失敗事例

事例名称 強度不足で時計の中間歯車の歯が曲がった
代表図
事例概要 時計の試作品で、時計の日回し調整のため、瞬間日送りを行なったところ、図2のように、中間歯車の歯が曲がってしまった。中間歯車の歯厚が、バラツキの下限近傍のため、強度不足となったことが原因であった。対策として、歯厚を厚くするとともに、トルク伝達部材の筒車体の材料を変更し強度アップした。
事象 時計の日回し調整のため、瞬間日送りを行なったところ、図2のように、中間歯車の歯が曲がってしまった。
経過 時計の開発過程の3次試作品で、時計の日回し調整のため、瞬間日送りを行なったところ、図2のように、中間歯車の歯が曲がってしまった。1次試作で同様な現象が発生したので、2次試作では材料や接触面積などを対策して、不具合の発生を抑えることができた。3次試作品を調査したところ、歯厚がバラツキの下限近傍であった。
原因 中間歯車の歯厚が、バラツキの下限近傍のため、強度不足となってしまった。歯厚加工公差内-0.01から+0.005mmでも、23%も強度が変化する。
対策 歯厚を0.125mmから0.165mmと厚くする(計算強度上2.3倍)とともに、1円のコストアップとなるが、トルク伝達部材の筒車体の材料を変更し(ヤング率1.5倍)強度アップした。
知識化 歯形は公差内でも、強度のバラツキが大きい。
背景 2次試作で不具合が発生しなかったので、3次試作での確認がおろそかになっていた。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、企画者不注意、誤差設定不適、歯車、計画・設計、流用設計、非定常行為、変更、設計変更、製作、ハード製作、製造工程、切削加工、破損、変形、塑性変形
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.日回し歯車と中間歯車
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)