失敗事例

事例名称 こんにゃくゼリー事故
代表図
事例発生日付 2008年07月29日
事例発生地 兵庫県
事例概要 2008年7月29日、凍らせたこんにゃく入りゼリーを、祖母が1歳9ヶ月の男児に与えたところ、喉に詰まらせた。 病院に救急搬送されたが、9月20日に亡くなった。
事象 ・2008年7月29日、祖母がおやつに凍らせたこんにゃく入りゼリーを1歳9ヶ月の男児に与えたところ、喉に詰まらせ、 病院に救急搬送されたが、2008年9月20日多臓器不全で亡くなった。
経過 国民生活センターの発表によると、この事故以前にも1995年1月以降、15例の死亡事故があり、危険性に関する公表、認識が不足していたと考えられる。
また、この事故に関しては、事故報告を男児の父親からメーカーが受けていながら、具体的な対応をとっていなかったことも公表されている。
・10月8日出荷までで、その後は、こんにゃくゼリーの製造を一時中止する。ただし、既に流通しているものは回収しないことを決めた。その後は、TVのコマーシャルで、子供とお年寄りには食べないように呼びかけるとした。
原因 ・凍らせたこんにゃくゼリーを幼児にあたえたこと。
・子供と高齢者が食べないようにとのマーク表示があったが、徹底できなかった。マークを見ただけで、これを食べたら喉に詰まり窒息する可能性があるとは到底思えない。
対処 ・子供と高齢者が食べないように、マークを大きくわかりやすくした。また、個別の包装にも警告マークを記載した(図2、図3参照)。
・国民生活センターでは、より分かりやすい表示としたいと言う。
・全国菓子協会などでは、子供と高齢者が食べないように警告するマークを表示することを決めた。
対策 ・消費者行政をはじめとする情報の一元化、事故情報の迅速な公開と事故防止への徹底が望まれる。
・米国で2001年10月1.75インチ以下の製品を輸入禁止、豪州でも2001年11月に回収命令、EUでは、2006年7月、韓国では2007年にミニカップゼリーへのこんにゃくの使用を禁止している。
知識化 最初の事故発生時点での迅速な公表、警告の即時伝達があれば、このような事態にはならなかった。
また、こんにゃくゼリーの事故のことばかり報道されるが、実はもちや米飯、パン、魚介類、肉類などで喉を詰まらせる事故の方がはるかに多い。伝統食品での事故の場合は消費者の方に責任があるとされるのに対し、食品メーカが新たにつくりだした開発食品による事故に関しては、食べたときの危険性やリスクについての知識が十分でない場合が多く、食品メーカの責任が問われやすい。
背景 警告マークの意味が幼児やお年寄りには分かりにくかったことも一因と考えられる。
後日談 ・国民生活センターの指導により、外袋のみならずカップのシールにも警告マークをつけた。
・原料のこんにゃく粉を減らして軟らかくした。
よもやま話 ・消防本部及び救命救急センターにおける窒息事故の調査結果によると、一概にこんにゃくゼリーのみが、きわだった窒息原因とは言えないことがわかった。窒息事故の原因が分類ができた事例は432例、うち、「穀類」が最も多く211例で、そのうち「もち」が77例、いわゆる「米飯(おにぎりを含む)」61例、「パン」47例、「おかゆ」11例、次いで「菓子類」62例、魚介類」37例、「果実類」33例、「肉類」32例、「いも及びでん粉類」16例(内しらたき4例、こんにゃく2例)あった。「菓子類」のうち「あめ」22例、「団子」8例で「ゼリー」4 例、「カップ入りゼリー」は8例であった。また「その他」として「すし」が22例、「流動食」8 例などがあった。このことにより、世の中に食品による窒息事故が多くあるということが明らかになった。
シナリオ
主シナリオ 不注意、理解不足、誤判断、誤った理解、定常動作、不注意動作、身体的被害、死亡
情報源 毎日新聞、夕刊 2008-9-30
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20080930_1.html
http://www.consumer.go.jp/seisaku/kaigi/tantoukaigi/070730kaigi/
file/shiryo1-2.pdf
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/
chissoku/index.html
死者数 1
負傷者数 0
マルチメディアファイル 図2.対策済こんにゃく入りゼリー
図3.警告マーク
備考 事例ID:CZ0200906
分野 その他
データ作成者 濱田 裕 (リバーベル株式会社)
畑村 洋太郎 (工学院大学)