2005年8月26日, Tokyo Japan -- 四谷三丁目の消防博物館を訪問したのに続き、
失敗学会員有志が本所防災館を訪れた。
10:30開始の基本コースに申し込んだのだが、我々を含めて100名ほどの聴衆が、
まず3Dシアターに集められた。1日に4セッションもあるのだから、かなりの人がこの防災館の体験コースを
訪れていると考えられる。家族連れや女性グループの姿が目立った。
聴衆は、3Dシアターで地震の怖さを迫力ある映像で体験した後、小グループに分かれて4つの体験コースを順に回った。
私たちは、10名あまりのグループに入って、まず煙体験をすることになった。心の準備が十分にできていることと、
館員による事前の十分な説明、それにグループで煙体験室に入ることもあって怖いとは感じなかった。
とにかく姿勢を低く、壁を伝いながら非常口に向かうという教訓を頭に入れて次の体験エリアに向かった。
この部屋では、加振機によって記録された過去の大地震と同じ地面の揺れを再現する。
最後にお立ち台に登った我々男組は阪神淡路大震災を体験することになった(もちろんこれは後で聞かされたのだが)。
体験者が怪我をしてはならないよう、ガスコンロの代わりに電球コンロ、箪笥はスポンジ製、
ガラスや瀬戸物はないという地震体験用準備万端室で、静に地震を待っていた。館員が「では、行きますよ」と声をかけ、
数秒後に揺れが始まった。電球式安全コンロのそばにいた僕は、コンロを消すべきか迷っていた。最初に館員が、
「激しい揺れの中で、ガスを消そうと思っても無理ですからね。まずは揺れが収まるのを待ってから消してください。」
と言っていたのが頭に引っかかっていたのだ。2,3秒迷った後、
『まあ、手が届くのだから消しておこう』と思って2つあるコンロの1つを消し、2つめに手を伸ばしかけたときにそいつはやってきた。
その驚きはキーボードでは表現しにくい。迫力満点のイラストをつけても同じだろう。伸ばしかけた手を引っ込めたのも何も全く
覚えていない。倒れるように床に這いつくばって食卓の脚を両手でつかんでいた。外から見ていたときは、どうやってあんな
小さなテーブルの下に男4人入るんだろうなんて考えていたが、まあ、なんと4人ともしっかり縮こまって仲良く身を寄せ合っていた。
揺れが収まってテーブルの下から這い出し、コンロの方に目を移すと、右のコンロはまだしっかりと
電球がついており、その横でやかんがごろんと転がっていた。本当に怖い体験だった。
ビッグサンダーマウンテンから降りてきたかのような顔をして次のアトラクションに私たちは向かった。
ここでも、貴重な体験をすることになった。消火器というもの、目にすることは多いし、デモンストレータが
勢い良く白い消化剤を飛ばしている姿も見たことはあった。しかし、自分で安全ピンを外し、
消化剤(但し今回は水)を飛ばしたのは初めてだった。ゲームのやり方は、火事の映像に向かって3人で消火器を使って水をかけ、
鎮火させるもの。水が火元から外れていたり、消火活動が遅れるとうまく消せずに火はどんどん燃え広がる。もちろん、
火事の映像が出た途端、プレーヤーは大声で『火事だあ!』と叫ぶことが要求される。こういう体験をするときは、
役者になりきることが大事だ。
とにかく有意義な訪問だった。防災に少しでも感心があれば、是非親族友人に声をかけてグループで訪問するのが良いだろう。