失敗学会春合宿2012
北陸体感ツアー ダイジェスト報告
日時:2012年 5月18日(金) 10:15~5月20日(日)
参加者:岡田敏明,岩崎雅昭,黒澤愼輔,佐々正光,佐々木英三,佐藤公一,三田 薫
斉藤貞幸,石井健児,川村 亮,中筋善淳,飯野 謙次,平 和昭,北村 兼一
北野寿之,木田一郎,福本喜枝
[19日から参加] 浅井香葉
スケジュール
5月18日(金)
10:15 芦原温泉駅集合(しらさぎ1号)
10:20 チャーターバス出発
10:30
高嶋技研訪問(あわら市伊井15-1-1)
12:30 終了、昼食
「もりしげ」(あわら市横垣20-15-9)海鮮ちらしランチ1,000円
13:10 バス乗車、出発
14:00
東尋坊
15:00 バス乗車、出発
16:30 金沢着
兼六園、金沢城公園(いずれも入場料300円)など見学
18:30 石川県文京会館405会議室(金沢市尾山町10-5)
講演: 失敗年鑑より、原子力発電所に関する二事例
19:20 バス出発
19:30 ホテルルートイン金沢駅前着
19:45 夕食、反省・懇談会
「醍庵」(金沢市堀川町4-1セントラルビル)4,000円
21:45 終了
5月19日(土)
09:00 チャーターバス出発
11:00
コモアイル羽咋(羽咋市鶴多町免田25)入館料350円
12:15 千里浜レストハウスで昼食
13:00
北陸電力志賀(しか)原発訪問
15:45 バス乗車、出発
17:45 ホテルルートイン輪島着
18:00
松本石太郎漆工房/蔵ギャラリー「遊庵」(輪島市河井町2-128)
工房見学と講演:松本昌夫さん
19:00 夕食、反省・懇談会
「まだら館」(輪島市河井町4-103 )4,000円
21:00 終了
5月20日(日)
自由行動:
輪島朝市、
キリコ会館、
輪島漆器資料館、
輪島塗(
輪島工房長屋、
体験工房塗太郎※予約をおすすめ)など。
今年の春合宿は北陸を訪問しました。当初予定した視察地の抽選にはずれたり、あいにく先方の都合が悪かったりなどしましたが、無事開催の運びとなり、
ほっと一息です。
芦原温泉駅に降り立つと、「お荷物お持ちしましょうか?」と半纏を着た、私よりご年配の女性が笑顔で声をかけてくださいました。どなたかと間違えておられるのかしらと戸惑っていたら、実はこれ、あわら市の公共事業のひとつなのだそうです。
【高嶋技研株式会社】
さて最初は、会員の佐々木さんから紹介いただいた高嶋技研株式会社を訪問しました。
高嶋技研はセンサー技術と高速画像処理技術を駆使し、顧客の要望にマッチした製品を開発しつづけています。
例えば、X線を利用しキャップとボトルの隙間計測装置の開発や、近年ではペットボトルの飲料異物混入を超音波によって検査する装置などがあります。
この日は特別に、高嶋技研創業者の高嶋善彦さんにお話を伺うことができました。
高嶋善彦さんは1954年に福井放送の技術課へ入社し、ラジオ送信機に関する仕事をされていました。
その数年後、世の中はテレビ放送に移行していくことになりますが、高嶋さんは残念ながらラジオチームに配属され、
花形のテレビチームが忙しくしているのを横目で見ているしかなくなります。
普通はここでしょんぼり腐るものですが、高嶋さんは「僕たちはテレビのことを知らない。いつか役に立つから今のうちにテレビの勉強をしよう」と言って、
当時意気消沈していた仲間と、金沢北陸放送まで時間をやりくりして往復し、勉強したのです。
「いつか役にたつから」と言って学んだことが、今の高嶋技研の土台となった訳です、と書くとわずか一行で終わってしまうのですが、
そこに至るまでのお話は大変面白いものでした。数年ごとにいろいろな問題が立ちはだかり、それを乗り越え、乗り越えしていく話は、
なかなか聞けるものではないし、このような努力ができる人も少ないと思います。
私は高嶋さんの話を聞いて、とても元気がでました。もっとゆっくり話を伺いたいと思いましたが、次の場所へ移動です。
【東尋坊】
奇勝「東尋坊」に到着しました。「そうよ!全て私がやったのよ!」火曜サスペンス劇場最後の自白シーンを心の中で演じてニヤニヤしてたら、気づけば皆さん、あっという間に下まで降りて行ってしまいました。
それぞれ赴くままに小一時間ほど散策し、金沢へ移動しました。
【金沢自由行動】
18:30に石川県文京会館405会議室集合とし、それまで自由行動です。
兼六園下交差点を広阪北方面にぞろぞろと歩いていたところ、前田利家の銅像があり、
それに吸い寄せられるようにして半分以上の方が金沢城内に向かいました。後で聞くと、河北門や新しく復元された五十間長屋などを見てまわったとのことでした。
私は金沢21世紀美術館へ現代美術を観に行きました。 レアンドロ・エルリッヒのスイミング・プールやドット反復ドローイングでお馴染みの草間彌生や他の現代美術作品を鑑賞しました。
展示方法が少し複雑で、ストレスなく見て回ることができなかったため、わざとそのような配置にしているのかと案内係に尋ねたところ、
「会場地図はこちらです」と的外れな答えが返ってきました。鑑賞者は圧倒的に若い人が多かったです。
【石川県文京会館 飯野事務局長講演】
ここに到着する前、私は尾山神社の裏口から入口に向かって通り抜けてきたのですが、庭の感じがとても素敵で、神社の入口門にはステンドグラスらしき装飾が施されていました。もう少しここでゆっくりしたかったのですが、時間です。
失敗年鑑2006より「志賀原発2号機運転差止判決」と「後出し、日本初の臨界事故」について飯野事務局長から講演をいただきました。
【コスモアイル羽咋(はくい)】
春合宿二日目、私は早朝の兼六園で静かな時を過ごしました。のんびりしすぎてバスを一本乗り遅れ、
ホテル出発時間ぎりぎりの到着となり失礼をいたしました。
さて、コスモアイル羽咋。羽咋はUFOの町なんだそうです!と書くと、色ものの匂いがしますが、ヴォストーク帰還用宇宙カプセルなど、
本当に宇宙から帰ってきた実物が展示されていたりと、あなどれない内容でした。
館のお兄さんがいろいろ丁寧に面白く展示説明をしてくれたので、楽しく見て回ることができました。
【松本石太郎漆工房】
日本の伝統工芸も見ておかねばということで、会員の浅井さん情報があり、輪島塗の松本石太郎漆工房を訪ねることになりました。
漆器は縄文時代から出土されていて、長い歴史があります。その土地ごとに独自の発達を遂げているわけですが、
数多い工程を専門の職人が分業で作るということはいずれも同じと言えます。
店主の松本さんは、輪島塗の工程、道具、漆についてわかりやすくかつ詳細にお話くださいました。お椀の生地を手に取るとその軽さに驚くのはもちろんですが、向こうが透けてみえたのには二度ビックリ!でした。
「本物の輪島塗とそうでないものを見分ける方法はありますか?」との質問に、輪島塗は重要無形文化財に指定されているので、
定められた工程を経て作られたものでなければ「輪島塗」の表記をしてはいけないとのお話でした。
漆器は思うより手入れに手間がかからず(やらわかいスポンジに洗剤をつけて洗ってよく、ただし、
保管場所は湿気のない風通しのよい場所にする)、修理もしてもらえるし、普段使いでどんどん使ってよいものなのだとわかりました。
話の続きは一杯飲みながら、ということで近くの「まだら館」に移動し、輪島の夜は更けていきました。
【輪島自由散策】
合宿最終日は輪島自由散策です。私は飛行機の時間まで輪島朝市をぶらぶらしました。
垣内さんというおじさんに呼びとめられ、いしるで漬け込んだ塩辛を試食したら、まあ美味しい。この塩辛と別のおばちゃんのところでハタハタを買い、
輪島駅までとことこ歩くと、道で出会ったおばあちゃんが、皆やさしい笑顔を向けてくださったのが嬉しいことでした。
他の皆さんはどのような輪島を過ごされたのでしょうか?お会いした時にお話を伺いたいと思います。
以上、春合宿2012年ダイジェストでした。また来年!
【福本喜枝】