事例名称 |
使用残の不純物が混入したメチルエチルケトンペルオキシドの保管中の発火 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1983年06月15日 |
事例発生地 |
大阪府 大阪市 |
事例発生場所 |
電気器具工場 |
事例概要 |
1.電機部品の製造工場で使い残りのMEKPOを保管しているときに発火が起こった。ポリエステル樹脂の硬化作業を終えて、硬化剤として用いているメチルエチルケトンペルオキシド(MEKPO)の残部を回収して危険物貯蔵庫に保管した。その5時間後に危険物貯蔵庫の中で発火が起こり、火災となった。 2.多量のMEKPOを作業所に持ち込み、余ったMEKPOを回収して保管していたが、不純物が混入して、発火したものと推定される。有機過酸化物の危険性に対する認識が欠如していた。 3.隣接住民と公設消防が消防活動を行なった。 |
事象 |
電気部品の製造工場で有機過酸化物の保管中に火災があった。ポリエステル樹脂の硬化作業で、硬化剤として用いているMEKPOの残部を回収して危険物貯蔵庫に収容した。その5時間後に危険物貯蔵庫の中で発火が起こり、火災となった。 |
プロセス |
貯蔵(固体) |
物質 |
メチルエチルケトンペルオキシド(methyl ethyl ketone peroxide)、図2 |
不飽和ポリエステル樹脂(unsaturated polyester resin) |
事故の種類 |
火災 |
経過 |
ポリエステルの硬化作業のためMEKPOを小分けして持ち出した。使用残りのMEKPOを回収した。回収したMEKPOを貯蔵庫に保管した。保管して5時間後に発火が起こった。 |
原因 |
MEKPOが、不純物として混入したポリエステル樹脂と反応し、発火したものと推定される。小分けして使用後に回収したときに混入した。 |
対処 |
1.事業所としての応急措置はなかった。 2.隣接住民がバケツで初期消火のための消防活動を行なったが、最終的には公設消防の放水によって鎮火した。 |
対策 |
1.有機過酸化物は、使用量を適切に管理し、当日使用分だけ作業所に持ち込み、作業終了後の回収量は最小限とする。 2.有機過酸化物の容器に不純物が混入しないような措置をする。 |
知識化 |
有機過酸化物は反応性が高いので、温度管理だけではなく、不純物の混入にも細心の注意が必要である。 |
背景 |
有機過酸化物の危険性に対する認識の欠如により、作業中の薬品の管理の不備があり、異物の混入に対し注意しなかった。 |
データベース登録の 動機 |
不純物が混入した有機過酸化物貯蔵中の発火事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、運営の硬直化、教育不足、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、無知、知識不足、取扱い物質の危険性不勉強、計画・設計、計画不良、数量管理不良、定常動作、不注意動作、無意識での混合、不良現象、化学現象、自然発火、二次災害、損壊、爆発・火災
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情報源 |
消防庁、危険物製造所等の事故事例集‐昭和58年(1984)、p.86-87
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
コンクリートブロック造陸屋根平屋建倉庫(危険物屋内貯蔵所)の一部焼損、塩化ビニール製渡板焼損. |
被害金額 |
10万円(消防庁による) |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小川 輝繁 (横浜国立大学大学院 工学研究院 機能の創生部門)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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