは異なる。
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、形状、角形状、応力集中、材料的要因、材料強度不足、破断
情報源 創造設計エンジンDB
設計経験則101、機械設計、3月号(1996)
マルチメディアファイル 図2.曲げによって割れが発生する
表1.材質・硬度・圧延方向の条件ごとの最小曲げ半径・板厚比(R/t)
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)