失敗事例

事例名称 スラスト力でバルブ内部のスナップリングが破損
代表図
事例概要 ミッション・コントロール・バルブ内のスナップリングが破損した。図2のように、スプールの左方向への移動を規制するストッパを固定するスナップリングに、スプールのスラスト力が作用する。ところが、バルブ内径が小さく、それに合うスナップリングの内径も小さいことに加えて、ストッパ外周に面取りがされていたため、接触面積が小さくなってしまった。その結果、スラスト力による面圧が過大になった。対策として、図3のように、スナップリングを止め、カバーでストッパを固定する構造に変更した。
事象 ミッション・コントロール・バルブ内のスナップリングが破損した。
経過 車両を運転していたところ、突然、変速ができなくなった。ミッションのコントロール・バルブを分解調査してみると、ストッパを固定するスナップリングが破損していた。
原因 図2のように、スプールの左方向への移動を規制するストッパを固定するスナップリングに、スプールのスラスト力が作用する。ところが、バルブ内径が小さく、それに合うスナップリングの内径も小さいことに加えて、ストッパ外周に面取りがされていたため、接触面積が小さくなってしまった。その結果、スラスト力による面圧が過大になった。
対策 図3のように、スナップリングを止め、カバーでストッパを固定した。
知識化 強制的なスラスト力が作用したり、軸径、穴径の小さい場合は、スナップリングで位置決めしない。また、スナップリングで位置決めしている部材で、径の小さなものは面取りしない。
シナリオ
主シナリオ 不注意、理解不足、生産組織の理解不足、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、環境変化への対応不良、使用環境変化、定常動作、誤動作、不良現象、機械現象、過負荷、応力集中、相互運動部、組合不良、外れる
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.スナップリングの破損メカニズム
図3.スナップリングを使わない固定方法
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)