事例名称 |
アンモニアガスによる応力腐食割れで、配電盤の端子にクラックが発生した |
代表図 |
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事例概要 |
電磁接触器を使用した配電盤を、密閉梱包して輸出したところ、端子にクラックが発生した。電磁接触器のケースがフェノール樹脂成形で、さらに密閉梱包だったため、ケースから発生したアンモニアガスが、図2のように、蓄積して数10ppmと高濃度になり、黄銅製の端子が応力腐食割れを起こした。対策として、ケースの材質をジアリルフタレート樹脂に変更した。 |
事象 |
電磁接触器を使用した配電盤を、密閉梱包して輸出したところ、端子にクラックが発生した。 |
経過 |
電磁接触器を使用した配電盤を、密閉梱包して輸出した。開梱したところ、端子にクラックが発生していた。電磁接触器のケースはフェノール樹脂成形品で、端子は黄銅製であった。 |
原因 |
電磁接触器のケースがフェノール樹脂成形で、さらに密閉梱包だったため、ケースから発生したアンモニアガスが、図2のように、蓄積して数10ppmと高濃度になり、黄銅製の端子が応力腐食割れを起こした。なお、図2は2.8リットルの密閉容器に電磁接触器ケース(フェノール樹脂製)と端子台各1個を収納し、常温、常湿で測定したものである。また、図3はアンモニアガス濃度と応力腐食割れとの相関を示す1例である。 |
対策 |
ケースの材質をジアリルフタレート樹脂に変更した。 |
知識化 |
フェノール樹脂成形品から発生するアンモニアガス量は、湿度が高くなると、さらに加速して増加する。対策としては、フェノール樹脂でなく、ジアリルフタレート樹脂や不飽和ポリエステル樹脂などの成形材料を用いる。また、黄銅材料はアンモニアに腐食されやすいので、他の材料に変更することも有効である。 |
背景 |
部品組立後、稼動する以前(輸送中や保管中など)に発生する本事例のような不具合も存在することを理解する必要がある。 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、過去情報不足、調査・検討の不足、事前検討不足、予期せぬ使用環境、プラスチック、アンモニア、使用、輸送・貯蔵、不良現象、化学現象、物質間反応、破損、破壊・損傷、割れ発生・成長
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情報源 |
創造設計エンジンDB
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マルチメディアファイル |
図2.フェノール樹脂からのアンモニア発生状況
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図3.密閉梱包内アンモニアガス濃度とコイル断線発生率
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分野 |
機械
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データ作成者 |
張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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