失敗事例

事例名称 切断粉でミルの伝導軸が折損した
代表図
事例概要 ミルの伝導軸が折損した。補修工事で発生した切断粉が変速機のケーシング内に入り、減速機のオイルシールが損傷し油漏れが発生した。そこで、減速機のスラストベアリングが破損し、軸に過負荷がかかりオーバーロードクラッチが浸油と発熱で固着して、ボールジョイント伝導軸の折損に至った。対策として、オーバーロードクラッチが働くかどうか定期点検を強化し、また、減速機のケーシングに防塵カバーを設けた。
事象 ミルのボールジョイント伝導軸が折損した。減速機のケーシング内に切断粉が発見され、減速機のオイルシールが損傷して油漏れが発生していた。また、減速機のスラストベアリングが破損し、オーバーロードクラッチが固着していた。
経過 補修工事後、装置の再稼動後しばらくして、ミルのボールジョイント伝導軸が破損した。原因調査のため、分解してみると、減速機のケーシング内に補修工事で発生した切断粉が発見された。また、減速機のオイルシールやスラストベアリングが破損しており、オーバーロードクラッチが固着していた。
原因 以下の因果関係で不具合が発生した。補修工事で切断粉が発生→切断粉の付着→減速機のオイルシール損傷→油漏れ→減速機のスラストベアリング破損→軸過負荷→オーバーロードクラッチ固着(浸油と発熱で正常に作動しなかった)→ボールジョイント伝導軸破損
対処 オーバーロードクラッチの作動定期点検を強化した。
対策 減速機のケーシングに防塵カバーを設けて、異物の浸入を防止した。
知識化 ごみが大きな事故を誘起することがある。ごみをバカにしてはならない。
背景 ごみが誘起した事故の例を図3に示す。石油ファンヒータの空気取り入れ口のフィルタがごみで詰まり、COを発生させて死亡事故となった(a)。成膜装置の冷却パイプの屈曲部にごみが詰まって圧力が高まり、ホースが外れてクリーンルーム内が水びたしになった(b)。綿ぼこりが電気回路上にたまり加熱して発火し、テレビ自体が燃えた(c)。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、保守時の不注意、組織運営不良、管理不良、組織運営不良、運営の硬直化、品管制度不備、材料的要因、異物混入・混在、不良現象、機械現象、シール・パッキン不良、流体、漏洩、材料的要因、物質名リスト、機械油、不良現象、機械現象、機械的連鎖反応、破断、過負荷、熱、発熱、継手、破断
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.切断粉発生が伝導軸折損に至った因果関係
図3.ごみが事故を誘起する
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)