事例名称 |
電気ヒータ・エレメントのアルミ製のフィンが導電板と接触し、漏電した。 |
代表図 |
|
事例概要 |
電気ヒータで漏電の不具合が発生した。エレメントのアルミ製のフィンが導電板と接触していた。図2のように、アルミ製のフィンが鉄製のパイプに挿入されている。アルミと鉄の熱膨張率の違いで、通電と通電停止の繰り返しにより、フィンが少しづつ伸びて導電板と接触した。対策として、熱膨張差を考慮して、鉄製パイプの外径を小さくした。 |
事象 |
電気ヒータでエレメントのアルミ製のフィンが導電板と接触し、漏電する不具合が発生した。 |
経過 |
電気ヒータで漏電の不具合が発生した。エレメントのアルミ製のフィンが導電板と接触していた。また、フィン中央部にき裂が発生していた。 |
原因 |
アルミ製のフィンが鉄製のパイプに挿入されている。アルミの熱膨張率は鉄の2倍である。図2のように、通電すると、フィンが熱膨張で軸方向に伸びるとともに、径方向にも膨張する。通電を停止すると、エレメントは冷却されるが、熱膨張率が大きいフィンが内側の鉄パイプに密着したままで、軸方向は元の位置に戻らず、塑性変形して伸びたままになった。通電・停止の繰り返しにより、フィンが少しづつ伸びて導電板と接触した。また、フィン中央部の引張応力が許容応力を超えたので、き裂が発生した。 |
対策 |
アルミと鉄の熱膨張差を考慮して、鉄製パイプの外径を小さくした。 |
知識化 |
冷熱繰り返しの加わる箇所には、熱膨張係数が異なる材料の混用は避ける。機能や性能上やむを得ず混用する場合は、熱変形量に対して、関係寸法、構造を十分検討する。 |
背景 |
鉄は10cmが1℃につき1μm伸びる。アルミは10cm、1℃、2μmである。アルミを鉄の外殻に配置すると、そのはめあいは緩くなり、逆にアルミを鉄の内殻に配置すると、はめあいがかたくなり、最後はかじる。 |
シナリオ |
主シナリオ
|
不注意、注意・用心不足、企画者不注意、誤差設定不適、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、不良現象、機械現象、構造の問題、熱、熱サイクル、応力サイクル、材料的要因、材料強度不足、割れ発生・成長、塑性変形、不良現象、電気故障、電気接点、短絡
|
|
情報源 |
創造設計エンジンDB
|
マルチメディアファイル |
図2.電気ヒータのアルミフィン部構造と不具合状況
|
図3.アルミフィンが伸びるメカニズム
|
分野 |
機械
|
データ作成者 |
張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
|