失敗事例

事例名称 200 年前の坑道による家屋の地盤沈下
代表図
事例発生日付 2000年10月
事例発生地 英国スコットランド、エジンバラ市
事例発生場所 エジンバラ市の南部一帯
事例概要 石灰石の石切場の上に立てられた家屋の地盤が広範囲に渡って沈下した。
事象 首都の南部地域で石灰石の石切場上部の土地が広範囲に渡って宅地開発されたが、住宅建築から約 40 年後に地盤が沈下し、約 200 世帯の住人が立ち退きを迫られた。
経過 スコットランドの首都にある Ferniehill 地域にある家屋で亀裂が確認され、数日後に 30 以上の家屋の地盤が沈下し始めたため、居住者は全員移住した。5 ヶ月後に Hyvots Bank の 141 世帯の住人が立ち退いた。10 ヶ月後に Moredun Parkに地盤沈下の被害が広がり、52 世帯から 150 人の居住者が立ち退いた。地盤沈下の被害は更に Gilmerton 地域まで広がった。調査団が派遣され、これら地域一帯の家屋は取り壊された。
原因 44 の縦穴を空けて技術者が検査したところ、石切場の坑道から大量の石灰石が発掘されて取り除かれたため、地盤が沈下した。坑道に使用されていた支柱が支柱としての機能及び効力を保持していなかった。また、20 世紀後半に坑道及び坑室が溶解し、洪水が発生していた。耐久 200 年の廃止された石灰石の石切場内での動きによって、坑道が埋められ、地盤が沈下した。
対処 エジンバラ市議会は原因及び被害範囲を調査するために、技術者を派遣した。地盤沈下が発生している地域を 24 時間体制で監視し、安全対策を執行した。付近の住民を避難させ、技術者は将来の事故の可能性を鑑定した。
対策 家屋に地盤沈下の兆候が現れた時点で、付近に住む住人を避難させた。事件のあった地域への建築許可は取り消され、今後も建築を許可しないこととなった。また、事件のあった地域に建設された家屋を取り壊した。個別の調査団が、坑道の上に家屋を建築することが 1960 年代に許可された経過と理由を調査した。
知識化 家屋の建設や購入に際しては、不動産屋さん任せ、行政任せしていてはとんでもない目に会うことがある。自分の目を常日頃から養っておこう。
背景 該当する地域の古い坑道の地図のみから、調査に派遣された技術者が老朽化した個所を正確に検知するのは困難だった。
当事者ヒアリング エジンバラ市議会議員、Sheila Gilmore 「数件の家屋からの被害報告を受け取った時には、こんなに長期間でこんなに多数の家屋が被害に遭うとは思いもよらなかった。」
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、事前検討不足、安全対策不足、誤判断、誤った理解、調査・検討の不足、仮想演習不足、崩壊、想定外負荷、建設
情報源 http://news.bbc.co.uk/hi/english/uk/scotland/newsid_1463000/1463512.stm
http://news.bbc.co.uk/hi/english/uk/scotland/newsid_1239000/1239072.stm
http://news.bbc.co.uk/hi/english/uk/scotland/newsid_1235000/1235531.stm
http://news.bbc.co.uk/hi/english/uk/scotland/newsid_1195000/1195900.stm
http://news.bbc.co.uk/hi/english/uk/scotland/newsid_1072000/1072800.stm
http://news.bbc.co.uk/hi/english/uk/scotland/newsid_1034000/1034691.stm
死者数 0
負傷者数 0
物的被害 200 世帯以上の家屋が取り壊された。
全経済損失 500000 ポンド (市が避難した住人が仮住まいするための住宅を買い上げた。)
社会への影響 エジンバラ市の南部は宅地開発が禁止された。
分野 機械
データ作成者 ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)