事例名称 |
長期保管の不飽和油脂(落花生の渋皮)の自然発火 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1986年 |
事例発生場所 |
倉庫 |
事例概要 |
袋詰めの落花生渋皮を倉庫で保管中に自然発火した。袋詰めした落花生の渋皮が蓄熱発火しただけであれば被害は限定的であったが,隣接する工場に火災が拡がった。不飽和油脂などを含む物質は蓄熱発火しやすいことを知っておく必要がある。さらに周辺全体の最悪のシナリオを描き,安全対策を考えることが必要である。 |
事象 |
袋詰めした落花生の渋皮から発火し火災となった。さらに隣接した石油化学装置が爆発した。 |
プロセス |
貯蔵(固体) |
物質 |
植物油(vegetable oil) |
事故の種類 |
爆発・火災 |
経過 |
1. 袋詰めした落花生の渋皮20kg入、50袋を7段に保管した。 2. 1ヶ月後に自然発火して保管小屋の一部を焼失した。 |
原因 |
1.落花生渋皮は不飽和度が大きく、自然発火しやすい物質であった。 2.保管方法が良くない。 |
対策 |
蓄熱性物質を長期間保管しない。 |
知識化 |
危険設備が近在する場合、ドミノ効果に関する最悪シナリオを描いておく。 |
背景 |
1.不飽和油脂等の化学物質の発火危険性に関する認識の不足があった。 2.落花生の渋皮は薄く表面積が大きい。しかも酸化されやすい不飽和脂肪酸が多い。一部が酸化され、保温蓄熱していくことは予想可能であろう。もし、化学関係者がいるなら注意不足であろう。 |
よもやま話 |
蓄熱火災としては、油分の含浸したウエスや塗装カスと同じであろう。油脂分が繊維状物質や多孔質物質に含浸すると空気との接触面積が増大して酸化されやすく、保温効果で蓄熱しやすくなる。 |
データベース登録の 動機 |
蓄熱発火の典型的事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、思い込み、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、計画・設計、計画不良、無謀な貯蔵計画、使用、輸送・貯蔵、貯蔵、不良現象、化学現象、発熱・発火、二次災害、損壊、火災、二次災害、損壊、隣接装置の爆発
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情報源 |
田村昌三,若倉正英監修、反応危険 -事故事例と解析-、施策研究センター(1995)、p.120
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物的被害 |
工場建屋の一部焼損 |
備考 |
定常作業 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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