失敗事例

事例名称 車両サスペンションの部品が疲労破壊した
代表図
事例概要 試作の疲労試験で合格だった車両サスペンションの部品が疲労破壊した。試作品はレーザカットで素材を切り抜いていたが、量産品はプレス打ち抜き品であった。プレス打ち抜きで生じるシアエッジの微視クラックに、切り欠き効果で応力集中したことが原因であった。
事象 試作の疲労試験で合格だった車両サスペンションの部品が疲労破壊した。
経過 車両サスペンションの部品が、疲労破壊した。試作時の疲労試験で、十分に疲労強度が確認されたはずの部品であった。疲労破壊した部品はプレス加工品で、プレス打ち抜きによるシアエッジ端から亀裂が発生していた。一方、試作品はレーザカットで素材を切り抜いていたことが判明した。
原因 試作品はレーザカットで素材を切り抜いていたが、量産品はプレス打ち抜き品であった。プレス打ち抜きで生じるシアエッジの微視クラックに、切り欠き効果で応力集中した。
知識化 設計計算時、加工方法による強度低下分を考慮する。また、同じプレス加工でも、試作時と量産時では、シアエッジの状態が大きく異なることもある。図1のように、平滑材に比べて疲労寿命が3割以上も低下することがある。この強度低下は、材質に加えて、ポンチとダイスのクリアランスの影響も受ける。
背景 本事例のように試作では、金型が不要なレーザ加工が用いられることが多いので注意する。
シナリオ
主シナリオ 不注意、理解不足、生産組織の理解不足、生産工程の配慮不足、手順の不遵守、連絡不足、図面不備、鋼板、製作、ハード製作、製造工程、打抜き加工、シアエッジ、使用、運転・使用、試験、不良現象、機械現象、形状、角形状、応力集中、破損、破壊・損傷、物質疲労
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.シアエッジの切り欠きによる疲労強度の低下(概念図)
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)