失敗事例

事例名称 タイタニック号沈没事故
代表図
事例発生日付 1912年04月15日
事例発生地 マサチューセッツ州ボストンの真東1610Km、ニューファウンドランド、セント・ジョンズ沖604Km。
事例発生場所 氷山の多い海上
事例概要 不沈の船と呼ばれていた豪華船タイタニック号がイギリスからアメリカのニューヨークへ向かう途中、氷山に衝突し、沈没した。氷山の存在が2度に渡り警告されていたにも関わらず、減速もしなかった。氷山を発見した際に減速して舵を切ったが、船腹が衝突し、また低温のために船体の金属特性がもろくなっていたので船体が2つに割れて沈没した。救命ボートも不足しており、救助の知らせを発するのが遅れたため、多くの死者が出た。
事象 不沈の船として世界中から注目を浴びていた豪華客船タイタニック号は、予定より一ヶ月遅れで出発時間も一時間遅れて処女航海に出発した。ニューファウンドランド沖で氷山の警告を2度受けていたが、深刻に受け止めず、航海を続行。その後、氷山に激突し、船体は割れて沈没。救命ボートの不足や救難無線の発信の遅れのために、多くの死者が出た。
経過 不沈の船として世界中から注目を浴びながら、1912年4月10日にタイタニック号は処女航海に出発した。予定より一ヶ月遅れで、出発時間も一時間遅れていた。2度氷山の警告を受けたが、深刻に受け止めなかった。減速もせずに航海を続行。14日の11:40、氷山を450m手前で発見。減速しながら舵を切ったが船腹をなでるように氷山をかすめた。その際には衝突に気付かなかった乗客もいた。その後多数区画の損傷により大量の浸水。0:14に初めて救難無線を発す。56海里離れたカルパチア号が受信し、救助に向かった。0:44信号灯を打ち上げたが、近くにいたカリフォルニア号は救難信号とは受け取らず、救助にも向かわなかった。そして2:20沈没。カルパチア号は4:10頃到着。
原因 氷山に衝突したことがこの事故の直接な原因であるが、氷山の衝突にいたった原因としては、2度にもわたる警告を無視したこと、出航が一ヶ月遅れたために流氷が増えた事、夜間であったために視界が悪く、監視に双眼鏡が使われていなかったことなどがあげられる。また、多くの死者を出した理由としては、救命ボートの数が不足していたこと、すぐに救難信号を発しなかったこと、近くにいたカリフォルニア号が無線を切っていたことや信号灯の意味を理解していなかったことなどである。更に、船体の成分はPとSが多く、低温ではもろくなりやすい状態であった。そのために船体が割れ、急速に沈没してしまったと思われる。
対処 救難無線を発したが遅れた。また、救命ボートも充分に用意されておらず、さらに定員に満たないまま出されたものもあった。
対策 この事故を教訓に、数々の安全対策が取られるようになった。例をあげると、USCGでは氷山のデータや情報を航行安全のために提供するようになった。また、氷山の警告を深刻に捉えるようになった。
知識化 力を過信して警告に耳を傾けないと、大失敗を起こす。「もしも」の事を考えて十分に安全対策を立て、事故が起きても被害を最小にすることが重要である。準備が充分でないと、最悪の状況を招きかねない。
背景 処女航海で大西洋横断の最短記録を目指していた為、警告を受けても減速できないプレッシャーがあった。また、不沈の船ともいわれており、偽りの安心感が与えられていて、この船が沈没するとは、誰も想像できなかった。この時代はまだ鉄の延性などの詳しい情報が広まっておらず、天気予報やレーダーの無い時代で、さらに夜間に高速航海していたので、事故の予見は困難であったと思われる。ただし、救命ボートを充分に積み込むなどの安全対策をしておれば、死者の数はもっと少なくなっていたと思われる。
後日談 タイタニック号の唯一の日本人乗客であり、生還した細野正文氏の残した手記が、事故に関する定説の一部を覆す内容であることが、アメリカの研究財団の分析で分かった。細野氏は、イギリス人生還者の手記で長らく、「ひきょう者」扱いされ、本人をはじめ遺族もつらい日々を送ってきた。手記の精査により誤解が解け、85年ぶりに先祖の汚名をそそぐことができた遺族らは“手記の証明”を、感慨をもって受け止めている。メンバーに坂本龍一らがいる音楽グループYMOの細野晴臣の祖父にあたる。
よもやま話 1912年からタイタニックを描く映画、ドキュメンタリー、関連作品が数多く制作されている。中でも最近のジェームス・キャメロン監督の作品は大ヒットとなり、アカデミー賞を受賞している。
データベース登録の
動機
タイタニック号の沈没事故は非常に有名で、映画を観た人も多いので、多くの人々に興味を持ってもらえると思った。
シナリオ
主シナリオ 誤判断、狭い視野、発見遅れ、無知、知識不足、過去情報不足、教育・訓練不足、手順の不遵守、連絡不足、調査・検討の不足、仮想演習不足、非定常行為、非常時行為、環境変化への対応不良、使用環境変化、自然的条件変化、天候変化、破損、破壊・損傷、割れ発生・成長、組織運営不良、運営の硬直化、報告制度不備、破損、劣化、脆性、低温脆性、破損、破壊・損傷、衝撃、割れ・欠け、破損、破壊・損傷、材料強度不足、破断、不良現象、熱流体現象、流体、流体浸入、身体的被害、死亡、身体的被害、負傷
情報源 http://www.mae.carleton.ca/Courses/86412
http://homepage1.nifty.com/Titanic/real/timeline.htm
http://www.sankei.co.jp/databox/paper/9710/html/1029side06.html
死者数 1517
負傷者数 706
物的被害 タイタニック号及び乗船していた富豪たちの貴金属、持ち物、車、美術品など数々の物品。
社会への影響 不沈の船と呼ばれていた豪華船タイタニック号の沈没で、人々は大きなショックを受けた。
備考 情報源である上記1つめのリンクは現在表示されていない。
生存者は706名で、なんらかの負傷があったと仮定して、負傷者706名とした。
分野 機械
データ作成者 タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)