失敗事例

事例名称 製塩装置ステンレス鋼製圧縮機、蒸発缶等の応力腐食割れ
代表図
機器 加圧式製塩の蒸気圧縮機/羽根車/13Cr、羽板18Cr-8Ni(SUS316相当)
事例概要 圧縮機のwet state で2000~4000時間、dry stateで10000~15000時間で羽板に割れ発生。圧縮機の回転数3,500rpm,周速190m/sec,吸込圧力(温度)1.10kg/cm2abs(170℃)、Cl量1~3ppm。13Crでは孔食発生したが割れなし。遠心分離機濾過網材SUS304も数ヶ月で割れのため使用不能。蒸発缶でも同様に腐食対策で採用したステンレス鋼で割れ発生。
事象 遠心分離機濾過網材質選定のため回転型応力腐食試験機で耐食試験の結果SUS316が好結果。食塩品質向上の面でステンレス鋼の選定が必要となっている。
かん水よりも母液の方が割れやすいのはMgCl2を10~20%含むため。蒸発缶では塩付きのため自動化が阻害されていたため、塩付き防止方法としてステンレス鋼をバフ研磨して平滑とし自動化に成功したもの。また潰食発生や銅、鉄の腐食生成物の影響などにたいし食塩品質向上にステンレス鋼が有効なるも割れを起こした。
原因 応力腐食割れ、孔食
対策 ステンレス表面の平滑化などの対策では塩付き防止には効果があっても割れ対策としては不十分である。応力除去熱処理、Mo含有鋼の選択などが望ましい。
知識化 食塩の品質向上、装置の耐久性向上から銅、鉄をステンレス鋼に変更する場合はステンレス鋼特有の腐食問題に対する配慮が必要
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、過去情報不足、使用、運転・使用、機器・物質の使用、SUS304ステンレス鋼、圧縮機、蒸発缶、かん水、残留応力、破損、破壊・損傷、応力腐食割れ
情報源 長岡幸男:製塩装置に於けるステンレス鋼、防食技術, 18, 445 (1969)
マルチメディアファイル 図1.フォールトツリー図 製塩装置ステンレス鋼製圧縮機、蒸発缶などの応力腐食割れ
図2.イベントツリー図 製塩装置ステンレス鋼製圧縮機、蒸発缶などの応力腐食割れ
分野 材料
データ作成者 橋本 哲之祐 (元千代田化工建設(株))
小林 英男 (東京工業大学)