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第1回失敗学懇話会 in 本郷 and その後の考察


 去る3月21日に、失敗学会員数名が集まり、「日本の感染症対策と危機意識を考える」というテーマで、意見を交換しました。その時の報告と、その後の飯野副会長考察です。

2020年3月21日(土)、16:00 - 18:00
東京大学本郷キャンパス工学部2号館、31-B室
参加者: 飯野謙次, 木次谷光晴, 宇於崎裕美, 浅井香葉, 山本直弘, 滝沢真一,
            能田哲治, 鈴木由美, 中尾政之, 畑村洋太郎(10名、会場参加)
            佐伯徹, 中村芳生, 本村和也, 佐々正光, 吉岡律夫, 原口文徳,
            中尾英和, 石井健児, 滝島大介, 鎌田寛人, 平澤朗, 森田研,
            松尾俊文(13名、ネット参加、計23名)

日本の感染症対策と危機意識を考える

 冒頭、PDFを用意された吉岡さんから短いプレゼンがありました。その当時、日本の感染者の伸び方が他国に比べて非常に緩やかであること、それがどうやら検査数が非常に少ないためと思われること。死亡者に至っては、年間約10万人が肺炎で死亡する中、肺炎で亡くなっても、コロナであったかどうかを検査しないからだろうとのご意見を聴きました。
 確かに報道を視聴していると、感染事例で、検査を希望してもなかなか受けさせてもらえなかったことが頻繁にあったことがわかります。
 次に、WHO日ごと発表の、国別感染者数の経緯を占めるグラフを数点、毎日の陽性発見数とその累積を私、飯野が示しました。以下は、その時の累積感染者数の経緯です。その時は、中国の累積感染者数が、飛びぬけて多いこと、欧米の累積感染者数が指数関数的に増えていること、日本、シンガポールの累積感染者数の増加が非常に緩やかであることがわかります。

 この懇話会から、本日で3週間がたちました。上図と同じグラフを、今見ると、以下のようになります。

 一時話題になった、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、イラク、をあっという間に抜き去ったアメリカの感染拡大が大きく目立ちます。このグラフを見て、日本はまだまだと、安心してはいけません。次の図は、縦軸を大きく伸ばしたものです。日本での感染者の指数関数的伸び方が、3月前半の欧米と非常に似ていることがわかります。シンガポールもここにきて、少し油断したようです。

 それでも日本人が、未だに悠長に構えているのには驚きます。緊急事態宣言が発令されている中、神奈川の観光地に人出があって自動車が渋滞し、駐車場が一時閉鎖されたという報道を聴いて愕然としました。
 今、世界が大変な苦境にあえいでいます。武漢から始まったということもありますが、中国人だけでなく、アジア人が目の敵にされて問題になっています。苦しみの中で、他所でのんびり構えている人の報道を見ると、腹が立つのは当然でしょう。こんなことをしていたら、ひと段落した時に、日本はますます国際社会から孤立してしまい、何かあったときに助けてもらえません。隣人のため、そして何よりも自分たちのために、今はじっと我慢の時です。
 最後に希望的なグラフをお見せします。人口100万人当たりの感染者数です。しかしこれを見て、安心しないでください。このグラフでさえ、右側が急に指数的な伸びを示しています。そして、人口当たりの感染者数は、中国に近づきつつあります。行動様式の変化が、結果として現れるのは、10日後くらいです。4月終わりまでには、下に凸のカーブが、上に凸に変わるよう願うばかりです。

グラフは、WHO 発表の日ごとの Situation Report 中、国別新規感染者数を単純に手打ちで足したもので、打ち間違いや総計とずれがあるかもしれません。

【飯野謙次】

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