事例名称 |
新現像液の濃度上昇による現像画像の異常 |
代表図 |
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事例概要 |
現像液の補充量が少なくてすむ現像機を開発した。過酷な条件として、連続1000枚以上の現像処理を実行し、新液の耐久性に問題がないことを確認した。ところがモニターテストしたところ、一部のユーザで使用後1週間ごろから、画像濃度が薄く現像される現象が発生した。ユーザは現像濃度が低いにもかかわらず現像液を補充し、さらに現像液貯蔵タンクとして、浅い型式のものを採用していた。使用頻度が低いのに、浅タンクを使用していたので、現像液単位体積当りの蒸発量が多くなり、現像液の濃度が異常に高くなったことが原因であった。対策として、現像液貯蔵タンクとして深タンク型使用をリコメンドした。 |
事象 |
現像液の補充量が少なくてすむ現像機を開発した。モニターテストしたところ、一部のユーザで使用後1週間ごろから、画像濃度が薄く現像される現象が発生した。 |
経過 |
写真を1枚現像するたびに、現像液は補充されなければならない。そこで、現像液の補充量が少なくてすむ現像機を開発した。過酷な条件を想定し、連続1000枚以上の現像処理を実行し、新液の耐久性に問題がないことを確認した。ところがモニターテストしたところ、一部のユーザで使用後1週間ごろから、画像濃度が薄く現像される問題が発生した。そのユーザは現像濃度が低いにもかかわらず現像液を補充し、さらに現像液貯蔵タンクとして、浅い型式のものを採用していた。 |
原因 |
ユーザは現像濃度が低いにもかかわらず現像液を補充し、さらに現像液貯蔵タンクとして、浅い型式のものを採用していた。使用頻度が低いのに、浅タンクを使用していたので、現像液単位体積当りの蒸発量が多くなり、現像液の濃度が異常に高くなった。図2(a)に深タンク型現像機の場合、(b)に浅タンク型の場合のフィルム処理量と濃縮率との関係を示す。いずれも処理量が小さいと濃縮率が大きいが、浅タンクは蒸発量が大きいため、さらに濃縮率が大きくなる。当初、深タンクで想定したため濃縮率は1.5であったが、実は浅タンクだったため実際の濃縮率は2.0になった。この差が現像濃度を高め、現像異常となった。 |
対策 |
現像液貯蔵タンクとして深型タンク使用をリコメンドした。 |
知識化 |
補充量が少なくても現像が多くできる、という開発のタイトルに思考が引っぱられて、最も過酷な条件が、実は現像液が少なく毎日補充しなくてもよいユーザの使用条件であることに気が付かなかった。 |
背景 |
商品開発する場合、ユーザの使い方の把握が不可欠である。 |
よもやま話 |
エンジンの燃費が最も問題となる車は、実は走らずにアイドリングばかりしている渋滞中の車だったり、ボディのキズでもっともクレームがつく車は、実は悪路を走らずにいつも磨いてばかりいるマニアの車だったりする。 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、事前検討不足、予期せぬ使用環境、現像液、タンク、計画・設計、計画不良、使用、運転・使用、不良現象、熱流体現象、流体、濃度
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情報源 |
創造設計エンジンDB
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マルチメディアファイル |
図2.フィルム処理量と濃縮率との関係
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分野 |
機械
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データ作成者 |
張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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