事例名称 |
デカンターボールシェルの熱処理ミスによる脆性破壊 |
代表図 |
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機器 |
固液遠心分離機/デカンターボールシェル/SCS16Aステンレス鋳鋼 |
事例概要 |
合成樹脂重合過程に高速回転(4000rpm)で使用するステンレス鋳鋼製の固液遠心分離機デカンターボールシェルが、運転時間1年2ヶ月で突如多くの破片に分離破壊した。 |
事象 |
製作段階で、1120℃で溶体化熱処理を施すべきところ、980℃×4hr 空冷後720℃×4hr の13Cr 鋼用の熱処理が誤って適用されていた。このため、熱処理中にσ相が析出して、著しく脆い材料になっていた。これが高速回転で運転される中で受ける僅かな衝撃力によって、上端面ねじ底部を起点として脆性的に破壊した。 破断材について衝撃特性を調べたところ、健全材で 190 J/cm2 の衝撃値が9.8 J/cm2まで低下していた。また、ミクロ組織観察の結果、約 10 %のσ相が検出された。 なお、この製品は鋳造時に鋳型のCが、鋳型の鋳込み側から拡散浸透して、鋳物中の炭化物が異常に高い状態に析出していた個所が生じるという、二重の過ちを犯していた。 |
原因 |
脆性破壊 |
対策 |
正規の熱処理が行われていたかどうかを、チェックする十分な品質管理が必要である。 |
知識化 |
製品受入時に、材質の健全性を確認する入念な品質管理の重要性が認識される。 |
シナリオ |
主シナリオ
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手順の不遵守、手順無視、操作手順の無視、製作、ハード製作、機械・機器の製造、回転器、ステンレス鋳鋼、熱処理条件の不適切、使用、運転・使用、機器の使用、過負荷、破損、破壊・損傷、脆性破壊
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情報源 |
武川哲也: ペトロテック、Vol..4, No.10, 974 (1981)
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分野 |
材料
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データ作成者 |
武川 哲也 (元住友化学(株))
小林 英男 (東京工業大学)
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