失敗事例

事例名称 水路を埋めた跡に建設されたアパートが30年後に崩壊
代表図
事例発生日付 2002年06月03日
事例発生地 ロシア、セント・ピーターズバーグ
事例発生場所 アパートの建物
事例概要 水路を埋めた上にアパートが建てられたが、基礎に問題があったため、30年後に傾き、崩れた。
事象 築30年の9階建てのアパートが崩壊し、3名が死亡、1名行方不明、430名が住居を失った。
経過 この事故の約30年前に水路を埋めた上に、9階建てのアパートが建築された。その際に基礎が正しく建設されていなかった。30年後、アパートの建物は老朽化し始め、この事故の2日前から建物に何らかの問題、症状がでていたようである。基礎のブロックが欠け、傾いていた。事故当日、建物が揺れ始め、建物が崩れた。
原因 この建物は築30年で、基礎が正しく建設されていなかった。基礎は40cm足りず、傾いていた。
対処 救急隊および軍隊が出動し、救助活動を開始。翌日まで建物崩壊の地で生存者を探したが、翌朝まだ、4名が行方不明であった。
対策 政府は事故の原因を調査した。
知識化 基礎というのは物事の土台であり、非常に重要な部分である。そのような重要な部分で手を抜くと、必ず支障が発生する。
背景 このアパートが建てられる前には、その場所に水路があり、それを埋め立ててこのアパートが建てられた。ロシアでは住宅不足で、ソビエト時代に建設された州のアパートには多くの国民が住んでいるが、建物が古くなり、崩壊する事故が多々発生している。1999年12月5日にも、ロシア南部でアパートが崩壊し10名が死亡するという事故があった。老朽化による基礎構造部の崩壊が原因と見られた。
後日談 「このアパートの写真を見てみると、構造の一角が傾いているのが分かる」と市の市民保安および緊急対策サービスの代表者が語った。
よもやま話 このアパートは、各ユニットに8部屋あり、数家族で1ユニットに住み、台所や風呂場を共有している人々が多かった。この地域では、このような形で住宅難に対応していた。
当事者ヒアリング 「建物がゆれ始めたので、息子がいる小さい部屋へ走って行き、ドアを開けると、もう部屋は無かった。落ちてしまっていた。」と、何とか逃げ出すことができたA氏は語った。
データベース登録の
動機
日本でも手抜き工事により建物が崩れるという事件を聞いたことがあるが、人々の命に関わる重要なポイントを、改めて重要視してほしいと思った。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、価値観不良、安全意識不良、安全対策不足、製作、ハード製作、建設的要因、建設、破損、劣化、破損、破壊・損傷、割れ発生・成長、破損、大規模破損、崩壊
情報源 http://english.pravda.ru/region/2002/06/05/29759.html
http://www.miami.com/mld/miamiherald/3399040.htm
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?file=/news/archive/2002/06/04/international1619EDT0696.DTL
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/3199/7-29a-roshia.html
死者数 3
負傷者数 1
物的被害 アパートの建物
被害金額 不明
全経済損失 アパートの建物、人々の所有物、事故の始末にかかった費用、その他。
社会への影響 430名が住居を失った。古いアパートに住む人々に恐怖心を与えた。
備考 行方不明者1名とあったが、その人が生存していることを願って、負傷者1名とした。逃げる際に負傷した人々が存在する可能性は大いにあり。
分野 機械
データ作成者 タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)