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サントリー天然水のビール工場見学会に参加して

 失敗学会のビール工場見学は、これで4回目である。
  • 2009年 5月16日、春合宿2日目、アサヒビール名古屋工場
        (公開バージョン会員バージョン)
  • 2015年 5月23日、春合宿2日目、オリオンビール名護工場
        (アナウンス記事)
  • 2017年 7月 9日、Forum 145、サッポロビール千葉工場
        (公開記事)
  • 2026年 3月14日、Forum 218、京都のサントリー天然水のビール工場
        (公開記事)

     アサヒビール工場では、缶ビールからグラスに注ぐのに丁寧に教えていただいた写真があった。サッポロビールでも缶ビールからの注ぎ方を教わったものの、まず缶をグラスから高めに上げて泡を最初に作るのだと聴いて少し疑問に思った。じゃんけんに負けたから、そうやって注がれたビールを飲むことはできないところだったが、勝った人にお願いして一口飲ませていただいた。多少フラット、気が抜けていたように感じたのは、私の先入観だったろうか。
     今回のサントリーでは、案内の方々がビールサーバーから注いでくださった。3種類の生ビールを味わえるようになっていたが、最後の1種類は自分でディスペンスを体験できた。思った通り、盛大にこぼしてしまった。やはりプロに注いでいただいたのをおいしくいただくのが正解だ。

     見学では、現代のビール醸造の複雑な工程に改めて驚いた。自然に沸き上がった疑問を案内嬢にぶつけてみた。
     「最初に麦芽とホップ煮詰めて熟成させるとビールができると発明したのは誰ですか」
     こんな不躾な質問に答えてくれたのは、私たちのグループ参加者だった。
     「メソポタミアらしいですよ」との答えには「へええ、」と返すしかなかった。
     改めて、今グーグル先生に尋ねてみると、そのようである。chatGPTも同じような回答だ。

     人間が酒を飲み始めたのはいつからだろうか。そんな疑問に答えるテレビ番組を覚えている。「野生の王国」だったと思うが、完熟して地面に落ちた果物の実が発酵してアルコールを含んでいる。 それを知っている猿が、注意深く周りに敵がいないことを確認した後、それを口にした。しばらくそれを楽しんだ後、歩いていく姿はふらふらと千鳥足だった。
     この話しを書いて思い出すのはテレビ放映されていた「はじめ人間ゴン(ザ・ギャートルズ)」のバーのシーンである。カウンターに座った客たちが、 バーテンの後ろで木につかっまった猿たちからお気に入りを指名し、それが果実か何かを嚙み砕くと酒になるという設定だったと思う。そして口移しでそれを飲んで酔う。昭和のいろんな番組がそうであるように、 今では放映がためらわれるような内容だ。

     私がビールを飲み始めたころは、圧倒的にキリンが強かった。その理由として、競争の時代に座敷でビールをこぼして接待者の着物が汚れた場合、 キリンが着物の洗張り代を出した、とどこかで聞いたか読んだかしたと思っていたが、今、裏を取ろうと頑張って探したがそんなことはどこにも書かれていなかった。
     そこで chatGPT に聞いてみると「あり得る話だが、今では確認困難」との回答だった。その後、1987年にアサヒスーパードライが発売されると、それまでの日本のビールと違って、 あっさりした飲み口でたちまち人気になったことを覚えている。
     最近のビールのヒット商品というと、サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」だろう。モンドセレクションのビール部門で最高金賞を勝ち取った強者である。

     私は若いころは、とにかくビールを飲んだ。パブのようなところで5分おきぐらいにトイレに通うくらいガブガブ飲んでいた。それがたたって通風を発症し、 今では最初のグラスだけビール、という悲しい飲み方になってしまった。
     始めて痛風の発作を経験したのは、アメリカである。朝、気が付くと左の膝がソフトボール位に腫れあがって歩けない。どうやってたどり着いたか記憶にないが、 行った先では "You have gout" と言われ、お医者様が腫れた膝に注射針を突き立てて中の液体を吸いだすのであった。完全に吸い出そうとあちこち針で探るもんだから、 その痛さと言ったら尋常ではない。看護師さんたちは "We call it chicken soup" と涙目になっていた私に笑い話を提供してくれた。
     次に発作に襲われたのは、しばしの日本帰国でタイミングが合って、三重県津市の高校同窓会に参加した翌朝だった。ホテルで横になったら何やら膝に違和感があり、 一睡もせずに夜を明かして、カウンターに人が出てくるタイミングでタクシーを呼んでもらい、近くのクリニックに行った。タクシーを降りるときに、看護師さんが「私の肩につかまってください」 と助けてくださったのをいまだに覚えている。チキンスープの吸い出しでは、私の手を握ってくださったように思っているのは、記憶を美化しようとする勘違いかも知れない。

     今やビールはクラフトビールや地ビールなど、小規模醸造所でも醸造、販売できるようになり、醸造設備を置いたレストランまで出現している。味も様々な香りを足したものまであり、 選択肢は数えきれないほどになっている。旅行などに行って、珍しいご当地ビールを味わえないのはすこぶる残念である。
     それでもビール工場訪問は、失敗学会イベントの中でも人気がある。全国にまだ訪ねていない、見学ツアーのあるビール工場はいくつもある。 これからもそれらを尋ねるイベントが楽しみだ。
    【飯野謙次】
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