| 事例名称 | 
    ブリーザー弁の固着による製造原料移送中のタンク天板の破損 | 
  
  | 代表図 | 
  
     
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    | 事例発生日付 | 
    1998年01月29日 | 
  
  
    | 事例発生地 | 
    三重県 四日市市 | 
  
  
    | 事例発生場所 | 
    化学工場 | 
  
  
    | 事例概要 | 
    貯蔵タンクに原料を移送中、ブリーザー弁が固着していたため、タンクの気相部が行き場を失い、内圧が上昇してタンクの天板が破損した。定期的な点検と清掃の不備が原因と思われる。内容物による固着の危険性を見落としていた可能性がある。 | 
  
  
    | 事象 | 
    化学繊維の原料であるポリテトラヒドロフランを屋外原料貯蔵タンクに移送中、天板が破損した。 | 
  
  
    | プロセス | 
    貯蔵(液体) | 
  
  
    | 物質 | 
    ポリテトラヒドロフラン(polytetrahydrofuran)、図2 | 
  
  
    | 事故の種類 | 
    破裂(破損) | 
  
  
    | 経過 | 
    ポリテトラヒドロフランを屋外原料貯蔵タンクに移送を開始した。 しばらくしてからポンという音がした。タンクの天板がめくれていた。 | 
  
  
    | 原因 | 
    ブリーザー弁が固着していた。常圧タンクはタンク内圧力の僅かな加圧、減圧で破壊される。そのため、±数十mm水柱の圧力で呼吸をする特殊な弁(ブリーザー弁)が設けられているが、ブリーザー弁の弁座が内容物で固着して作動しなかったため、受入時に気相のガスが抜けずに一番弱い天板と側板のつなぎ目がはがれた。 ブリーザー弁:breather valve 呼吸する弁の意味で、常圧タンクなどに設けられ、タンク内の圧力が僅かに上がり下がりすると排出と吸入を行う。 | 
  
  
    | 対処 | 
    内容物の移送をした。 | 
  
  
    | 対策 | 
    ブリーザー弁の点検清掃の確実な実施をする。 | 
  
  
    | 知識化 | 
    一般の液体貯蔵タンクの耐圧は、ほとんど無いに等しい。内容物の受け入れと払い出し時だけでなく、温度変化による破損もあり得る。ブリーザー弁はタンクの呼吸に不可欠であり、常に間違いなく作動するような管理運営が必要である。内容液が弁を固着させる可能性が高い場合は、多重化が必要であろう。 場合によっては、タンク内の圧力センサーや安全弁、破裂板を備えることが望ましいであろう。 | 
  
  
    | 背景 | 
    ブリーザー弁の点検と清掃指示と確認のミスと思われる。言い換えれば、タンク管理が不十分であったと推定する。タンク気相部には貯蔵している液の蒸気が、その温度での蒸気圧分は含まれている。窒素シールをしていても、同じである。その分圧、濃度でも重合する、あるいは液化したものが粘調ならブリーザー弁が固着するのは当然である。 | 
  
  
    | よもやま話 | 
    ☆ コーンルーフタンクに設けられているブリーザー弁は、+25mm水柱で開き始め、+38mm水柱で設計量の排出能力を持つのが通常である。減圧側も同じである。排出または吸引の設計風量はタンクの大きさ、液の出入りの流量、物性から求められる。当然、温度急変に対しても考慮されている。 | 
  
  
    データベース登録の 動機 | 
    常圧タンクのブリーザー弁固着の事故例 | 
  
  
    | シナリオ | 
    
      
        
          |  主シナリオ
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      価値観不良、安全意識不良、安全対策不良、不注意、注意・用心不足、取扱い不適、組織運営不良、管理不良、組織の緩み、使用、保守・修理、定期点検せず、機能不全、ハード不良、固着、破損、大規模破損、タンク破壊、組織の損失、経済的損失、タンク1基破損
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    | 情報源 | 
    
      高圧ガス保安協会、高圧ガス保安総覧‐平成11年版‐(2000)、p.146 
      産業安全研究所資料(非公開) 
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    | 死者数 | 
    0 | 
  
  
    | 負傷者数 | 
    0 | 
  
  
    | 物的被害 | 
    屋根天板めくり上がる. | 
  
  
    | マルチメディアファイル | 
    
      図2.化学式
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    | 分野 | 
    
      化学物質・プラント
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    | データ作成者 | 
    
  板垣 晴彦 (独立行政法人産業安全研究所 化学安全研究グループ) 
  田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻) 
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