失敗事例

事例名称 軸を圧入後のカエリで固定するベリリウム銅の座が脆化し軸から脱落した
代表図
事例概要 ベリリウム銅の部品の座に軸を圧入し、圧入時に生じた座のカエリで両者を固定した。組立後装置を稼動したところ、座が空転し始めた。座の硬度をHv350以上と指定したところ、熱処理でHv420と硬くなりすぎていたので、カエリが脆化して脱落し、軸から抜けてしまった。対策として、硬度をHv350±50に管理し硬化しすぎないようにした。
事象 ベリリウム銅の部品の座に軸を圧入し、圧入時に生じた座のカエリで両者を固定した。組立後装置を稼動したところ、座が空転し始めた。
経過 部品の座を軸に固定する方法として、硬度Hv350程度のベリリウム銅の座を軸を圧入たときに生じるカエリで軸に固定する構造を採用した。組立後装置を稼動したところ、しばらくして座が空転し始めた。分解調査したところ、座のカエリが脱落していた。カエリがないと通常の1/6の力で座が軸から抜けてしまう。
原因 座の硬度をHv350以上と指定したので、熱処理でHv420と硬くなりすぎた。
対策 座の硬度をHv350±50と指定し、硬化しすぎないようにした。
知識化 機械設計で使う金属材料は、大方硬くなれば脆くなる。なお、ベリリウム銅(銅+ベリリウム+わずかなCoNiPbBなど)やリン青銅(銅+すず+わずかなP)などの合金は、時効硬化(または析出硬化)で硬くなる。本来低温で析出するはずの合金元素が、急冷でむりやりとけこまされて不安定な状態であるが、時間の経過とともに本来の安定な状態にもどろうとして析出し、結晶は硬くなるのである。
背景 鋼の熱処理でも焼入(やきいれ、硬くなる)と焼戻(やきもどし、柔らかくなるがその分ねばりが生ずる)とをペアにして、硬さと脆さでバランスのとれた材質を作ることが大切である。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、環境変化への対応不良、使用環境変化、自然的条件変化、経時変化、不良現象、機械現象、熱、熱処理、条件不適、材料的要因、脆性、破断、外れる
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.ベリリウム銅が脆化してカエリが脱落
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)