事例名称 |
老朽化で蒸気機関車のボイラーが爆発 |
代表図 |
|
事例発生日付 |
2001年07月29日 |
事例発生地 |
米国オハイオ州メディナ市 |
事例発生場所 |
Medina County Fair 会場 |
事例概要 |
古い蒸気機関車が陳列場所へ移動中に爆発した。 |
事象 |
展示される古いエンジンの 1 つであった古い蒸気機関車が陳列場所へ移動中に爆発し、破片や熱されたエンジン油が周囲 100 ヤードに飛び散った。 |
経過 |
20 世紀に製造された蒸気機関車は事故数日前に故障が確認されていた。古い蒸気機関車であったため、運行するのではなく、会場までトラックで引き入れることが義務付けられていたが、開催前日に所有者である Cliff Kovacic 氏が 1 マイル離れた Liberty Excavating から運行して会場まで移動し、会場内を後進して移動中に、何の前触れも無く、突然爆発した。蒸気機関車の操縦士は防弾チョッキを着ていたために一命を取り留めた。 |
原因 |
老朽化により、管板の厚さが 77% 薄くなっており、ボイラー内の蒸気の圧力を支えるには不適当であった。薄くなった管板にあるステーボルト間で板が弛み、スケール傷が発生して、ボイラー水による金属の冷却を絶縁したため、管板が局所的にオーバーヒートしていた。蒸気機関車のボイラー内の水量が低く、管板が剥き出しになり、管板がオーバーヒートしていた。オーバーヒートしていた管板に何らかの原因で水がかかり、大量の蒸気が発生したため、圧力でボイラーが爆発した。管板には可融栓と呼ばれる安全装置があり、可融栓は真鍮のフレーム内が錫でうめられており、管板のオーバーヒート時 (摂氏 232 度) に錫が溶け出して、管板に穴を空け、ボイラー内の蒸気を火室に送り、石炭の加熱を押さえるはずであったが、可融栓の錫が溶け出さなかった。 |
対処 |
負傷者が病院に運ばれた。 |
対策 |
原因を究明するため、安全逃し弁、管板の一部が National Board に送られた。 |
知識化 |
アンティークがもてはやされたりするが、あくまでも製造物は古くなるとどこかしら欠陥がでてくるものでありそれに対する取り扱いには注意しないといけない。 |
背景 |
20 世紀に製造された蒸気機関車は、水量が低すぎたり、ボルトや金属が老朽化すると、爆弾のように爆発する。 |
後日談 |
Medina County Fair は開催予定時間より 2 時間遅れで開かれた。 |
よもやま話 |
米国オハイオ州の Medina County Fair は毎年、古い機関車の展示で人気がある。2000 年には 120000 人が会場を訪れた。今回は 156 回目の Fair であった。 |
当事者ヒアリング |
メディナ消防局局長、Bill Herthneck 「大量の熱された油が機関車から 50 フィートから 75 フィート飛び散った形跡がある。付近を歩行中の人は重傷の火傷を負うほどの量だ。大半の負傷者はこの油による火傷だろう。」 |
シナリオ |
主シナリオ
|
環境変化への対応不良、使用環境変化、定常動作、誤動作、環境変化への対応不良、使用環境変化、自然的条件変化、経時変化、脆性、圧力容器・パイプ、破裂、高温、漏洩、腐食、割れ発生・成長
|
|
情報源 |
http://www.cnn.com/2001/US/07/29/fair.explosion/
http://www.apbonline.com/newscenter/breakingnews/2001/07/31/ story_ohio_county_fair_explosion.html
http://www.akron.com/20010816/FPAGE/frt3.htm
http://www.steamengine.com.au/misc/safety/medina.html
http://www.ghls.org/september.htm
|
死者数 |
5 |
負傷者数 |
47 |
物的被害 |
骨董品の蒸気機関車が大破した。 |
分野 |
機械
|
データ作成者 |
ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
|