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フォーラム102 in 本郷

「医療版失敗学」のすすめ

---インシデントから学び,真の医療安全にチャレンジする---

日 時:2012年10月13日(土)
場 所:東京大学工学部2号館 31A室
参加者:会員21名綾部豊樹,石黒晴久,井上善雄,小田明,角口開道,佐々正光,
          重松康彦,鈴木宏子,中嶋明宏,中根和誠,中村弘,久野裕介,
          廣田純子,福本喜枝,三谷洋,宮崎敬,本村和也,八木義雄,安田直人,
          由利康裕,高尾真記,一般10名八木元子,石松範章,岡本真人,
          篠原浩一,橋本隆,下公賢治,江川純平,萩原健一,大門真人,川島勇人

【会次第】
10:00 開場
10:30 濱口哲也(はまぐち・てつや)
          「医療版失敗学」のすすめ
          ---インシデントから学び,
          真の医療安全にチャレンジする---
12:00 質疑応答
12:30 終了
12:45 昼食会(31A・菱膳弁当1,000円)
 失敗から学び、知識として蓄積し、活用してきた産業界の手法を医療界でも導入しようというのが「医療版失敗学」です、と濱口先生。伝えるべきことは山ほどあるのに、90分という短い時間でまとめるのは難儀だったと思うが、笑いを誘う場面満載のフルスロットルでお話くださった。

 医療の専門家ではない濱口先生は、まずは医療現場に直接出向き、看護師さんの後にくっついて「誰がそう言ったの?なぜそうしたの?」としつこくリサーチしたそうだ。このリサーチの方法に、ちょっとしたコツがある。このコツがあるからこそ、失敗は価値ある貴重な情報となるのだ。

 では、このコツさえ知っていればOKかと言えば、もちろんそんなことはない。一般看護師がこのコツを知ったとしても、 実際ミスをすれば怒られるし査定にひびくかもしれないと考えるだろう。仮に勇気を持って「こうしたらよい」と上司に申し立てても一笑されて終わるかもしれない。

 濱口先生は「病院という組織はセクショナリズムの壁があり、失敗の知識化が難しい。だからこそ、失敗をマイナス評価とせずに情報として吸い上げる組織風土を病院トップにつくってもらいたい」とおっしゃる。そして、トップの意識が変わったことを信じてもらうために、目に見えることをするのが有効だともおっしゃり、実際に、ある現場で「有意義なヒヤリハットを一番多く報告したチームに温泉旅行をプレゼント」とやってみたら、それまでの倍以上の報告があったそうだ。

 「医療版失敗学」に取り組まれてからまだ2年あまりとのことだが、確実に成果を上げていることが伺えた。そして現場で働く皆が自ら考え行動のできる自律型現場力を向上させていきたいという意気込みがひしひしと伝わってきた講演であった。
(福本喜枝)
【参加者の感想】
  • 今日のセミナーをDVD化してほしい。
  • 後日でよいので資料を配布すべきだ。
  • 非常に面白かった。
  • 大変興味引かれる話をありがとうございました。
  • 失敗があった時に結果にとらわれてしまいがちだが、原因を考え、具体的な解決策を決めていくことが大切だと思った。
  • ヒヤリハットの報告の重要さを改めて感じた。
  • 非常に参考になった。現在やっている業務が問題解決できる人材育成することで、その考え方・やりかたが間違っていないことを確認できた。
  • もう少し長めで企画して欲しい。
  • 「つまり→たとえば」等、応用できる手法が参考になった。
  • 事故防止のために大変参考になりました。
  • ヒヤリハット収集と具体的な利用方法がイメージできました。
  • 大変参考になりました。
  • 話し方が新鮮でした。



【濱口哲也 略歴】
1986年に東京大学大学院工学系研究科産業機械工学専攻、修士課程を修了。
日立製作所勤務を経て、2007年、東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻、特任教授に就任。現在に至る。
著書:「失敗学と創造学―守りから攻めの品質保証へ」2009年日科技連出版社



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