失敗事例

事例名称 リンク機構のガイドレールが早期に摩耗した
代表図
事例概要 旋回アームがカムフォロアを介してガードレールを押し、並進スライダを往復動させるリンク機構を設計した。使用した市販のカムフォロアは焼きが入って硬いが、接触面のガイドレールはやわらかく早期に摩耗した。そこでガイドレールの接触面に硬さHRC65の入れ子を挿入した。
事象 旋回アームが、カムフォロア(ベアリングと同じ構造、カムを押すために用いるのでこのように呼ばれる)を介してガイドレールを押し、並進スライダを往復動させるリンク機構を設計したところ、ガイドレールのカムフォロアとの接触面が早期に摩耗した。
経過 並進の両端すなわちガイドレールの上端で、ガイドレールとカムフォロアとの間に遊びが生じた。その結果、常にカムフォロアがガイドレールをたたき、ガイドレールのカムフォロア接触面が早期に摩耗した。
原因 市販のカムフォロアの表面には焼きが入って硬いが、ガイドレールのカムフォロア接触面は熱処理されておらずやわらかであった。
対策 ガイドレールに材質SK3(工具鋼)、硬度HRC65(カチカチに硬い)以上の部材をはめ込む構造に変えた。
知識化 焼きが入ってかたものが動転すると、それよりやわらかいレールは摩耗する。市販のカムフォロアの表面には、焼きが入り、非常に硬くなっているから、やわらかい摺動面が摩耗する。こういう時は、“目には目を”であるが、ガイド面にも熱処理を施して、カチカチに硬くした鋼を選定する。
背景 カムフォロアを転がり接触でガイド面に沿わせる場合、多くの個数のカムフォロアを用意して負荷を分散させ、局所的に過大な負荷がガイド面に作用することを避ける。しかし、カムフォロアの直径も同じであるはずはなく、またカムフォロア列を支える機構が傾くので、負荷を等分にすることは難しい。
シナリオ
主シナリオ 不注意、理解不足、生産組織の理解不足、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、手順、表面処理、材料的要因、接触、異物質接触、不良現象、機械現象、熱、熱処理、条件不適、相互運動部、組合不良、摩耗
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図1.カムフォロアを用いたリンク機構
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)