失敗事例

事例名称 サンオノフレ原子力発電所で火災が発生し、緊急停止
代表図
事例発生日付 2001年02月03日
事例発生地 米国カリフォルニア州南部
事例発生場所 サンディエゴの北の海岸沿い サンオノフレ原子力発電所
事例概要 アメリカ南カリフォルニアのサンオノフレ原発第3号原子炉で電流遮断機の故障により電気系統の火災が発生。そのため電力供給が緊急停止し停電するという事故が起こった。原子炉が定期点検の完了後、再起動を始めた矢先におきた事故だった。
事象 アメリカ南カリフォルニアにあるA社所有のサンオノフレ原子力発電所第3号原子炉で電流遮断機の故障により漏電、電気系統の火災が発生し、電力供給が緊急停止し停電するという事故が起こった。事故は同炉が定期点検を終え、再起動を始めた直後に起こった。原子力規制委員会は同炉を少なくとも5月末まで停止状態にすることを発表。カリフォルニアでは約5ヶ月間、発電において困窮を強いられることになった。
経過 2001年2月3日、米国カリフォルニア州南部のサンオノフレ原子力発電所第3原子炉(A社所有 1120MW)で火災が発生した。電流遮断機の故障により漏電し発火したとみられている。この火災により潤滑油ポンプと各種バックアップシステムが機能不全に陥り、電力供給システムが緊急停止し停電を起こすという事態に発展。各種システムの機能喪失は同炉の大規模なタービンのベアリングとシャフト部分に大きなダメージをもたらす結果となり、数ヶ月間機能を停止させなければならず、かつてないほどの電力危機に直面しているカリフォルニアでは発電供給において困窮を強いられることになった。火災は核物質が置かれているところから離れた電気スイッチ切換ルームで発生したので民間の人が危険にさらされるような放射能漏れなどはないという。けが人もでていない。この事故は原子力に頼っている電気供給システムのもろさを浮き彫りにした。
原因 事故が定期点検完了直後に発生したため、A社のメンテナンスのシステムに問題があったとの見方があったが、その後人為的なミスはないと報告された。詳しい事故原因は調査の段階にあるが、電流遮断機の故障により漏電、火災をおこすにいたった。電流遮断機の故障はメインタービンと第3原子炉の電源となるジェネレーターへのオイル供給をするポンプの電源を遮断した。通常当然作動するべき電流遮断機の3つの機器のうち2つしか回路につながっておらず完全に閉回路されていなかったという。火災は潤滑油ポンプと各種のバックアップシステムのシャットダウンにつながり電気供給が緊急停止した。原因究明の鍵となる機器が焼失してしまったために正確な原因は分からないと調査にあたったA社の担当者は語った。
対処 事故後、同炉の消防隊と地元の消防隊が火災の消火活動にあたる。また、連邦原子力委員会は調査チームを派遣し事故原因の調査を指示した。
対策 現在サンディエゴとカリフォルニアの他の発電所間をつないでいるのはサンオノフレ原発だけで、その供給力もほぼ限界に達しているため、リバーサイドカウンティに新しいラインを設ける計画が提案された。
知識化 何万世帯ものライフラインを支える原子力発電所などの安全管理体制、機器等の点検システムなどを徹底して行うことが重要。
背景 同炉は1120MWの電力を生産。その量は110万世帯をカバーするに十分な電力である。カリフォルニア州においては前代未聞の電力危機の最中で、事故が起こったのは同炉が定期点検を完了して再起動しはじめた直後のことだった。
後日談 A社は市場での購入電力がかさみ、未払いの借金が数十億ドルあり会社の経営が困難に陥っているため、国が電力購入の肩代わりをすることになった。カリフォルニア州では納税者の一般資金から30億ドルがA社、B社、C社の電力購入にあてられることが決まった。
よもやま話 A社と他の電力関係会社がカリフォルニアにある工場を売却。それを購入した州外の電力発電会社はA社に電力を売ることを拒否。同州は1120MWの電力をどこからか調達しなくてなならないという。
データベース登録の
動機
普段なにも思わずに使う電気(電力)がどこからどのように供給され、さらに将来的にどのように関わっていったらいいのか考えさせられたから。
シナリオ
主シナリオ 未知、異常事象発生、使用、運転・使用、不良現象、電気故障、漏電、非定常操作、緊急操作、停止、緊急停止、起こり得る被害、潜在危険
情報源 http://www.nctimes.net/news/2001/20010319/c.html
http://www.nirs.org/reactors/sanonofrerelease3222001.htm
死者数 0
負傷者数 0
物的被害 サンオノフレ原子力発電所の電流遮断機周辺機器
分野 機械
データ作成者 ジュンコイノウエ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)