失敗事例

事例名称 公共下水道事業の実施に当たり、管布設工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているもの
代表図
事例発生日付 1993年
事例発生地 埼玉県狭山市
事例発生場所 市役所
事例概要  下水道の枝線を築造する際、管布設工費の積算に当たり土工費を重複して計上したため、工事費が割高となった。したがって、これに係る国庫補助金相当額2,827,000円が不当と認められた。
事象  下水道管の布設工は、市道を掘削して内径250ミリの遠心力鉄筋コンクリート管を埋設するもので、この管布設工費については、埼玉県制定の積算基準等に基づき、管の材料費、道路の掘削・埋戻し及び残土処分に係る土工費、掘削面の土留工費等の別に算出し、これらを合計して25,844,915円と積算していた。
 しかし、管布設工費の積算が次のとおり適切でなかった。
 管布設工費のうち土工費を当初計6,821,682円と算出していたが、積算内容を見直す過程でその中の残土処分費等に誤りがあることを発見し、7,112,733円に訂正していた。しかし、管布設工費を集計する際に、誤って、訂正後の土工費だけでなく、当初の土工費の額も重複して計上してしまった。その結果、管布設工費は当初の土工費の額6,821,682円だけ割高であり、正しくは19,023,233円となる。
経過 ・下水道の枝線を築造するため、下水道管延長346mの布設、マンホール14箇所の設置等を実施する補助事業を工事費59,740,000円(国庫補助金29,870,000円)で行った。
・管布設工費のうち土工費を当初計6,821,682円と算出していた。
・積算内容を見直す過程でその中の残土処分費等に誤りがあることを発見し、7,112,733円に訂正した。
・管布設工費を集計する際に、誤って、訂正後の土工費だけでなく、当初の土工費の額も重複して計上してしまった。
・その結果、管布設工費は当初の土工費の額6,821,682円だけ割高となった。
・これに係る国庫補助金相当額2,827,000円が不当と認められた。
原因  この失敗は積算した者の不注意により引き起こされたということが考えられる。さらに、積算書の見直しが徹底されておらず、組織的にも失敗に気がつかなかったことも原因のひとつと考えられる。
対策  積算書を作成する際は、何度も見直すと同時に、それを多くの人の目を通して行うことが必要である。同時に組織的には、見直しの係りに積算した者とは異なる担当者を設けることが必要だと考える。
シナリオ
主シナリオ 誤判断、誤認知、勘違い、定常動作、誤動作、計算ミス、起こり得る被害、潜在危険、税金無駄遣い
情報源 平成5年度決算検査報告(会計検査院)
被害金額 不当と認められる国庫補助金交付額 2,827,000円
分野 建設
データ作成者 宮木 裕也 (東京大学)
國島 正彦 (東京大学)