(会員用フルバージョンはこちら ) 失敗学フォーラム 103 in 大阪
ごみ焼却技術の変遷
-最適ごみ処理に向けて-
日 時:2012年12月1日土曜日
場 所:NPO WIT 新事務所(大阪市中央区内本町1-4-12 3階会議室)
参加費:大阪分科会員無料、失敗学会員 500円、一般 1,000円
参加者:本多 茂,中尾英和,小川 正,小田烈弘,飯野謙次,岩崎雅昭,大澤 勲,
平松雅伸, 佐々木 英三,薄 知香志, 福井則夫, 岡田敏明, 北村兼一
忘年会:浜焼き わい家
2005年頃から、アラブ首長国連邦のドバイが観光地として脚光を浴び、
ネットで写真や完成予想動画などを見て度肝を抜かれていた。
ところが、世界の経済状況の悪化とともにドバイも深刻な経済問題を抱えることになった。
しかし、人気の海外スポットとして聞かれなくなったのには、さらにもう一つ問題があった。
急激な発展を遂げたドバイには、世界で最も高いビル、世界第2の大型水槽を擁するショッピングセンター、
水族館と一体となって寝室の窓が水槽となっているホテル、各階が独立に回転するホテル(予定)などがある。
ところが、最近 Youtube などでも暴露されているのが、下水処理施設が1つだけであり、
なおかつそこにいたる下水道のインフラがないため、10,000ガロン(37,800L)積みの下水タンクローリーが、
列をなしているということだ。未確認情報によると、何千台ものトラックが並び、
処理施設にたどり着くまで24時間かかるらしい。当然ながら、
暗くなったら処理施設に運ぶ予定だった汚泥をそこいらのマンホールに直接廃棄する輩が出てくる。
そして、この汚泥はそのまま海へと流れ込む。それでも24時間待ちなのだから、
皆がきちんとやったら、待ち時間は2日、3日となるのだろう。
古来、天下を治めるには、水と食料の確保は欠かせない。それに現代は電気とガソリンの供給が加わった。
これら入り側のインフラ整備に加えて忘れてはいけないのが下水にごみ処理の出側インフラである。
特に、これでもかと幾重にも包装を行う日本の社会では、
一人当りのごみ排出量は高いのかとも思うが、
なんでもかんでも大型のごみを気軽に捨てるアメリカの半分くらいである。
さらに、バブル辺りから急激に増加したごみ排出量も、
最近は国民一人一人の意識が変わったせいか、80年代中ごろのレベルに戻っている。
さらに努力を続けていきたいものだ。
さて、小田さんの講演は、随所に懐かしい感じの写真がちりばめられていた。
われら世代は、“三丁目の夕日”を見るとなんともいえない懐かしい思いに胸を締められる。
映画は巧妙にできた作り物だが、こちらは本物だ。
最近は悪ガキも減ったし、それを怒鳴るおっちゃんもトンと見なくなった。
そして見知らぬ他人にはあまり話しかけなくなった。
子供はいたずらをしなくなった代わりに、仲間を傷つけあうようになった。以前にも書いたかもしれないが、
最近の若い世代に道で話しかけると、えらく驚かれてしまう。
こちらも“脅かすつもりじゃなかったんだけど”と恐れ入ってしまう。
しかし、みんながみんなそうとも限らず、先日8歳くらいの男の子に道で話しかけられた。
「ねえ、○○って知ってる?」といきなり来たもんだから、こちらも
「ううむ、○○かあ、知らんなあ」
「あのね、・・」
ひとしきり会話が続いた後、
「じゃあ、ぼくはここだから」
と、近所の児童館に駆け込んでいった。
「じゃあね、」って、まるで友達がいきなりできたのにもう別れが来て少しさびしい気がした。
小田さんの講演に話を戻して、日本は国土が狭いので、ごみ処理はもっぱら焼却である。
焼いてしまうので、無害化、無臭化しやすく、焼却熱の利用もできる。
短所はそれに費用がかかることと、公害対策が必要なこと。
スライドで、焼却炉方式の変遷を観て説明を聴き、
その技術の発展があったからこそ私たちは今、快適な生活を送っていることを知った。
いまや、異臭を放つごみ運搬船も見なくなったし、
2つ目の白黒写真のようにポリバケツを運ぶこともなくなった。
そういえば私のおばあちゃんは、年に2回ほどごみ回収業者に飲み物だったり、
お菓子だったりを渡すのを得意としていた。
そうしないと、ごみを全部持っていってくれないのだとか言っていた。
今では事の真偽を確かめることさえできないが、そんなことは決してないと思う。
むしろ、ルール違反のごみを出して貼り紙をされて放って置かれるものはあるが、
それは住民の道徳意識の欠如か、うっかりか。
「だめもとで置いてみよう」という人がいるのかも知れない。
こんなところにも“人任せ”の現代人気質が表われている。
自分で判断できないか、それが面倒だから人に判断してもらう。
いずれしっぺ返しが来ると思う。
飯野謙次